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涙の毎日✦side秋人✦2
クランクアップまでもう残り少ない。
始まった頃の楽しかった日々が、夢だったかのように今は毎日つらい。
蓮に助言しても、俺が距離を置いても、蓮はマネージャーに相変わらず敬語のままで、あの親しげだった空気は微塵もない。
蓮の気持ちを守るために距離を置いても、それでも繋ぎ止めて側にいたかった。
だからなんとか足掻いて、ニコイチとしての居場所を守っていたつもりだったけど、それが原因で蓮を怒らせた。
ニコイチにも戻れなくて悲しくて、今はもう蓮の顔を見るだけで涙が込み上げてくる。
もう疲れた。好きでいるのがつらすぎて、疲れた。
できるなら、もう好きな気持ちを終わりにしたい。
帰宅してヘトヘトで、着替えもせずにベッドに倒れ込んだ。
最近は食欲もなくて、撮影で用意されたお弁当にもほとんど手を付けられない。
目を腫らすわけにはいかないのに、家では気を抜くと勝手に涙が流れ出る。
蓮と距離を置くようになって、今まで自分がどれだけ異常なほど蓮にふれていたのか痛感した。
意識してブレーキをかけないと、自然と蓮に手がのびる。いつもどこかにふれていたくて、たまらない。
だから撮影中は幸せだった。
堂々と蓮にくっついていられる。
マネージャーの目があっても、気にしないでいられる。
このときだけは俺の蓮なんだって勝手に優越感にひたって、あとで一人で傷ついて……。
でも今はもう、ドラマの中でも別れてしまって、撮影ですら距離がある。
ポケットからスマホを取り出すと、いつものようにSNSを開いた。
お気に入りのカウントダウン動画を流す。
『秋さんがめちゃめちゃ可愛いから、みんな絶対に観てね』
真っ赤な顔で照れてる蓮を、何度もくり返し流す。
二人で見つめ合って照れるところも、何度も……。
「可愛い……蓮……」
この日を最後に、蓮があまり笑わなくなった。
マネージャーと仲違いしてから、元気がなくなった。
蓮は自分のことだけ考えていればいいのに、俺のことばかり心配して、バカな蓮。
そう思ってるくせに、俺を気にかけてくれる蓮に嬉しくなる自分がいて、その度に自己嫌悪におちいった。
そんな毎日でも、SNSの動画やコメントを見ると元気が出た。
『あきれん最高』
『見つめ合って照れてる二人、可愛すぎる』
『秋人がどんどん可愛くなるけど、蓮のことガチ好きじゃない?』
うん。ガチ好きだよ。
『キスシーン何度見ても、演技に見えない! 妄想しすぎてキュン死する』
やっぱバレちゃうか。でも蓮は演技だけどな……。
『動画の二人が相思相愛すぎる』
相思相愛……本当にそうだったらいいのに。
『動画の二人が可愛すぎて、毎日見に来ちゃう』
俺も、毎日見に来てるよ。
脳内でコメントと会話をして、満足してスマホを閉じた。
今はもうニコイチだなんて言えない仲になってしまったけど、SNSの世界に入ると俺たちはずっと仲良しだ。それだけは救いだった。
もうすぐ撮影が終わる。
毎日のように会っていた蓮に会えなくなる。
会えなくなる前に、あの二人をなんとかしなければと焦る。
蓮とマネージャーがよりを戻してくれれば、蓮が元気になって俺も安心できる。
会えなくなっても、蓮が元気で幸せだったらそれでいい。
でも怒らせたままは嫌だからできれば仲直りがしたいけど、怒らせた理由を考えると無理だな、と落胆する。
「……蓮に会えなくなるとか…………マジ無理…………やだ…………」
流れる涙をそのままに、今日も俺は枕を濡らした。
始まった頃の楽しかった日々が、夢だったかのように今は毎日つらい。
蓮に助言しても、俺が距離を置いても、蓮はマネージャーに相変わらず敬語のままで、あの親しげだった空気は微塵もない。
蓮の気持ちを守るために距離を置いても、それでも繋ぎ止めて側にいたかった。
だからなんとか足掻いて、ニコイチとしての居場所を守っていたつもりだったけど、それが原因で蓮を怒らせた。
ニコイチにも戻れなくて悲しくて、今はもう蓮の顔を見るだけで涙が込み上げてくる。
もう疲れた。好きでいるのがつらすぎて、疲れた。
できるなら、もう好きな気持ちを終わりにしたい。
帰宅してヘトヘトで、着替えもせずにベッドに倒れ込んだ。
最近は食欲もなくて、撮影で用意されたお弁当にもほとんど手を付けられない。
目を腫らすわけにはいかないのに、家では気を抜くと勝手に涙が流れ出る。
蓮と距離を置くようになって、今まで自分がどれだけ異常なほど蓮にふれていたのか痛感した。
意識してブレーキをかけないと、自然と蓮に手がのびる。いつもどこかにふれていたくて、たまらない。
だから撮影中は幸せだった。
堂々と蓮にくっついていられる。
マネージャーの目があっても、気にしないでいられる。
このときだけは俺の蓮なんだって勝手に優越感にひたって、あとで一人で傷ついて……。
でも今はもう、ドラマの中でも別れてしまって、撮影ですら距離がある。
ポケットからスマホを取り出すと、いつものようにSNSを開いた。
お気に入りのカウントダウン動画を流す。
『秋さんがめちゃめちゃ可愛いから、みんな絶対に観てね』
真っ赤な顔で照れてる蓮を、何度もくり返し流す。
二人で見つめ合って照れるところも、何度も……。
「可愛い……蓮……」
この日を最後に、蓮があまり笑わなくなった。
マネージャーと仲違いしてから、元気がなくなった。
蓮は自分のことだけ考えていればいいのに、俺のことばかり心配して、バカな蓮。
そう思ってるくせに、俺を気にかけてくれる蓮に嬉しくなる自分がいて、その度に自己嫌悪におちいった。
そんな毎日でも、SNSの動画やコメントを見ると元気が出た。
『あきれん最高』
『見つめ合って照れてる二人、可愛すぎる』
『秋人がどんどん可愛くなるけど、蓮のことガチ好きじゃない?』
うん。ガチ好きだよ。
『キスシーン何度見ても、演技に見えない! 妄想しすぎてキュン死する』
やっぱバレちゃうか。でも蓮は演技だけどな……。
『動画の二人が相思相愛すぎる』
相思相愛……本当にそうだったらいいのに。
『動画の二人が可愛すぎて、毎日見に来ちゃう』
俺も、毎日見に来てるよ。
脳内でコメントと会話をして、満足してスマホを閉じた。
今はもうニコイチだなんて言えない仲になってしまったけど、SNSの世界に入ると俺たちはずっと仲良しだ。それだけは救いだった。
もうすぐ撮影が終わる。
毎日のように会っていた蓮に会えなくなる。
会えなくなる前に、あの二人をなんとかしなければと焦る。
蓮とマネージャーがよりを戻してくれれば、蓮が元気になって俺も安心できる。
会えなくなっても、蓮が元気で幸せだったらそれでいい。
でも怒らせたままは嫌だからできれば仲直りがしたいけど、怒らせた理由を考えると無理だな、と落胆する。
「……蓮に会えなくなるとか…………マジ無理…………やだ…………」
流れる涙をそのままに、今日も俺は枕を濡らした。
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