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第三章 上級編開始
第491話 魔術師リアムの上級編・早川ユメ攻略初日の仕事開始
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社長に直接話すと言った途端、許可されてしまった。正直初日は断られると思っていたのだが、これは思わぬ展開であった。
「では明日、三階に降りてきていただけるか」
「分かったわよっ!」
「では明日」
「分かったってば! もうそこどいて!」
「承知した」
リアムが扉を恭しく開けると、早川ユメは走る様に中に入っていってしまった。ふう、とひと息吐くと、ここからなら階段で行った方が早いだろうと思い階段を降りて踊り場に出ると。
「あ、ごめん。盗み聞きするつもりじゃなかったんだけど」
佐川が三階の扉の前で煙草を吸っていた。こいつも喫煙者だったらしい。
「昨日はごめんね?」
昨日。何のことだろうと思い、美人局的なことを祐介にやれと言ってきたことを思い出した。そうだ、こいつだった。
「全くだ。祐介があそこまで怒るなど滅多にないぞ」
「怒り方は可愛いけどね」
「まあ迫力はないな」
「あはは、さすが彼女」
祐介は喋り方が柔らかい所為だろう、怒ってもあまり怒った様には聞こえない。むしろあの笑顔の圧の方が怖い。
「野原さん、本当に山岸と付き合ってるんだね……」
ぽつり、と佐川が呟いた。いきなりしんみりとしてどうしたというのか。
「それがどうした」
「うわーパッキリしてんなあ。野原さん、雰囲気変わったよね。俺、前までのあの儚げな感じの野原さんが結構好みでさ、ちょっと声かけようかな、なんて思ってたらいつの間にかあいつが取っちゃっててさ、先週はちょっと俺的に傷心な一週間だったんだよ」
これはあれか。告白というやつか?
「それを今言ってどうする」
「いや、愚痴りたかっただけ。山岸いいよなーって。まああいつに勝てる自信ないし」
ツンツン頭を掻きながら、佐川が照れくさそうに笑った。
「祐介には祐介のよさがある。お前にもお前のよさがあるだろう。違うものを同じ場所に並べて比べても詮無いことだ」
「何か哲学みたいなこと言われた」
「まあ、他を頑張れ」
「はい、そうします」
佐川は笑ってそう答えると、扉を開けてくれたのでリアムが通ると。
「あのさっ」
佐川がリアムの手首を掴んで引き止めた。リアムは中に足を一歩踏み入れた状態で、佐川を振り返る。
「なんだ」
「あのさ、何か悩みがある時はさ、俺相談に乗るからさ、だから……」
すると、リアムの身体がぐいっと後ろに引っ張られた。佐川が咄嗟にリアムを掴んでいた手を離し、リアムの肩を掴んでいる人物を見て言った。
「……あ、山岸」
「何やってんの?」
祐介の顔は、笑っていなかった。
「今、サツキちゃんの手を掴んでたよね?」
「あ、えーと、ごめんつい」
「お前はつい、で人の彼女の手を掴んで引き止めるんだ?」
「……悪い。気を付ける」
「そうしてくれ」
祐介はリアムの肩を引き寄せると、佐川から隠す様にして執務エリア内へと入って行く。
「何話してたの」
「他愛もないことだ」
「……僕以外の男に、触らせないでよ」
あまりにも悲しそうなその声色に、リアムは背後の祐介を振り返り見上げた。怒りと悲しみが混じった表情に、リアムの胸が苦しくなった。
「……そんな顔を、するな」
「だって」
「気を付けるから」
「……うん」
職場でなかったら、きっと祐介はリアムを抱き締めていたに違いない。それ位、辛そうな顔をしていた。
「では明日、三階に降りてきていただけるか」
「分かったわよっ!」
「では明日」
「分かったってば! もうそこどいて!」
「承知した」
リアムが扉を恭しく開けると、早川ユメは走る様に中に入っていってしまった。ふう、とひと息吐くと、ここからなら階段で行った方が早いだろうと思い階段を降りて踊り場に出ると。
「あ、ごめん。盗み聞きするつもりじゃなかったんだけど」
佐川が三階の扉の前で煙草を吸っていた。こいつも喫煙者だったらしい。
「昨日はごめんね?」
昨日。何のことだろうと思い、美人局的なことを祐介にやれと言ってきたことを思い出した。そうだ、こいつだった。
「全くだ。祐介があそこまで怒るなど滅多にないぞ」
「怒り方は可愛いけどね」
「まあ迫力はないな」
「あはは、さすが彼女」
祐介は喋り方が柔らかい所為だろう、怒ってもあまり怒った様には聞こえない。むしろあの笑顔の圧の方が怖い。
「野原さん、本当に山岸と付き合ってるんだね……」
ぽつり、と佐川が呟いた。いきなりしんみりとしてどうしたというのか。
「それがどうした」
「うわーパッキリしてんなあ。野原さん、雰囲気変わったよね。俺、前までのあの儚げな感じの野原さんが結構好みでさ、ちょっと声かけようかな、なんて思ってたらいつの間にかあいつが取っちゃっててさ、先週はちょっと俺的に傷心な一週間だったんだよ」
これはあれか。告白というやつか?
「それを今言ってどうする」
「いや、愚痴りたかっただけ。山岸いいよなーって。まああいつに勝てる自信ないし」
ツンツン頭を掻きながら、佐川が照れくさそうに笑った。
「祐介には祐介のよさがある。お前にもお前のよさがあるだろう。違うものを同じ場所に並べて比べても詮無いことだ」
「何か哲学みたいなこと言われた」
「まあ、他を頑張れ」
「はい、そうします」
佐川は笑ってそう答えると、扉を開けてくれたのでリアムが通ると。
「あのさっ」
佐川がリアムの手首を掴んで引き止めた。リアムは中に足を一歩踏み入れた状態で、佐川を振り返る。
「なんだ」
「あのさ、何か悩みがある時はさ、俺相談に乗るからさ、だから……」
すると、リアムの身体がぐいっと後ろに引っ張られた。佐川が咄嗟にリアムを掴んでいた手を離し、リアムの肩を掴んでいる人物を見て言った。
「……あ、山岸」
「何やってんの?」
祐介の顔は、笑っていなかった。
「今、サツキちゃんの手を掴んでたよね?」
「あ、えーと、ごめんつい」
「お前はつい、で人の彼女の手を掴んで引き止めるんだ?」
「……悪い。気を付ける」
「そうしてくれ」
祐介はリアムの肩を引き寄せると、佐川から隠す様にして執務エリア内へと入って行く。
「何話してたの」
「他愛もないことだ」
「……僕以外の男に、触らせないでよ」
あまりにも悲しそうなその声色に、リアムは背後の祐介を振り返り見上げた。怒りと悲しみが混じった表情に、リアムの胸が苦しくなった。
「……そんな顔を、するな」
「だって」
「気を付けるから」
「……うん」
職場でなかったら、きっと祐介はリアムを抱き締めていたに違いない。それ位、辛そうな顔をしていた。
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