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番外編
日曜日の飲み会 2
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「どうせ冬磨が無理やり天音を引っ張りこんだんだろ。四六時中見張ってたいよな? 色々心配でさ」
「ほんと見張ってたいよ。黒子になって天音の会社までついて行きたいくらいだよ」
と、冬磨が真面目な顔で答えて、マスターが苦笑した。
「お前が言うとシャレになんねぇな」
黒子になってついて行きたいのは俺のほうだ。
でも、そっちよりも『冬磨が無理やり引っ張りこんだ』の部分はどうしても否定したかった。
「あの、違いますっ。無理やり引っ張りこまれたわけじゃなくて、俺が、俺のほうが冬磨とずっと離れたくなくてっ。俺のほうが冬磨よりもずっとずっと一緒にいたいからっ。だから一緒に住んでますっ」
思わず熱弁してしまった。
はたと気づくと、マスターがあんぐりと口を開けて俺を見ていた。
あ……思いっきり素で話しちゃった……っ。
少しずつ見せていこうかなって思ってたのに……っ。
あまりに恥ずかしくて一気に顔が熱くなる。
マスターが目を瞬きながら口を開いた。
「え……っと……誰ですか……?」
「ぶはっ!」
マスターの言葉に冬磨が吹き出した。
「おい……どうなってんの? 天音……双子だったとか?」
「双子!」
お腹を抱えて笑う冬磨の顔と俺の顔を交互に見ながら、マスターが目を白黒させる。
「あの……ご、ごめんなさいっ!」
腰を折って頭を下げると、勢いがつきすぎてテーブルに頭をぶつけそうになった。でも、冬磨の手が俺の頭をとっさに守ってくれた。
「あっぶな……っ」
「ご、ごめん、冬磨っ」
「気をつけろよ、ほんと」
くしゃっと頭を撫でて優しく笑う冬磨にきゅんとした。
うあぁ……大好き。どうしよう……好き。
「……なんかお前ら……息するようにイチャつくな?」
「なんだそれ。全然普通だろ?」
「……ああ、そうだろうな。お前らにとっては普通なんだろうよ」
マスターは、しらけたように目を細めて、生温い視線を俺たちに向けた。
「それで……ごめんってなに? 弟さん? お兄さん?」
「あ、あの……俺、天音です。本人……で、す」
「ごめんってことはそうなんだろうなぁ。で、どうなってんの? これ……」
「あ、の……」
ぎゅっと手を握ると、その手に冬磨の手が重なった。
「ただ面白いだけだから、簡単に話しちゃえよ。大丈夫だって」
「……う、ん」
いざ話すとなると、恥ずかしさよりも、ずっと騙してたという罪悪感が押し寄せてくる。でも、ただ面白いだけだと冬磨に言われて少し気が楽になった。
「あの……俺、ずっと演技してました。みんなを騙してました。本当は初めから冬磨が好きで、ずっとずっと好きで……どうしても……冬磨に近づきたくて。でも、本気だと相手にしてもらえないから……演技、してたんです。好きじゃない、興味ないっていう演技を……」
マスターは、ポカンとした顔でじっと俺を見る。
「ずっと騙してて……ごめんなさい……っ」
頭を下げると、一緒に冬磨の手が伸びてきた。
「またぶつけるかと思った」
「あ、ありがとう、冬磨」
「ん」
ふわっと笑ってまた手を繋ぐ。優しい、あったかい冬磨の手。
「……もしかしてさ」
マスターがゆっくりと俺にたずねた。
「……はい」
「ずっと一人で来てた、黒髪のスーツの……子……?」
ううぅ……やっぱりマスター覚えてた……っ。
「……はい、そうです。あのときは、嘘ついてごめんなさい」
「えっ、マジか……っ!」
マスターは飛び跳ねるように驚くと、ビールを煽るように飲んで「おかわりっ」とグラスを冬磨に渡す。
冬磨は「はいはい」と言って瓶ビールをグラスに注いだ。
「嘘ついてごめんって何?」
冬磨が不思議そうに聞いてくる。
「マスターには……ビッチ天音で冬磨と初めて会った日に見破られてて。でも人違いで通したの」
「え、じゃあマスターにはバレてたのか?」
「いや、あんときは黒髪の子がイメチェンしたのかなって確かに思ったけどさ。話したら全然イメージ違うから本当に別人だと思ってたよっ」
「はは。さすが天音」
マスターが穴があきそうなくらい俺をじっと見てくるから、さすがに恥ずかしくなってくる。
「おい、なに天音のこと見つめてんだよ」
「いや、見つめるって言い方! ただ見てんだよ。観察してんの」
「同じだろ」
「違うだろっ」
と二人が言い合いを始める。
マスターといると、冬磨がなんだかいつもより子供っぽいような気がする。すごく可愛くて、思わず笑みが漏れた。
「天音、そんな可愛い顔マスターに見せんなって」
「え?」
可愛いのは冬磨なんだけどと思って、ますますおかしくて声に出して笑ってしまった。
「天音……もうほんと別人じゃん。あれが演技って……マジでか」
「本当に、ごめんなさい……」
「いや、なんも謝る必要はねぇけどさ。てか……本当に天音……?」
「……です」
「見つめんな」
「見てるだけだっ」
久しぶりにマスターに会えたことも嬉しいし、可愛い冬磨が見られるのも嬉しいし、ずっと騙してたことも謝ることができたし、本当に来てよかった。
すごく恥ずかしいけど……。
「ほんと見張ってたいよ。黒子になって天音の会社までついて行きたいくらいだよ」
と、冬磨が真面目な顔で答えて、マスターが苦笑した。
「お前が言うとシャレになんねぇな」
黒子になってついて行きたいのは俺のほうだ。
でも、そっちよりも『冬磨が無理やり引っ張りこんだ』の部分はどうしても否定したかった。
「あの、違いますっ。無理やり引っ張りこまれたわけじゃなくて、俺が、俺のほうが冬磨とずっと離れたくなくてっ。俺のほうが冬磨よりもずっとずっと一緒にいたいからっ。だから一緒に住んでますっ」
思わず熱弁してしまった。
はたと気づくと、マスターがあんぐりと口を開けて俺を見ていた。
あ……思いっきり素で話しちゃった……っ。
少しずつ見せていこうかなって思ってたのに……っ。
あまりに恥ずかしくて一気に顔が熱くなる。
マスターが目を瞬きながら口を開いた。
「え……っと……誰ですか……?」
「ぶはっ!」
マスターの言葉に冬磨が吹き出した。
「おい……どうなってんの? 天音……双子だったとか?」
「双子!」
お腹を抱えて笑う冬磨の顔と俺の顔を交互に見ながら、マスターが目を白黒させる。
「あの……ご、ごめんなさいっ!」
腰を折って頭を下げると、勢いがつきすぎてテーブルに頭をぶつけそうになった。でも、冬磨の手が俺の頭をとっさに守ってくれた。
「あっぶな……っ」
「ご、ごめん、冬磨っ」
「気をつけろよ、ほんと」
くしゃっと頭を撫でて優しく笑う冬磨にきゅんとした。
うあぁ……大好き。どうしよう……好き。
「……なんかお前ら……息するようにイチャつくな?」
「なんだそれ。全然普通だろ?」
「……ああ、そうだろうな。お前らにとっては普通なんだろうよ」
マスターは、しらけたように目を細めて、生温い視線を俺たちに向けた。
「それで……ごめんってなに? 弟さん? お兄さん?」
「あ、あの……俺、天音です。本人……で、す」
「ごめんってことはそうなんだろうなぁ。で、どうなってんの? これ……」
「あ、の……」
ぎゅっと手を握ると、その手に冬磨の手が重なった。
「ただ面白いだけだから、簡単に話しちゃえよ。大丈夫だって」
「……う、ん」
いざ話すとなると、恥ずかしさよりも、ずっと騙してたという罪悪感が押し寄せてくる。でも、ただ面白いだけだと冬磨に言われて少し気が楽になった。
「あの……俺、ずっと演技してました。みんなを騙してました。本当は初めから冬磨が好きで、ずっとずっと好きで……どうしても……冬磨に近づきたくて。でも、本気だと相手にしてもらえないから……演技、してたんです。好きじゃない、興味ないっていう演技を……」
マスターは、ポカンとした顔でじっと俺を見る。
「ずっと騙してて……ごめんなさい……っ」
頭を下げると、一緒に冬磨の手が伸びてきた。
「またぶつけるかと思った」
「あ、ありがとう、冬磨」
「ん」
ふわっと笑ってまた手を繋ぐ。優しい、あったかい冬磨の手。
「……もしかしてさ」
マスターがゆっくりと俺にたずねた。
「……はい」
「ずっと一人で来てた、黒髪のスーツの……子……?」
ううぅ……やっぱりマスター覚えてた……っ。
「……はい、そうです。あのときは、嘘ついてごめんなさい」
「えっ、マジか……っ!」
マスターは飛び跳ねるように驚くと、ビールを煽るように飲んで「おかわりっ」とグラスを冬磨に渡す。
冬磨は「はいはい」と言って瓶ビールをグラスに注いだ。
「嘘ついてごめんって何?」
冬磨が不思議そうに聞いてくる。
「マスターには……ビッチ天音で冬磨と初めて会った日に見破られてて。でも人違いで通したの」
「え、じゃあマスターにはバレてたのか?」
「いや、あんときは黒髪の子がイメチェンしたのかなって確かに思ったけどさ。話したら全然イメージ違うから本当に別人だと思ってたよっ」
「はは。さすが天音」
マスターが穴があきそうなくらい俺をじっと見てくるから、さすがに恥ずかしくなってくる。
「おい、なに天音のこと見つめてんだよ」
「いや、見つめるって言い方! ただ見てんだよ。観察してんの」
「同じだろ」
「違うだろっ」
と二人が言い合いを始める。
マスターといると、冬磨がなんだかいつもより子供っぽいような気がする。すごく可愛くて、思わず笑みが漏れた。
「天音、そんな可愛い顔マスターに見せんなって」
「え?」
可愛いのは冬磨なんだけどと思って、ますますおかしくて声に出して笑ってしまった。
「天音……もうほんと別人じゃん。あれが演技って……マジでか」
「本当に、ごめんなさい……」
「いや、なんも謝る必要はねぇけどさ。てか……本当に天音……?」
「……です」
「見つめんな」
「見てるだけだっ」
久しぶりにマスターに会えたことも嬉しいし、可愛い冬磨が見られるのも嬉しいし、ずっと騙してたことも謝ることができたし、本当に来てよかった。
すごく恥ずかしいけど……。
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