ドラゴンに殺られそうになって(電車にはねられそうになって)気が付いたらOLになっていた(気が付いたら魔術師になっていた)件

ミドリ

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第四章 アルティメット編開始

第607話 魔術師リアムのアルティメット編・正体をばらした日の夜のキスマークについて

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 リアムのブラウスの一番上のボタンに触れた祐介の指が、片手で器用にボタンを外した。今日着用しているブラウスは、元々胸元が少し開いている種類のものである。従って、胸の谷間がくっきりと出てきてしまった。

「ゆ、ゆ、祐介っ何を……!」

 リアムは完全に理解不能で固まっていた。何故祐介はブラウスのボタンを取ってしまったのか。祐介はリアムの質問には答えず、観察する様にブラウスから出て来た肌を見ているだけだ。全く意味が分からない。

「二つ目は、外さなくても大丈夫そうだね」

 一人で何かを納得して頷いている。

「祐介! 私にも分かる様に説明をだな!」

 すると祐介がリアムの両肩を掴んだ。近い。

「君こそ、いっつも一人で考えて一人で納得して、僕に説明するのは後回しじゃないの」

 ぐうのねも出なかった。正にその通りであったから。リアムはついつい自分の考えに夢中になる傾向があり、説明を後回しにしがちである。よく一緒にパーティーを組んだ者達からも言われたものだ。

「だからまあ、見てればいいよ」

 段々とリアムの胸に顔を近付けてくる祐介が、上目遣いでそう言った。ああ、これは怒っている。リアムはようやく理解した。祐介は、今日自分がないがしろにされたことを快く思っていないのだ。先程も言っていたではないか。残りの時間は自分だけを見てくれと。

 リアムが他所に目を向けると、祐介は自分に向かせようとこうして奇特な行動を取るのだ。そしてこれは、きっと祐介とリアムの間の絆の作用の所為なのではなかろうか。

 ふに、と祐介の柔らかい唇が、リアムの胸の膨らみに触れた。途端、全身がゾワワッと反応してしまった。拙い、これは非常に拙いぞリアム! リアムは焦った。

 すると、祐介が突然歯を立てた。リアムは大いに慌てた。というか、普通に痛い。

「あっこら! 何をしておる! 痛っ!!」

 祐介の頭を掴んで離そうとしてみたが、逆に手首を掴まれて床に押し倒されてしまった。いよいよ拙い。すると、今度は同じ箇所を吸い出した。こやつは一体何がしたいのか!? リアムは絶賛混乱中である。

「祐介っ落ち着け! な? どうした、おかしいぞ!」

 リアムが必死に説得するが、祐介はなかなか顔を上げない。というか、結構痛い。

 すると、ようやく祐介が顔を上げてリアムを見た。物欲しそうな艶っぽい目をしていた。これは本当に拙い目だった。歯止めが効かなくなる時の目だ。リアムが顔を引き攣らせていると、祐介は目を胸元に戻し、あ、と言った。

「血が出ちゃった。噛んだ時かな? ごめんね」

 そして、患部をぺろりと舐めた。

「ぬおおおおっ何をしている! 祐介、正気に戻れ!」
「正気だけど」
「いや、おかしいぞ! ほら、きっと今日は疲れているのだ! ビールはいい、いいからっ」
「え? 本当にいいの? じゃあ僕一人で飲もうかな」
「……そう言われると飲みたくなるではないか」

 リアムが素直に言うと、祐介がふふ、と笑った後、リアムの胸の上に顔を付け、腰の下に両腕を回し、ぎゅう、とかなりきつめに抱き締めてきた。

「……苦しい」
「え? 私も苦しいのだが」
「苦しいから、ずっとこうしていたい」
「いや、苦しいならどけばいいのではないか」
「そうじゃないよ」

 祐介の声は、辛そうだった。今度はどうしたというのか。

「そうじゃない」

 そう言った後は、暫く無言になってしまった祐介だった。
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