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純白リリーメモリーズ
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女子校。
未知の人からしたら、謎多き夢の花園。
女子や女性教師ばかりの特殊な環境。
帰国子女も多い いわゆるお嬢様校。
10代の私は、寡黙で、
長くて綺麗な髪だけが、そこそこ人並みに感じているような子供で、
周りからの扱われ方は
あずまんが大王のサカキさんみたいな 笑
口数が少ないから 親しくなる人は
個性的な子が多かったかもしれない。
先生には誤解されたり、言い返さないのをいいことに
大人気ないことを言われたい放題だったり…
私の年上の女性恐怖症は、ここから始まった 笑
~~~~~~~.
中学1年の春。
私達は出会った。
帰国子女のKちゃんは、
外国語の授業で隣に座って、私に勉強の仕方なんかを教えてくれた。
小2から海外で過ごしたKちゃん、
完全にネイティブで 日本語発音に少し違和感がある。
自己主張がしっかりしているので、
最初は周りから距離を置かれがちだった。
そんなKちゃんは私の前の席だった。
私たちは、忘れ物を貸したことから親しくなり、
好きな音楽の話をしたり、
コッソリ音楽雑誌を学校に持ち込んで
一緒に見たり、
お互いに厳しい家柄で
(Kちゃん家の方が徹底して凄かったけど)
共有できる気持ちもあって、
入ったばかりの中学で、
親友と呼べる仲になっていた。
~~~~
「ミーちゃん」
「………?」
「あ。それ教員室まで?」
「………うん。」
私は7限の教室から、教師に頼まれて
集めた書類を両手に抱えていた。
「終わったら、一緒に帰れる?」
「うん、帰れる。」
「やった♪ 半分持つよ。」
Kちゃんは、裏表ない発言をする子で
心の裏の読み合いみたいになる
女子校特有の苦労なしに
すなおに話が出来て楽だった。
「ありがとう。 今日も塾?」
「うん。まぁ今日は自習に近いけど。
真っ直ぐ帰ったら お母さんが機嫌悪くて
堪らないからさぁ~。
どこで勉強したって やってる事は
同じだっちゅーの。 大人の自己満だよね~」
Kちゃんは ベッ と舌を出す。
「それにしても ミーちゃん
いつも運ばされてない?
たまには断らないとダメだよ。」
「…………うん。 でも 先生が私に言うから…」
「~~ そーやって受けちゃうから、
頼られちゃうんだって。
生徒は他にもいるんだし。
ミーちゃんも優しすぎ。自分磨り減るよ~」
「……そうだね。」
私は苦笑した。
Kちゃんは私の左を並んで歩きながら
私の顔をジッとみた。
「……ミーちゃんて、無理して笑うよね…」
「……そうかな。……そうかも…ね
笑っても 消えないのにね。」
私はまた苦笑いした。
「……………。」
一斉に生徒達が下校して、
人気のない最上階の廊下に
オレンジ色の夕日が差し込んでいる。
一瞬 ショートカットのKちゃんの猫っ毛が
フワリと視界に映った
ーーーチュッ
(………………!?)
ほんの一瞬のことで 理解が追いつかない。
唇に感じた 柔らかい感触ーーー。
私は書類を抱えたまま立ち止まっていた。
「……ぁ。……ごめん。」
なぜだか 隣でKちゃんがすまなさそうにしている。
「…………。」
たった一瞬の出来事を、まだ信じられない自分がいた。
「ミーちゃんの 横顔 すごく綺麗だったから…
ぁ。もしかして 初めてだった…?」
初めて…? え… 今のって…
ーーーキス…
私は一気に顔が赤らんでいくのを感じた。
「~~~~~///」
「ぁ。やーだ。やっぱり初めてだったの~?
ごめんね。 初めて奪っちゃった♪」
変わらない様子で、Kちゃんは
小さく舌を見せた。
Kちゃんの視線を直視できないまま、
再び歩き出した私の隣に
彼女も歩幅を合わせた。
「あーん。そんなリアクションすると
思わなかった~。 やだちょっと
可愛すぎなんですけど~。笑
………怒った?」
「…………怒ってないよ。」
ホント? 良かった~ と 大げさに言うKちゃん。
「…………ありがとう。」
顔を見せないまま 小さく呟いた私に
Kちゃんの 明るい声が返ってくる。
「あ~~も~~
ミーちゃんの そーゆーとこ ホント好き~♪」
私たちは階段を静かに降り出した。
ーーー願わくばほおの熱を
この夕日が隠してくれていますように。
~~~~
未知の人からしたら、謎多き夢の花園。
女子や女性教師ばかりの特殊な環境。
帰国子女も多い いわゆるお嬢様校。
10代の私は、寡黙で、
長くて綺麗な髪だけが、そこそこ人並みに感じているような子供で、
周りからの扱われ方は
あずまんが大王のサカキさんみたいな 笑
口数が少ないから 親しくなる人は
個性的な子が多かったかもしれない。
先生には誤解されたり、言い返さないのをいいことに
大人気ないことを言われたい放題だったり…
私の年上の女性恐怖症は、ここから始まった 笑
~~~~~~~.
中学1年の春。
私達は出会った。
帰国子女のKちゃんは、
外国語の授業で隣に座って、私に勉強の仕方なんかを教えてくれた。
小2から海外で過ごしたKちゃん、
完全にネイティブで 日本語発音に少し違和感がある。
自己主張がしっかりしているので、
最初は周りから距離を置かれがちだった。
そんなKちゃんは私の前の席だった。
私たちは、忘れ物を貸したことから親しくなり、
好きな音楽の話をしたり、
コッソリ音楽雑誌を学校に持ち込んで
一緒に見たり、
お互いに厳しい家柄で
(Kちゃん家の方が徹底して凄かったけど)
共有できる気持ちもあって、
入ったばかりの中学で、
親友と呼べる仲になっていた。
~~~~
「ミーちゃん」
「………?」
「あ。それ教員室まで?」
「………うん。」
私は7限の教室から、教師に頼まれて
集めた書類を両手に抱えていた。
「終わったら、一緒に帰れる?」
「うん、帰れる。」
「やった♪ 半分持つよ。」
Kちゃんは、裏表ない発言をする子で
心の裏の読み合いみたいになる
女子校特有の苦労なしに
すなおに話が出来て楽だった。
「ありがとう。 今日も塾?」
「うん。まぁ今日は自習に近いけど。
真っ直ぐ帰ったら お母さんが機嫌悪くて
堪らないからさぁ~。
どこで勉強したって やってる事は
同じだっちゅーの。 大人の自己満だよね~」
Kちゃんは ベッ と舌を出す。
「それにしても ミーちゃん
いつも運ばされてない?
たまには断らないとダメだよ。」
「…………うん。 でも 先生が私に言うから…」
「~~ そーやって受けちゃうから、
頼られちゃうんだって。
生徒は他にもいるんだし。
ミーちゃんも優しすぎ。自分磨り減るよ~」
「……そうだね。」
私は苦笑した。
Kちゃんは私の左を並んで歩きながら
私の顔をジッとみた。
「……ミーちゃんて、無理して笑うよね…」
「……そうかな。……そうかも…ね
笑っても 消えないのにね。」
私はまた苦笑いした。
「……………。」
一斉に生徒達が下校して、
人気のない最上階の廊下に
オレンジ色の夕日が差し込んでいる。
一瞬 ショートカットのKちゃんの猫っ毛が
フワリと視界に映った
ーーーチュッ
(………………!?)
ほんの一瞬のことで 理解が追いつかない。
唇に感じた 柔らかい感触ーーー。
私は書類を抱えたまま立ち止まっていた。
「……ぁ。……ごめん。」
なぜだか 隣でKちゃんがすまなさそうにしている。
「…………。」
たった一瞬の出来事を、まだ信じられない自分がいた。
「ミーちゃんの 横顔 すごく綺麗だったから…
ぁ。もしかして 初めてだった…?」
初めて…? え… 今のって…
ーーーキス…
私は一気に顔が赤らんでいくのを感じた。
「~~~~~///」
「ぁ。やーだ。やっぱり初めてだったの~?
ごめんね。 初めて奪っちゃった♪」
変わらない様子で、Kちゃんは
小さく舌を見せた。
Kちゃんの視線を直視できないまま、
再び歩き出した私の隣に
彼女も歩幅を合わせた。
「あーん。そんなリアクションすると
思わなかった~。 やだちょっと
可愛すぎなんですけど~。笑
………怒った?」
「…………怒ってないよ。」
ホント? 良かった~ と 大げさに言うKちゃん。
「…………ありがとう。」
顔を見せないまま 小さく呟いた私に
Kちゃんの 明るい声が返ってくる。
「あ~~も~~
ミーちゃんの そーゆーとこ ホント好き~♪」
私たちは階段を静かに降り出した。
ーーー願わくばほおの熱を
この夕日が隠してくれていますように。
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