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第三章 上級編開始
第461話 魔術師リアムの上級編の激怒
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何事かと思いリアムが慌てて立ち上がろうとすると、祐介が頭と腰を腕でぎゅっと掴み、固定してしまった。
「祐介!? 痛いっ」
何をされているのかと思ったら、首筋を思い切り吸われているではないか。やたらと温かいのは、祐介の唇だった訳だ。
これはあれだ、キスマークというやつである。リアムはしたこともされたこともして欲しいと言われたこともないが、存在位は知っている。いや、正確には血文字の手紙にキスマークを身体中に付けて欲しいと書かれたことはあるはあるが、あれはまた別物だ。ただの恐怖でしかない。
「ゆ、祐介……」
思わず弱々しい声が出てしまった。いかん、魔術師たるもの、もっと威風堂々とせねば威厳というものが失われてしまう!
すると、ようやく祐介が口を離し、今正に吸っていた部分を指で触れた。
「付いちゃった」
「付いちゃった、ではないぞ祐介!」
リアムはようやく祐介の拘束から抜け出ると、慌てて洗面所の鏡を見に行った。首の、やや喉寄りの所に、明らかにこれはキスマークであろうという痣がくっきりと付いていた。この位置では、ブラウスを着ても見えてしまうではないか。
リアムは半分キレ気味で部屋に戻ると、にこにことベッドに寄りかかりながらこちらを見上げている祐介に向かって言った。
「祐介! これはどういうことだ!」
「どういうことって、何が知りたいの?」
祐介がはぐらかした。リアムはカチンときて、更に大きな声を出した。
「何故こんな見える様な所に付けたと聞いている!」
「あ、見えない場所の方がよかった? じゃあ付け直そうか」
リアムは、とうとうぶち切れた。
「そういうことを言っている訳ではないこと位、分かっているだろう! 何が目的かと聞いているのだ!!」
リアムの滅多にない剣幕に、祐介の眉が垂れ下がり、笑顔が消えた。
「……目的は、僕のものだって目印を付けておけば、早川さんにも馬鹿にされないかなって思って」
「どういうことだ!?」
「だから、あの人ってサツキちゃんのこと地味とか言ってたでしょ? でも僕のことは興味あったみたいだから、僕の印を付けておけばサツキちゃんにも一目置くかなって」
とんだ自惚れだ。自惚れにも程がある。祐介は自分が女子にもてることを十分に自覚しているのは分かっていたが、まさかここまでとは思っていなかった。
「ちょっと悪ノリした。ごめん」
「祐介」
「……何でしょう」
リアムは伝えることにした。祐介なら言ったら分かってくれるだろう、そう願って。
「人の気持ちを、目的の為に利用してはならん」
祐介が、はっと息を呑んだ。やはり祐介は馬鹿ではない。リアムが伝えたいことは即座に理解した様だ。内心、ほっとした。
「ごめん、サツキちゃん、ごめん」
祐介はふらりと立ち上がると、恐る恐るといった風に、遠慮がちに抱きついてきた。
「ごめん、本当にごめんなさい」
「……分かればいい」
「言われないと、分からなかった」
祐介の声は、震えていた。少々きつく言い過ぎたらしい。
「……君はいつも僕の昏い所を照らすね」
「? どういうことだ?」
「……何でもない」
祐介は、暫くその後も、震える様に、しがみつく様にリアムに縋っていた。
「祐介!? 痛いっ」
何をされているのかと思ったら、首筋を思い切り吸われているではないか。やたらと温かいのは、祐介の唇だった訳だ。
これはあれだ、キスマークというやつである。リアムはしたこともされたこともして欲しいと言われたこともないが、存在位は知っている。いや、正確には血文字の手紙にキスマークを身体中に付けて欲しいと書かれたことはあるはあるが、あれはまた別物だ。ただの恐怖でしかない。
「ゆ、祐介……」
思わず弱々しい声が出てしまった。いかん、魔術師たるもの、もっと威風堂々とせねば威厳というものが失われてしまう!
すると、ようやく祐介が口を離し、今正に吸っていた部分を指で触れた。
「付いちゃった」
「付いちゃった、ではないぞ祐介!」
リアムはようやく祐介の拘束から抜け出ると、慌てて洗面所の鏡を見に行った。首の、やや喉寄りの所に、明らかにこれはキスマークであろうという痣がくっきりと付いていた。この位置では、ブラウスを着ても見えてしまうではないか。
リアムは半分キレ気味で部屋に戻ると、にこにことベッドに寄りかかりながらこちらを見上げている祐介に向かって言った。
「祐介! これはどういうことだ!」
「どういうことって、何が知りたいの?」
祐介がはぐらかした。リアムはカチンときて、更に大きな声を出した。
「何故こんな見える様な所に付けたと聞いている!」
「あ、見えない場所の方がよかった? じゃあ付け直そうか」
リアムは、とうとうぶち切れた。
「そういうことを言っている訳ではないこと位、分かっているだろう! 何が目的かと聞いているのだ!!」
リアムの滅多にない剣幕に、祐介の眉が垂れ下がり、笑顔が消えた。
「……目的は、僕のものだって目印を付けておけば、早川さんにも馬鹿にされないかなって思って」
「どういうことだ!?」
「だから、あの人ってサツキちゃんのこと地味とか言ってたでしょ? でも僕のことは興味あったみたいだから、僕の印を付けておけばサツキちゃんにも一目置くかなって」
とんだ自惚れだ。自惚れにも程がある。祐介は自分が女子にもてることを十分に自覚しているのは分かっていたが、まさかここまでとは思っていなかった。
「ちょっと悪ノリした。ごめん」
「祐介」
「……何でしょう」
リアムは伝えることにした。祐介なら言ったら分かってくれるだろう、そう願って。
「人の気持ちを、目的の為に利用してはならん」
祐介が、はっと息を呑んだ。やはり祐介は馬鹿ではない。リアムが伝えたいことは即座に理解した様だ。内心、ほっとした。
「ごめん、サツキちゃん、ごめん」
祐介はふらりと立ち上がると、恐る恐るといった風に、遠慮がちに抱きついてきた。
「ごめん、本当にごめんなさい」
「……分かればいい」
「言われないと、分からなかった」
祐介の声は、震えていた。少々きつく言い過ぎたらしい。
「……君はいつも僕の昏い所を照らすね」
「? どういうことだ?」
「……何でもない」
祐介は、暫くその後も、震える様に、しがみつく様にリアムに縋っていた。
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