ふれていたい、永遠に

たっこ

文字の大きさ
161 / 173
番外編

わがままドッキリ✦side秋人✦1

◆この先の番外編には他作品『セフレなんて嫌なんだ』の京×榊のネタバレが含まれております。ご注意ください◆



「なあ、蓮くんってさ。怒ったことあんの?」
 
 今日は京と二人でトーク番組に出演するため一緒に楽屋入りをした。それぞれ楽屋が与えられたのに、京はずっと俺の楽屋でくつろいでいる。

「なに突然。前にも言ったけど俺たちケンカ知らずなんだって。入れる入れないでしかケンカになんないの」
「その言い方って……まさかまた同じケンカやった?」
「……ケンカまでは……してない……ぞ?」
「ケンカまではって」

 ぶはっと吹き出して「それって怒ってるの秋人だけなんだろ」「大事にされてるってことじゃん」と慰められる。

「そうなんだけどさ。……で? 急にどうした?」
「いやー。蓮くんってどんなことで怒るのかなーって思ってさ。機嫌が悪くなるでもいいんだけどさ。全然想像できなくて気になった」

 俺も想像できない、と言おうとして、ふいに思い出す。

「そういえば……一度だけ、怒ったことあったわ」
「え、マジで?」

 まだ付き合う前。蓮が美月さんと付き合ってると勘違いをしてた頃。
 蓮とすれ違っていたあの頃は本当につらかった。
 キスシーン前に腕を組ませてほしいと言われたのに、あのとき俺は美月さんの目が気になって断った。その結果、蓮が怒り出したんだ。
 京に話して聞かせると「マジかっ」と驚く。

「でもそれ、いまじゃ絶対ありえない状況じゃん? もう蓮くんが怒ることってないんじゃね?」
「……そんなに言われると……気になるじゃん」
 
 蓮が怒ることってないのかな?

「な、な、これ見てこれ」

 京がスマホで動画を見せてくる。

「わがまま……ドッキリ?」
「結構出てくるんだよ、こういう動画。なぁ、蓮くんにもやってみてよ、これ」
「……はぁ?」
「検証してみてよっ。んで結果教えて? 別に動画は撮らなくてもいいからさっ」
「……ええ? もしそれで蓮が本気で怒ったらどうしてくれんの?」
「んー? それはあれだ、責任もって駆けつけてやるよ。夜中でもさっ。ドッキリ大成功の紙、第二弾作って用意するか?」
「…………駆けつけるときは書いて持ってきて」
「ははっ。うんうん、わかったっ」

          ◇   

 わがままドッキリって何をやったらいいんだ……?
 明日は久しぶりにオフが被る。
 でも、明日はデートしたいし、やっぱりやるなら今夜だよな。
 蓮の帰りを待ちながら夕飯の準備を……と思って思いとどまり、ソファに腰を下ろす。
 夕飯食べに行きたいってわがままはどうだろう。
 ……普通にニコニコ「いいよ!」って言うだろな。
 疲れて帰ってきた蓮に夕飯作ってって言うほうがいいかな。
 でも、俺が先に帰って来てんのに、ダラダラ休んで蓮に作らせんの……嫌だな……。
 俺は一人うだうだ悩んでから腰を上げた。


「カレーだっ! ただいま秋さんっ!」

 玄関からリビングまでドタバタと走って来たと思ったら、開口一番の「カレーだっ!」に笑ってしまった。
 ちょうど出来上がったカレーに蓋をする。

「おかえり、蓮」
「ただいまっ」

 蓮が後ろから抱きついてくる。首、耳、とキスが移動して最後に唇を食べられた。

「ん……蓮……」

 なんだよ、このままベッド行く?
 スイッチを入れられて甘えようと思ったら、パッと唇が離れていった。

「秋さんっすごいっ!」
「え? なにが?」
「俺、今日一日ずっとカレー食べたかったのっ! すっごい嬉しいっ!」
「マジか。そっか、カレーにしてよかった」

 食べに行きたいなんて言わなくてよかった。

「蓮、シャワー行こ?」
「うんっ。あ、でもその前に」

 と俺から離れ、飾り棚の上にあるリングケースから結婚指輪を取り出し薬指にはめ、俺の指輪も持ってくる。
 俺の薬指に指輪をはめると、満足気に微笑んだ。
 オフのときはいつも前日の夜からこうして指輪をはめる。
 胸がぎゅっと痛くなる。マジで愛してるよ……俺の蓮。

 気を取り直してドッキリだ、ドッキリ。

「蓮」

 コアラ抱きして、ってわがまま言おうと思ったら、蓮が両手を広げて笑った。
 どうしよう、この、わがまま言う前に甘やかされる現状……。ドッキリにならないじゃん。
 俺は小さくため息をついて蓮にコアラ抱きで抱きついた。

「どうしたの? なんか疲れてる?」
「いや? 全然?」
「でも秋さんがため息なんてめずらしいよ。気づいてないだけかもね?」
「……そ、かな」
「今日は俺が全身洗ってあげる」
「えっ」

 洗うの面倒臭いー洗ってー。って言うつもりだったのに……。
 ドッキリがことごとく失敗していく。

「秋さんかゆいとこない?」
「ん、気持ちい。最高ー」

 蓮は美容師並の手つきで俺の頭を洗い、コンディショナーで仕上げた。
 それから、泡で出てくるボディーソープを手に取って、首から順に優しく俺を泡で包んでいく。

「蓮、蓮、ここは念入りにな?」

 わざと俺の息子をつまんでふるふると揺らすと、蓮が楽しそうに笑った。

「いいけど、秋さんまたスイッチ入っちゃうよ?」
「蓮もだろ?」
「俺は出せばスッキリするけどさ。秋さんは違うでしょ?」
「大丈夫だって。ここにもちゃんとローションあるじゃん。後ろも念入りに洗って?」

 耳元でささやくと、蓮が顔を赤らめてもくもくと洗いだした。
 見るともう蓮の息子は立ち上がってる。ほんと可愛い、俺の蓮。
 俺もボディーソープを手に取って蓮の身体を洗った。

「秋さんが俺を洗ったら休んだことにならないよ」
「いいよそんなの。早く洗って繋がろうぜ」
「でも、秋さんのカレー早く食べたい」
「じゃあ超特急でやろ」
「ええ……やるならゆっくりがいい」

 ゆっくり、という言葉で、後ろがうずき始めた。
 俺たちは最近、ゆっくり愛し合うのが好きだ。激しく抱き合うのもいいけど、ゆっくりは格別に幸せで最高に気持ちいい。
 あ……やばい……もうほしい。
 俺は蓮を倍速で洗い上げ、後ろを急いで準備した。

「秋さん、それ俺の仕事だよ」
「仕事ってっ。ふはっ。笑わすなよ。……んっ……っ」

 結局二人で準備して、急いでシャワーを出る。
 身体を拭くのもそこそこに、蓮にコアラ抱きでベッドに運ばれた。

「秋さん、ゆっくりでいい?」
「カレーは?」
「……今はもう秋さんしかいらない」
「ん……俺も……」
 
 蓮の首に腕を巻き付け、俺たちは唇を合わせる。
 ゆっくり、と宣言したときは、キスも初めからゆっくりだ。
 ゆっくり優しいとろけるキス。
 なんでだろう。今は激しいキスよりもこっちのほうが官能的に感じる。
 
「あ……っ、んん……っ」
 
 弱い耳をゆっくり舐められる。蓮は俺の身体を横向きにして、首から胸へと舌で愛撫しながら、背中を指でツーっと撫で上げる。
 
「れんっ、あ……っ、それ……やば……ぃ…っ! んっ!」
「秋さん、また背中と乳首でイッちゃう?」
「イッちゃう……かも……っ、あ……っ……」
「じゃあ、一回イかせちゃおうかな。可愛い秋さん見たい」
「はぁ……っ、んん……っ!」
 
 蓮は背中と乳首って言ったのに、俺を仰向けにして俺の腕を上にあげた。
 
「れ、れんっ、それだめ……っ」
感想 7

あなたにおすすめの小説

【創作BL】溺愛攻め短編集

めめもっち
BL
基本名無し。多くがクール受け。各章独立した世界観です。単発投稿まとめ。

おひめさまな俺、帝王に溺愛される

  *  ゆるゆ
BL
帝王陛下に捧げられることになった小国の王族レイには、大変な問題が──! ……男です。

【完結】恋人になりたかった

ivy
BL
初めてのキスは、 すべてが始まった合図だと思っていた。 優しい大地と過ごす時間は、 律にとって特別で、 手放したくないものになっていく。 けれど……

君に不幸あれ。

ぽぽ
BL
「全部、君のせいだから」 学校でも居場所がなく、家族に見捨てられた男子高校生の静。 生きる意味を失いかけた時に屋上で出会ったのは、太陽に眩しい青年、天輝玲だった。 静より一つ年上の玲の存在は、静の壊れかけていた心の唯一の救いだった。 静は玲のことを好きになり、静の告白をきっかけに二人は結ばれる。 しかしある日、玲の口から聞いた言葉が静の世界を一瞬で反転させる。 「好きになられるからあいつには近づかない方がいいよ。」 玲に対する感情は信頼から憎悪へと変わった。 それから十年後。 静は玲に復讐するために近づくが…

BL短編まとめ(現) ①

よしゆき
BL
BL短編まとめ。 冒頭にあらすじがあります。

甘々彼氏

すずかけあおい
BL
15歳の年の差のせいか、敦朗さんは俺をやたら甘やかす。 攻めに甘やかされる受けの話です。 〔攻め〕敦朗(あつろう)34歳・社会人 〔受け〕多希(たき)19歳・大学一年

【完結済】俺のモノだと言わない彼氏

竹柏凪紗
BL
「俺と付き合ってみねぇ?…まぁ、俺、彼氏いるけど」彼女に罵倒されフラれるのを寮部屋が隣のイケメン&遊び人・水島大和に目撃されてしまう。それだけでもショックなのに壁ドン状態で付き合ってみないかと迫られてしまった東山和馬。「ははは。いいねぇ。お前と付き合ったら、教室中の女子に刺されそう」と軽く受け流した。…つもりだったのに、翌日からグイグイと迫られるうえ束縛まではじまってしまい──?! ■青春BLに限定した「第1回青春×BL小説カップ」最終21位まで残ることができ感謝しかありません。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……