ふれていたい、永遠に

たっこ

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番外編

蓮を鳴かせたい(NOTリバ)✦side秋人✦1

 帰りの車の中で、夕飯はどうしようかと悩んでいた。
 蓮の好きなオムライスを作るのはもう決まっている。問題は卵だった。
 なぜなら今日は絶対に、蓮が帰ってきたらすぐにベッドに連れていくからだ。
 あとから温め直すから卵は薄焼きにするか。いやいや蓮はトロトロ卵が好きだから、終わってから卵だけ作るか。
 俺作る元気あるかな……いやないな、とため息をついた。

「何難しい顔してるんだ?」

 運転中の榊さんが、バックミラー越しに俺を見て不思議そうに聞いてきた。

「夕飯どうすっかなって」
「は? 今の夕飯考えてる顔だったのか?」
「……そう……ですよ?」
 
 ちょっと……違ったかも……。
 やる前に作っちゃうか、終わったあとに卵だけ……って考えてたなんて言えない。
 
「ふぅん。食わす相手ができると大変だな」
「全然? 楽しいですよ」
「……さようでございますか」 

 からかい混じりに苦笑する榊さんに、「さようでございますよ」と澄ました顔で返した。

 もう今日は薄焼き卵にしよう。蓮、ごめん。 
 今日こそは蓮を鳴かせたい。
 いつもそう思うのに、蓮と一緒にご飯を食べたりシャワーを浴びたりしてるうちに、どうしても甘えたくなってしまう。
 そうなるともうされるがままで、また鳴かせられなかった……となる。
 だから今日はすぐベッドに連れて行くんだ。

 蓮の家に帰ると、まずシャワーを浴びた。
 シャワーだけは先に終わらせないと、蓮が帰って来ちゃうと別々にシャワーを浴びる理由がなくなる。今日は絶対に駄目だ!
 シャワーを済ませ夕飯の準備をする。ついでに冷蔵庫の中身を見て、これなら明日から俺の家でもいいかなと確認した。そろそろ掃除をしに帰りたい。
 食材のストックの問題で、蓮の家での生活が中心になっていた。
 買い出しのタイミングでたまに俺の家に移る。
 俺も蓮も、凝ったものは作れないが料理はきらいじゃない。
 料理のしない二人だったらもっと俺の家にも帰れただろうけど、蓮の家にいる方が幸せが増す感じがするから俺的には全然いい。
 蓮のための料理が幸せで、作りながら鼻歌が出る。
 オムライスが出来上がったタイミングで、蓮が帰ってきた。

「秋さんっ、今日早いね」

 リビングに入ってくるなり、蓮の嬉しそう声が響いた。
 
「蓮、おかえり」

 キッチンから声をかけると、俺のところまでまっすぐやってきた蓮に後ろからぎゅっと包まれた。

「ただいま、秋さん」

 ふり向いていつものようにおかえりのキスをする。
 本当に幸せすぎる。毎日こんなに幸せでいいのかな……。
 おかえりのキスが、やめられない。

「……んっ…………」

 このキスで、いつも甘えスイッチが入ってしまう。でも今日はダメだ!

「ん……っ、蓮、シャワー入ってこいよ」
「あれ、秋さんもう入ったの?」
「うん、今日はダンスのあとだったから」

 本当は違うけど。

「あ、今日オムライス? やった! すごい嬉しいっ! 先に食べようよ、あったかいうちにっ」
「いや……まだ作り終わってないから、先にシャワー浴びてきて」
「そうなの?」
「……うん、まだスープ作ってねぇから。サラダも……」

 作る順番おかしいだろ、と自分でツッコミたくなった。

「じゃあシャワー入ってくるね」

 蓮は何も疑わずにふわふわ笑ってシャワーに行った。
 俺の蓮が可愛すぎる。
 
 急いでスープとサラダを仕上げ、バスルームに蓮を迎えに行く。
 バスタオルを手に待っていると、シャワーの音が止まって蓮が出てきた。

「わっ、え、どうしたの?」

 驚いてる蓮を、バスタオルで包んで身体を拭く。いつかの逆だな、と思って笑みがこぼれた。

「蓮、ベッド行こ」
「……えっ?!」
 
 蓮は細く見えて意外とマッチョだから、お姫様抱っこは残念ながら無理だ。
 バスタオルを腰に巻き、手を繋いでベッドに向かう。

「え、え、オムライスはっ?」

 夕飯は? ご飯は? じゃないところが可愛くて本当に参る。
 もう頭の中がオムライスだったんだろな、と思って笑ってしまった。

「いいから、ベッド行くぞ」
「ええっ……?」
 
 なに、どうしたの? とクイクイと俺の手を引いて聞いてくる蓮に、俺は無言で寝室まで歩いた。

「ねえ、秋さん?」
 
 蓮をベッドに寝かせ、その上にまたがって馬乗りになると、ポカンと口を開けて目をパチパチとさせ「え?」と声を漏らした。

「今日は、蓮はただ寝てろな」
「え?」
「今日は、俺がするから」
「……えっ?」

 驚いて固まる蓮を見下ろしながら自分の服を脱いで、組み敷くように覆いかぶさった。
 あ……なんかすげぇ新鮮。気分が一気に高揚して、まだ何もしてないのに下半身に熱が集まってきた。

「蓮、好きだよ」

 そっと唇を合わせてゆっくりと舌を絡めると、それに応える蓮の舌が戸惑うように動く。

「……あ、秋……さ……、まっ……て」
 
 唇を合わせたまま、蓮は必死で俺を止めた。

「ん、どした?」

 唇を離して蓮を見下ろすと、瞳をゆらして俺を見つめる。
 なんでこんな格好良いのに、こんな可愛いんだ。

「秋さんが……やるって、どこまで?」
「ん? どこまで?」

 どこまでってなんだ?
 首を傾げて蓮を見る。
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