ふれていたい、永遠に

たっこ

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番外編

続きのお正月〜キスマ編✦side秋人✦終

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 こんなに幸せな正月は本当に初めてだ。
 なんか幸せすぎて怖いな。
 このまま幸せだけが続けばいいな。

「あとね」
「ん、まだなんかあんの?」
「うん。次で最後」
「そっか。うん、なに?」
「実はね。姉さんにバレちゃったんだ、俺たちのこと」
「…………は?」

 蓮が、最後の最後で爆弾を落とした。
 いや、話す順番違うだろ?
 顔を上げて蓮を見る。

「おい。なんでそんな大事なこと最後に話すんだよ。 普通、一番最初だろ?」
「え、あ、そっか。なんかつい順番通りに……」
「順番ってなんの? ってかお姉さん大丈夫なのか?」
「あ、うん大丈夫。俺たちの味方だよ。少しも反対されなかった。メッセージだったから、そんなに詳しく話してないんだけどね」
「そ……か。よかった……。あー……マジでビビった……」

 トンと蓮の胸に倒れ込む。

「ごめん、驚かせて」
「んで、なんでバレたの? てかいつ? 昨日?」
「うん昨日」

 蓮がバレた経緯を詳しく話してくれる。
 そうか。蓮は毎年実家に帰ってるのに、簡単に俺と過ごすなんてテレビで言うべきじゃなかった。俺のせいだ……。

「……ごめん、テレビで蓮のこと話しちゃって」
「ううん。あれは仕方なかったし、昨日秋さんが話してなくても結局今日俺が話してたよ。そもそも仕事って嘘ついた俺が間違いだった」
「んー。でもそれ、俺でもきっと仕事ってうそついてたな」

 俺と過ごすだけのために雫ちゃんを泣かせたんだと思うと、申し訳なさすぎた。実家が近いしいつでも帰れるからという蓮の言葉に甘えてしまったことを後悔する。
 一緒に過ごせる連休が嬉しすぎて見て見ぬふりをした俺が間違いだ。やっぱり新年の集まりには帰るべきなんだ。
 俺は身体を起こして真っ直ぐ蓮を見つめた。

「もうバレちゃったんならさ。明日雫ちゃんに会いに行くか? ご両親は……どうしようか」

 お姉さんはもう知っているからいいとしても、ご両親はまだ知らないわけだし、急にあいさつするのも迷惑なのにお正月はもっと迷惑だろうな……。
 
「えっ? いやいや、いいよ大丈夫! 俺たぶん秋さんより休み長いから、秋さんが仕事始まったら一人で帰るね」
「……そうか? んー。俺も雫ちゃんに会いたかったな」
「えっと……うん、会えるようになったら紹介するね」
「なんだよ、会えるようになったらって」 
 
 蓮が言いづらそうに「雫の呼び捨てが……」と話し出す。

「ぶはっ! 俺らのこと恋人だってもう認識してるってことかっ。すげぇっ」
「まぁ……そういうことになる、ね……?」
「呼び捨てなんて俺らは普通だし、直さなくていいじゃん。『あきとすきー』ってなにそれめっちゃ可愛いなっ! えー会いてぇ!」

 俺は子供が好きだ。コンサートでもたまに子供連れの人がいる。小さい子が俺の名前を呼んでくれたりしたもんなら、ステージに引っ張りあげたくなるくらいには子供が好きだ。
 蓮にお姉さんがいることも結婚してることも知っていたが、三歳の子がいることは今日初めて知った。
 雫ちゃんに会いたくてたまらない。
 蓮に何度もねだってみたが、とりあえずこの正月は俺は会えないらしい。

「……秋さん、そんなしょんぼりしないで……?」
「だって。蓮とオフが合うのだってそんなにないしさ。いつ会えんのかな。いいなー蓮だけ会えて」
「えっと……そんなに雫に会いたいの?」
「だから言ってんじゃん、めっちゃ会いたいって」
「……秋さん、本当に子供好きなんだね」
「うん、すっげぇ好きっ」

 言ったときにはもう遅かった。
 蓮が眉を下げて俺を見ていて、やっと自分の失言に気づく。
 俺は慌てて言った。

「蓮。俺はお前を世界一愛してるよ」
「えっ、う、うん?」
「俺と一緒にいたら子供ができないとか言うのは無しだからな。俺……もし蓮と一緒にいられなくなったら……」

 蓮には一度も言ったことのない俺の一番弱い部分をさらけ出す。

「蓮と一緒にいられなくなったら……俺きっと壊れると思う」
「……壊れる?」
「ん。……きっと、生きるしかばねみたいになる。もう想像するだけでそうなりそうで怖いよ……」

 蓮の胸に顔をうずめてぎゅっと抱きついた。

「子供は好きだけど、ただそれだけだから。俺は、もうお前と一緒じゃなきゃ生きていけねぇかんな」
「秋さん……」
「俺、また雫ちゃんの話になったらテンション上がると思うけど、もうさっきみたいな顔すんなよ? 俺を最高に幸せにしてくれる存在は、お前だけなんだからな?」
「……秋さん……うん……うん……」
「絶対俺を離さないって、もっかい約束して」

 蓮の手が俺の頭を優しく押さえて、ぎゅっと腕の中に包み込まれた。

「……絶対、秋さんを離さない。一生離さない」
「うん。絶対離すなよ。俺も蓮を絶対に離さないからな」

 あんな顔させてごめんな蓮。
 テレビのドッキリのときも、子供というキーワードに密かに反応していた蓮に気づいていたのに、いまはすっかり頭から抜けていた。
 俺たちの間に子供を作れないぶん、二人で雫ちゃんを可愛がることにしよう。
 ……お姉さんに迷惑がられるかな?
 
「蓮。俺らさっきから、ほんとご馳走そっちのけでくっついてばっかだな?」
「……ほんとだね?」
「よし、食おう! 俺カニ食いたい、カニっ」
「あ、ビールおかわり持ってくるね」
「あ、待って俺も行く」

 蓮と一緒に立ち上がると不思議そうに俺を見る。
 
「え、なんで?」
「んー? 離れたくねぇから」

 蓮の横から抱きついた。

「え、え、秋さん?」
「だって今日はずっとベタベタしてぇんだもん。俺、一緒の連休にすっげぇ浮かれてんの」
「……秋さんが可愛すぎる……。どうしよう……」

 蓮はそう言って頬を染めると、俺を引きずるようにキッチンまで歩いた。
 俺のわがままに蓮はいつでも嫌な顔せず付き合ってくれる。
 こうやって俺を甘やかしてくれる蓮が本当に大好きだ。
 連休は始まったばかり。
 楽しみすぎてわくわくする。
 蓮に引っ付いて歩きながら、今日は遠足の前日ばりに眠れないかもな、と浮かれすぎてる自分にあきれて笑った。
 まずはペアウォッチを買いに行こう。早くSNSにおそろいのペアウォッチをアップしたい。
 指輪はネットかな……。あとで一緒に見てみるか。
 結婚するとは決めても、籍を入れられるわけではない。式のことだって具体的にはまだなにも決まっていない。
 でもやっと一歩進める気がして、結婚という確かな約束のしるしが嬉しくて、まだ買ってもいないのに胸が熱くなった。

「そうだ蓮。明日ペアウォッチと一緒に黒スーツも買いに行こうぜ」

 おかわりのビールとカニを堪能しながら俺は言った。
 やっと買いに行けるとウキウキする。
 
「あ、やっぱり買うんだ、黒スーツ」
「あったり前じゃん。んで夜は黒スーツなっ」
「え?」
「だから、夜は黒スーツな?」
「……え?」

 顔を真っ赤に染めて、わかってるのに聞き返す蓮が可愛すぎる。
 俺は本当にいま、最高に幸せだ。




 
end.
 
 
 
 
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