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第二章 中級編開始
第232話 OLサツキの中級編三日目の買い出しからの帰宅
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結局ユラ一人では抱えきれなくなった荷物をサツキも持ち、ラムも果物を身体の中に数個詰め込み、三人でふらふらになりながらマグノリアの家に帰宅した。
「ドラちゃんに開けてってお願いしてくれる?」
ラムにそう言うと、ラムはドラちゃんの頭をよしよしと撫で始めた。どうもドラちゃんはラムに恋してしまったらしく、家主であるリアムの姿では通してくれるだけなのに、ラムが来るとわざわざドアを開けてくれるのだ。この差は一体、と思ったが、まあラムが可愛いのは周知の事実でありドラちゃんとサツキとの共通認識でもあるので、深く考えないことにした。
台所に荷物を置くと、パントリーの中に食べ物をしまっていく。このパントリーには保存の魔法でも掛けられているのか、いつのだろうという果物が帰宅時に置いてあったが、食べたら普通に瑞々しかった。この世界の一般家庭の台所がどういったものかが分からないので比較しようがないのだが、高名な魔術師の家だったとなれば一つ一つに掛けられた魔法の効力にも納得だ。
そういった意味では、異世界にいきなり転生してしまったが、信頼出来る仲間もいて、お金もあるし衣食住も揃っている。しかも魔術師という特典付きだ。同性でなかったという点ではちょっとあれだが、あと年齢も大分年を取ってしまったので若干気になるは気になるが、これは十分恵まれた環境だと言えるに違いない。
だから後は本当にサツキがどう生きるかなのだと思う。
「昼は何食べようか」
ユラが食材を眺めながら聞いてきた。そういえばパーティーでの調理担当はこの人だった。
「ユラはあのパーティーではずっと調理担当だったの?」
「いや、始めはリアムだった」
それで何となく理由が分かってしまった。それ位、この家には調理道具がなかったのだ。基本出来合いの物を買ってきて食べる生活を送っていたのだろう。
「酷かった?」
ユラが苦虫を噛み潰した様な顔をして頷いた。
「食えたもんじゃねえ」
聞きたいような聞きたくないような。
「だから洗濯係を変わってもらった。魔術師がやると早いし」
「え? なにそれ」
サツキはこれまで、井戸の近くに置いてあった洗濯板を使って洗っていた。
「魔法で洗えるの?」
「洗えるぞ。洗うのから絞る、乾かすまでバッチリ出来る」
なんだその洗濯機機能は。さすが魔術師、何でもありだ。
「それ、知りたい」
「じゃあ飯の後でな」
「ウルスラは何も言ってなかったけど」
「あいつは基本あまり気が利かないからな」
「そうかな? 思わなかったけど」
「ふん、力だけのゴリラ女だからな」
「まだこの間のあれ気にしてるの?」
「俺は根に持つタイプなんだよ」
「……」
「引くなよ」
するとユラがふ、と笑った。
「でなきゃ可能性がなくなった魔術のことを未だにあれこれ気にしたりしてないっての」
そう言って背中を向けると、食材を洗い出したユラだった。
「ドラちゃんに開けてってお願いしてくれる?」
ラムにそう言うと、ラムはドラちゃんの頭をよしよしと撫で始めた。どうもドラちゃんはラムに恋してしまったらしく、家主であるリアムの姿では通してくれるだけなのに、ラムが来るとわざわざドアを開けてくれるのだ。この差は一体、と思ったが、まあラムが可愛いのは周知の事実でありドラちゃんとサツキとの共通認識でもあるので、深く考えないことにした。
台所に荷物を置くと、パントリーの中に食べ物をしまっていく。このパントリーには保存の魔法でも掛けられているのか、いつのだろうという果物が帰宅時に置いてあったが、食べたら普通に瑞々しかった。この世界の一般家庭の台所がどういったものかが分からないので比較しようがないのだが、高名な魔術師の家だったとなれば一つ一つに掛けられた魔法の効力にも納得だ。
そういった意味では、異世界にいきなり転生してしまったが、信頼出来る仲間もいて、お金もあるし衣食住も揃っている。しかも魔術師という特典付きだ。同性でなかったという点ではちょっとあれだが、あと年齢も大分年を取ってしまったので若干気になるは気になるが、これは十分恵まれた環境だと言えるに違いない。
だから後は本当にサツキがどう生きるかなのだと思う。
「昼は何食べようか」
ユラが食材を眺めながら聞いてきた。そういえばパーティーでの調理担当はこの人だった。
「ユラはあのパーティーではずっと調理担当だったの?」
「いや、始めはリアムだった」
それで何となく理由が分かってしまった。それ位、この家には調理道具がなかったのだ。基本出来合いの物を買ってきて食べる生活を送っていたのだろう。
「酷かった?」
ユラが苦虫を噛み潰した様な顔をして頷いた。
「食えたもんじゃねえ」
聞きたいような聞きたくないような。
「だから洗濯係を変わってもらった。魔術師がやると早いし」
「え? なにそれ」
サツキはこれまで、井戸の近くに置いてあった洗濯板を使って洗っていた。
「魔法で洗えるの?」
「洗えるぞ。洗うのから絞る、乾かすまでバッチリ出来る」
なんだその洗濯機機能は。さすが魔術師、何でもありだ。
「それ、知りたい」
「じゃあ飯の後でな」
「ウルスラは何も言ってなかったけど」
「あいつは基本あまり気が利かないからな」
「そうかな? 思わなかったけど」
「ふん、力だけのゴリラ女だからな」
「まだこの間のあれ気にしてるの?」
「俺は根に持つタイプなんだよ」
「……」
「引くなよ」
するとユラがふ、と笑った。
「でなきゃ可能性がなくなった魔術のことを未だにあれこれ気にしたりしてないっての」
そう言って背中を向けると、食材を洗い出したユラだった。
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