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番外編
大晦日〜年越し✦side蓮✦2
「……気のせいじゃない?」
やばい。『秋さんとはただの親友』という役に入り込めない。いつもならそうしてなにを言われても冷静でいられるのに……。雫という、あまりに思いがけない相手に動揺しすぎたせいだろうか。
『……大丈夫なの? なんか悩みでもあるんじゃないの?』
「えっ? いや、ないよ悩みなんか全然」
そうか、俺の様子がおかしいからって、すぐに秋さんとのことを疑ったりなんてしないよな。
変な心配をかけてしまった。申し訳なさすぎる。
『あんた昔から演劇にのめり込みすぎて友達少ないんだからさ。私になんでも話しなよ? ……あ、でもいまは秋人がいるか。秋人にはなんでも話せる? 悩みとか相談できる?』
「……うん。なんでも話せるよ」
『そっか。なら安心だ。秋人って本当に良い人みたいだね。色々見てるけど、ほんと優しさがにじみ出てる』
「うん。すごく良い人だよ。本当に……俺にはもったいない」
『大事にしなよ。親友は一生もんなんだから』
「……うん」
姉さんの言葉が心にしみて、胸がいっぱいになった。
……いつか姉さんにもちゃんと話すから……待っててね。
そのあと、秋さんの話を色々聞かれた。半分ファン目線だったのが面白い。すっかりファンなってしまったらしい。
「ところでさ……。なんで秋さんのこと呼び捨てなの? 雫まで……」
「へ? ん? 普通でしょ?」
「え……」
「だって私にとっては芸能人の秋人だよ? ファンの子もみんな秋人って呼ぶでしょ? あんたにとっては身近な人かもしんないけどさ。私には遠い存在だもん」
「そ……かもだけどさ……」
「ま、会うこともないでしょ」
まさか俺が秋さんと結婚するつもりだなんて思ってもいない姉さんに、それ以上なにも言えなかった。
今度ゆっくり遊びに行く約束をして、俺は電話を切った。
そうだ、お湯を沸かすところだったと腰を上げる。
一人だと時間が長い。のんびりとカップ麺の年越しそばを食べて、テレビをボーッと観ながらついウトウトして慌てて起きた。録画はしているけど寝るわけにいかないんだ。
歌番組の年越しライブスペシャルに、PROUDもライブ会場から中継で出演する。年越しのカウントダウンも担当するから、絶対に見逃せない。
本当は会場で観ることもできたけど、ライブのたびに俺が行くのはあまりにも目立つので今回は諦めた。
テレビのテロップにPROUDの名前が出て、俺はソファから身を起こした。
画面に八人のシルエットが浮かぶ。ライブの熱気が画面からでも伝わってくる気がした。
顔は見えなくても秋さんがわかる。やばい。もうこれだけでカッコイイ……。
秋さんのソロでスタートする俺の大好きな新曲『Love Forever』が流れ始めた。MV以外で観るのは初めてだ。
だんだんと明るくなって、秋さんがゆっくりとマイクを構える。
画面にアップで映った秋さんに、ドクンと心臓がはねた。
これはいつもの仮面の笑顔じゃない。テレビ用の秋さんじゃない。
俺にだけ見せる、優しい秋さんの笑顔だ……。
日が空きすぎてすっかり忘れていた。「曲のどっかフレーズ決めて、お前を想像すんの。毎回、必ず」そう言っていた秋さん。これはきっとそれだ……。
秋さんが俺に「愛してる」といまにもささやきそうな表情で歌い始めた。
『いまでも奇跡だと思う 君に出会えたこと
毎日君を想っては 幸せすぎて泣きたくなる
ずっと僕だけの君でいて
ふれてほしい ふれていたい 永遠に……』
客席から割れんばかりの歓声がわいた。
次のメンバーへソロが続く。
秋さんはソロの最後、熱のこもった瞳で俺を見つめた。
……違う、間違えた……テレビだった。俺を見つめたわけじゃない……。
ドキドキして胸が張り裂けそうだった。
いつこれを秋さんがやるだろうかと、実はずっと楽しみにしていた。
歌番組で秋さんが出るたびに期待して、今日もなかったとガッカリして、きっと忘れちゃったんだな、とそのうち諦めた。
まさか忘れたころにやられるとは思わなかった。
新曲だから、しばらくはテレビで繰り返し歌われるだろう。俺の心臓持つかな……。すごく不安になった。
でもこの曲を歌うたびに『俺の秋さん』がテレビで流れるんだと思うと嫉妬心が丸出しになる。あの秋さんは、あの瞳は、俺のものなのに……。
そこでハッと我に返る。うわぁ……俺なに言ってるんだろう……。
サビの部分でまた同じフレーズがくる。さっきと同じ『俺の秋さん』がアップになった。もうダメだ身体が熱い。倒れそうだ。
秋さんのソロが終わると、確実に歓声が大きくなる。
秋さん、これテレビでやるの……やばいよ……。
やばい。『秋さんとはただの親友』という役に入り込めない。いつもならそうしてなにを言われても冷静でいられるのに……。雫という、あまりに思いがけない相手に動揺しすぎたせいだろうか。
『……大丈夫なの? なんか悩みでもあるんじゃないの?』
「えっ? いや、ないよ悩みなんか全然」
そうか、俺の様子がおかしいからって、すぐに秋さんとのことを疑ったりなんてしないよな。
変な心配をかけてしまった。申し訳なさすぎる。
『あんた昔から演劇にのめり込みすぎて友達少ないんだからさ。私になんでも話しなよ? ……あ、でもいまは秋人がいるか。秋人にはなんでも話せる? 悩みとか相談できる?』
「……うん。なんでも話せるよ」
『そっか。なら安心だ。秋人って本当に良い人みたいだね。色々見てるけど、ほんと優しさがにじみ出てる』
「うん。すごく良い人だよ。本当に……俺にはもったいない」
『大事にしなよ。親友は一生もんなんだから』
「……うん」
姉さんの言葉が心にしみて、胸がいっぱいになった。
……いつか姉さんにもちゃんと話すから……待っててね。
そのあと、秋さんの話を色々聞かれた。半分ファン目線だったのが面白い。すっかりファンなってしまったらしい。
「ところでさ……。なんで秋さんのこと呼び捨てなの? 雫まで……」
「へ? ん? 普通でしょ?」
「え……」
「だって私にとっては芸能人の秋人だよ? ファンの子もみんな秋人って呼ぶでしょ? あんたにとっては身近な人かもしんないけどさ。私には遠い存在だもん」
「そ……かもだけどさ……」
「ま、会うこともないでしょ」
まさか俺が秋さんと結婚するつもりだなんて思ってもいない姉さんに、それ以上なにも言えなかった。
今度ゆっくり遊びに行く約束をして、俺は電話を切った。
そうだ、お湯を沸かすところだったと腰を上げる。
一人だと時間が長い。のんびりとカップ麺の年越しそばを食べて、テレビをボーッと観ながらついウトウトして慌てて起きた。録画はしているけど寝るわけにいかないんだ。
歌番組の年越しライブスペシャルに、PROUDもライブ会場から中継で出演する。年越しのカウントダウンも担当するから、絶対に見逃せない。
本当は会場で観ることもできたけど、ライブのたびに俺が行くのはあまりにも目立つので今回は諦めた。
テレビのテロップにPROUDの名前が出て、俺はソファから身を起こした。
画面に八人のシルエットが浮かぶ。ライブの熱気が画面からでも伝わってくる気がした。
顔は見えなくても秋さんがわかる。やばい。もうこれだけでカッコイイ……。
秋さんのソロでスタートする俺の大好きな新曲『Love Forever』が流れ始めた。MV以外で観るのは初めてだ。
だんだんと明るくなって、秋さんがゆっくりとマイクを構える。
画面にアップで映った秋さんに、ドクンと心臓がはねた。
これはいつもの仮面の笑顔じゃない。テレビ用の秋さんじゃない。
俺にだけ見せる、優しい秋さんの笑顔だ……。
日が空きすぎてすっかり忘れていた。「曲のどっかフレーズ決めて、お前を想像すんの。毎回、必ず」そう言っていた秋さん。これはきっとそれだ……。
秋さんが俺に「愛してる」といまにもささやきそうな表情で歌い始めた。
『いまでも奇跡だと思う 君に出会えたこと
毎日君を想っては 幸せすぎて泣きたくなる
ずっと僕だけの君でいて
ふれてほしい ふれていたい 永遠に……』
客席から割れんばかりの歓声がわいた。
次のメンバーへソロが続く。
秋さんはソロの最後、熱のこもった瞳で俺を見つめた。
……違う、間違えた……テレビだった。俺を見つめたわけじゃない……。
ドキドキして胸が張り裂けそうだった。
いつこれを秋さんがやるだろうかと、実はずっと楽しみにしていた。
歌番組で秋さんが出るたびに期待して、今日もなかったとガッカリして、きっと忘れちゃったんだな、とそのうち諦めた。
まさか忘れたころにやられるとは思わなかった。
新曲だから、しばらくはテレビで繰り返し歌われるだろう。俺の心臓持つかな……。すごく不安になった。
でもこの曲を歌うたびに『俺の秋さん』がテレビで流れるんだと思うと嫉妬心が丸出しになる。あの秋さんは、あの瞳は、俺のものなのに……。
そこでハッと我に返る。うわぁ……俺なに言ってるんだろう……。
サビの部分でまた同じフレーズがくる。さっきと同じ『俺の秋さん』がアップになった。もうダメだ身体が熱い。倒れそうだ。
秋さんのソロが終わると、確実に歓声が大きくなる。
秋さん、これテレビでやるの……やばいよ……。
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