ふれていたい、永遠に

たっこ

文字の大きさ
74 / 173

恋人の距離✦side秋人✦2

 蓮はそっと唇を離すと、倒れ込むようにして俺をぎゅっと抱きしめ、繋いでる手を口元に寄せて口づけた。
 俺は蓮の頬に手をふれた。

「大好きだよ……俺の蓮」
「大好き……俺の秋さん」

 頬を染めて、蓮は俺に合わせてそう言った。

「……うわ、やば……それ、めっちゃいい……っ。もう一回言って」
「俺の秋さん、大好き」
「……やばい、めっちゃ幸せ」

 ぎゅっと蓮を抱きしめた。
 大好き、俺の蓮。
 もうずっと離れたくない。
 耳元で蓮が、はぁぁ、と深い息をついた。
 
「……これ、本当に夢じゃない……?」
「え?」

 身体を起こした蓮が、涙目で俺を見つめる。

「昨日からずっと……俺……寝てたりしてない……? 本当に現実?」
「蓮……お前まさか、まだ目ぇ覚めてねぇ……とか?」

 よく見ると、なんとなくまだ目が座ってるというか、視線が合わない感じがする。
 
「……まだ……ふわふわしてる……夢みたいで……。いつもならまだぼーっとしてる時間だし……。今まだ目が覚めてるのかどうかも、分かんない感じ……」
「マジか。そんな重症なんだ、寝起きの悪さ」
「…………うん。ごめんね」

 と、チュッと唇にキスをする。

「大好き、秋さん。もし夢なら覚めてほしくない……」

 そんな可愛いことを言う蓮に、俺はかなり重くて怖いことを言ってみた。

「俺が、蓮とずっと離れたくないから監禁するぞって言っても?」

 きょとん、として「それ、幸せすぎる」と笑った。
 あ、これはまだやっぱり覚醒してないやつだと分かって、蓮に急いでシャワーを浴びに行かせた。

 その間に俺は洗面所を借りてキッチンを借りてと、色々と準備をしていると蓮がシャワーから戻ってきた。
 キッチンに立つ俺の背後からぎゅっと抱きついて、チュッっと頭にキスをする。

「で、いつから監禁してくれるの?」
「えっ、あれ、やっぱ起きてたの?」
「何があったかは覚えてた。ちょっとぼやっとしてるけど」
「はー、なるほど。んーじゃあ今日から監禁かな」
「やった。じゃあもうずっと一緒だね」
「……って、ばぁか」

 頭を後ろに倒して後頭部で軽く叩くと、顎にコツンと当たる音。
 蓮は、痛い痛いと言いながらずっとニコニコしていた。
 二人で朝食を準備しながらテーブルに並べながら、目が合うたびにお互いに顔を近づけて、チュッとキスをして微笑み合った。

「お前さ。寝起きのときの恥じらいはどこ消えた?」
「ん? よく覚えてないけど、たぶん夢か現実か分からなくて混乱してたからじゃないかな? 今は昨日のことも全部覚えてるし。恥ずかしいけど、嬉しいが勝ってるから」

 ちょっと頬を染めてニコニコしながら、またチュッっと口づけた。
 
「マジか。こっちのワンコも好きだけど……あっちのワンコも可愛かったのに……」
 
 椅子をペッタリとくっつけて腰を掛け、またチュッとキスをする。

「あ、じゃあもう撮影で赤面しないんじゃねぇ?」
「んー? どうだろう? うーん?」

 二人で、いただきますと手を合わせた。
 蓮はまだ首をかしげて考えながら、パンとスクランブルエッグを頬張っている。

「今日の撮影、どうなるのか楽しみだな」
「……あ、今日もキスシーンだ……」
 
 自分がどうなるのかも、ちょっと心配だ。
 今でさえこんなにドキドキしてるのに、蓮とこうなれたあとに大勢のスタッフに囲まれて、平静を保てるのか自信がない。
 
「ほんと、BLドラマでここまでキスシーン多いの、珍しいよな。…………でも……もし無かったら、きっと気持ちに気づけなかったから……あってよかった」

 え、という蓮のつぶやきが聞こえて隣を見る。 
 
「…………キスシーンで……気づいたの?」
「……うん。一番最初のキスシーンのとき…………。あれ、演技じゃねぇよ。俺の……本気。セリフも表情も……アドリブのキスも全部」
 
 俺の告白に、蓮の顔が見るまに真赤に染まって、両手で顔を覆ってうつむいた。

「まってまってまって…………終わったあと、役が抜けてないって思ってたのって……」
「役なんて……そもそも入ってねぇよ。キスシーン全部……俺の本気」
 
 思い出すだけで、あの時の切ない気持ちがよみがえって胸が痛い。
 蓮は、はぁぁ、と深く息をついて言った。

「……俺、あの日からずっと秋さんが可愛くて……。撮影終わってもずっと可愛くて……。どうしてなのかってずっと悩んでて。……そっか。全部、秋さんだったんだ……」
 
 顔を覆ってた手をおろして俺の手を取ると、指を絡めて優しく撫でさする。

「指先から……気持ちが伝わってくるって……思ってたのは……。役じゃなくて、秋さんの気持ちだったんだね」
「蓮も……感じてたんだ……」

 俺だけじゃなかったことが、震えるくらい嬉しい。
 どちらからともなくまた唇を合わせて、深くお互いを味わった。

「……き……りがないから、食おっか」
「……そうだね」
 
 なかなかやめられないキスを、中断するように終わらせた。
 目を合わせては、二人ではにかみながらの食事。
 胸の中がずっとくすぐったくて、どうしようもなく幸せだった。

感想 7

あなたにおすすめの小説

【創作BL】溺愛攻め短編集

めめもっち
BL
基本名無し。多くがクール受け。各章独立した世界観です。単発投稿まとめ。

おひめさまな俺、帝王に溺愛される

  *  ゆるゆ
BL
帝王陛下に捧げられることになった小国の王族レイには、大変な問題が──! ……男です。

【完結】恋人になりたかった

ivy
BL
初めてのキスは、 すべてが始まった合図だと思っていた。 優しい大地と過ごす時間は、 律にとって特別で、 手放したくないものになっていく。 けれど……

君に不幸あれ。

ぽぽ
BL
「全部、君のせいだから」 学校でも居場所がなく、家族に見捨てられた男子高校生の静。 生きる意味を失いかけた時に屋上で出会ったのは、太陽に眩しい青年、天輝玲だった。 静より一つ年上の玲の存在は、静の壊れかけていた心の唯一の救いだった。 静は玲のことを好きになり、静の告白をきっかけに二人は結ばれる。 しかしある日、玲の口から聞いた言葉が静の世界を一瞬で反転させる。 「好きになられるからあいつには近づかない方がいいよ。」 玲に対する感情は信頼から憎悪へと変わった。 それから十年後。 静は玲に復讐するために近づくが…

BL短編まとめ(現) ①

よしゆき
BL
BL短編まとめ。 冒頭にあらすじがあります。

甘々彼氏

すずかけあおい
BL
15歳の年の差のせいか、敦朗さんは俺をやたら甘やかす。 攻めに甘やかされる受けの話です。 〔攻め〕敦朗(あつろう)34歳・社会人 〔受け〕多希(たき)19歳・大学一年

【完結済】俺のモノだと言わない彼氏

竹柏凪紗
BL
「俺と付き合ってみねぇ?…まぁ、俺、彼氏いるけど」彼女に罵倒されフラれるのを寮部屋が隣のイケメン&遊び人・水島大和に目撃されてしまう。それだけでもショックなのに壁ドン状態で付き合ってみないかと迫られてしまった東山和馬。「ははは。いいねぇ。お前と付き合ったら、教室中の女子に刺されそう」と軽く受け流した。…つもりだったのに、翌日からグイグイと迫られるうえ束縛まではじまってしまい──?! ■青春BLに限定した「第1回青春×BL小説カップ」最終21位まで残ることができ感謝しかありません。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……