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第五章 またもや事件発生の予感
30.草薙剣
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亮太の腕から後頭部にかけて、ゾワッと鳥肌が立った。何なんだ、あれは。
割れたコンクリートの床を這いずりながらアパートの敷地の外へと向かっているタケルの周りを、黒い煙の様な物がふわりふわりと、だが決して離れようとはせずに纏わりついていた。煙がまるで触手の様に蠢き、大きなムカデが身体の周りに巻き付いている様に見えた。
ああいう足がいっぱいある生き物も亮太は苦手だった。亮太は元々都会っ子なのだ、無理だ無理無理。
でも。
あの中にいるのはあの気の弱いよく知った隣人なのだ。放ってはおけなかった。
「――タケル!」
「亮太! 近付いてはなりません!」
思わず駆け寄ろうとした亮太の前に狗神が先回りし、亮太を引き留めた。亮太はつんのめって転びそうになり、自分の家の台所のガラス窓に手をついた。亮太は足元の狗神に向かって怒鳴った。
「危ねえよイヌガミ!」
すると、逆に叱られた。
「危ないのは亮太の方です! 貴方が取り込まれては他に彼を助けられる人は居なくなってしまいますよ!」
「じゃあ一体どうすりゃいいんだよ!」
狗神は敷地の外に出てしまったタケルから目を離さないが、亮太が不用意に近付かないよう牽制もしていた。
「とにかくここは何をするにも狭すぎます。もう少し広ければ、距離を保ちつつ周りの目に映らないよう僅かながら結界も張れるのですが」
「狭くて悪かったな」
「こんなことでいじけないで下さい」
「分かった分かった。でも触っちゃいけないのにどうやって広い場所に行くんだよ」
あれがどこに向かっているなんてどうやって分かるのか。すると、狗神がとんでもないことを提案してきた。
「追わせましょう」
「誰を」
亮太が狗神を見下ろすと、狗神が亮太をチラリと見た。まじか? 嘘だろう、嘘だと言ってくれ。だが引き攣った亮太の顔を見ても、狗神は勘弁してくれなかった。
「私はまだこの辺りの地理には詳しくありませんので」
サラリと狗神が言い、敷地の外に出ていったタケルを見届けると目線で亮太に行けと言った。我が家の家庭内順位は一体どうなってるんだ。亮太は家主なのに、どう考えてもこれじゃ狗神の方が立場が上だ。
亮太は渋々足を踏み出した。
「お前なあ、家主を何だと思ってるんだ」
「家主は家主、それ以上でも以下でもありませんが、亮太はあの男を放っておける程冷酷にはなれないでしょう?」
「お前も嫌味な言い方するよな」
「事実でしょう」
「……ふん」
そうだ、亮太は放っておけない。まるっきりの他人だったとしても、きっと放っておけないだろう。そういう性分なのだ、仕方がない。
「つってもなあ、この辺はあんまり広い公園みたいな所はないんだよ」
「では先日の神社まで行きましょうか」
「簡単に言うなよ、そこそこ距離あるし人目につくぞ」
空を見上げると、もう大分暗くなってきていた。これなら簡単にはばれないかもしれないが、茶沢通りも全く人が歩いていないという訳ではなく、それに車は普通にバンバン走っている。
すると、狗神がまたとんでもないことを言った。
「大丈夫、普通の人にあの黒いもやは見えません」
「はい?」
シュウヘイには霊感がバリバリあると言ったが、勿論それは真っ赤な嘘だ。霊的な物なんぞ見たのは、生まれてこのかたシュウヘイの時が初めての経験だった。だから間違いなく亮太には霊感などない。ない筈だ。
見失っては困る。恐る恐る亮太も敷地の外へと身体ごと出ると、タケルは黒い物に抗っているのか、近くのアスファルトの上で蹲っていた。思わず亮太の眉尻が下がる。
亮太の横に狗神が立った。
「その勾玉は、魔を追い払う力があります。故に、魔を見ることが出来るのです」
「え?」
亮太は念の為そうっと勾玉ネックレスを首から外すと、それまでタケルを覆っていた黒いもやが薄れた。本当だ。つまり、魔除けを付けてるから怖いものが見えてしまっているということだ。何だそりゃ。
「ということで、それを一旦お引取り致します」
「え」
「追ってもらうには、そうする方が効果がありますから。そしてこれを持って私が後ろから追いかければなお効果的でしょう。ほら、早く」
じと、と狗神を見ても勿論狗神が勘弁してくれる筈もなく。亮太は溜息をつきつつ狗神の口に勾玉ネックレスの紐をかけたのだった。
◇
「ほら、こっちだタケル!」
息を切らしながら、茶沢通りの歩道をひた走る。勾玉を身に着けていないからか、すぐに息が上がってきた。タケルは焦点の合わない目で亮太がいる方向を見つめながら、それでもかなりの速度で亮太を追いかけてきていた。
はあ、はあ、と息が切れる。足も段々重くなってきたところで、コンビニの灯りが見えてきた。あそこを曲がれば神社への道に入る。外の空気はひんやりしているというのに、亮太の背中も脇も汗だくだった。
喉が乾いた、きつい。なんで四十五歳にもなって全力疾走させられてるんだ。大体タケルがあのタイミングで騒がなければ、今頃餃子を焼きつつビールを飲んでいた筈なのに。
頭の中で愚痴を言いながら、亮太はコンビニの角を左に折れた。あとちょっと、あとちょっとだ。とりあえず境内に入ってしまえば恐らく追っては来られまい。
亮太は最後の力を振り絞って細い道をひた走る。後ろを見ている余裕などもうなかった。走って走って、ようやく神社の鳥居が目に入ってきた。
亮太は上がらなくなってきた足に更に力を込めて一気に鳥居を潜った。途端足がもつれ倒れそうになったが、胸ポケットには蛟が入っている。咄嗟に庇い、亮太はポケットを押さえながら背中から石畳の上を転がった。背中が焼ける様に熱くなった。
「いってえ!」
「亮太!」
狗神はタケルの横をすり抜けて飛び込んで来ると、ゼーハー言う亮太の腹の上に咥えていた勾玉を投げた。勾玉が触れた途端、それまで普通の人間の姿だったタケルの周りに、先程見た時よりも更に大きな黒いモヤが覆っているのが目に映った。
そして、息も急に整ってきた。とんでもないドーピング効果だ。
「コウ! 大丈夫だったか!?」
「僕は大丈夫ー」
ポケットを押さえた指の隙間から、蛟が小さな頭を出した。
亮太が身体を起こすと、亮太を庇う様に狗神が亮太の前に立ち塞がった。
「亮太! 祓詞を!」
「おし!」
亮太は先日散々シュウヘイに唱えさせた『祓え給え清め給え』を繰り返し唱え始めた。息もあっという間に整い、言葉はするすると出てくる。横で狗神がブツブツと何かを唱え始めた。すると、段々と空間が閉じられていく様な感覚を覚えた。違和感の原因は、まるでモヤをかけられた様な色彩のせいだった。気が付けば外界との境界が作られ始めていた。これが先程狗神が言っていた結界に違いない。
これでタケルはこの結界の外には出られなくなるのだろう。
だがしかし。
それまで境内に入ってこようとしなかったタケルの足が、一歩境内にズズ、と入ってきたのだ。
亮太はそれを見て慌てて狗神に確認した。
「どーなってんだありゃ! 入って来ようとしてるぞ!」
狗神がタケルを睨みつける。狗神の喉が犬の様に唸った。
「力が強すぎるのです」
「祓詞で何とかなんねーのか!? あいつはどーなっちまうんだよ! 助かるのか!?」
「分かりません……! ここまで怨念を溜め込むとは……!」
「分かんねえじゃねえだろ! そもそもこれも、八岐大蛇の首の所為もあるんだろうが! あいつにも悪い所はあるかもしれないがな、だからって全部が全部あいつの所為じゃないだろ!」
いつもおどおどして人付き合いが苦手そうなタケル。でも悪い奴なんかじゃない。こんなのになる程の悪者なんかじゃない。
「亮太、優しい人」
胸ポケットの中から、蛟が小さな声で言った。
「え?」
亮太は思わずポケットの中にいる蛟を見ると、淡いピンク色な筈の蛟の体が水色に発色し、段々とその色味を増していた。
まるで、光が反射する水面の様な。
「僕、亮太守るんだもん!」
ポケットの中から蛟がふわりと空間に泳ぎ出た。亮太はその光景に思わず目を見張った。先程までのピンク色の蛇の姿ではもうなかった。
これは。
「コウ……?」
亮太の前の空中にくるくると浮き泳ぎながら、段々とその形がはっきりと大きくなってくる。水で出来た様なその姿は、小さいながらも龍そのものだった。
狗神が水棲に近いと言っていたその理由がよく分かった。翼はまるでヒレの様に空間になびき、背鰭はさながら深海魚の様に揺れている。
蛟龍、すなわち水神様だ。
なんて美しい生き物だろう。
亮太は、こんな時だというのに思わず見惚れてしまった。やはりまだ幼体なのだろう、身体の大きさは亮太と殆ど変わらない程度だ。
「蛟、まさか出せるのですか」
驚きを含んだ声色で狗神が尋ねた。どういうことだろうか。
「亮太を守るんだもん」
蛟龍となった蛟が天を仰ぐと、かぱ、と口を大きく開いた。すると、透き通っている様にも見える身体の中から光を帯びながらゆっくりと出てきたのは、黒剣だった。
「まさか……! 須佐之男命にも取り出すことが出来なかったのに……!」
狗神の目は黒光りするその剣に釘付けとなっていた。剣身を全て見せたその剣の周りを、蛟が護る様にくるくるとゆっくり回転している。
「草薙剣……!」
狗神が呟いた。
割れたコンクリートの床を這いずりながらアパートの敷地の外へと向かっているタケルの周りを、黒い煙の様な物がふわりふわりと、だが決して離れようとはせずに纏わりついていた。煙がまるで触手の様に蠢き、大きなムカデが身体の周りに巻き付いている様に見えた。
ああいう足がいっぱいある生き物も亮太は苦手だった。亮太は元々都会っ子なのだ、無理だ無理無理。
でも。
あの中にいるのはあの気の弱いよく知った隣人なのだ。放ってはおけなかった。
「――タケル!」
「亮太! 近付いてはなりません!」
思わず駆け寄ろうとした亮太の前に狗神が先回りし、亮太を引き留めた。亮太はつんのめって転びそうになり、自分の家の台所のガラス窓に手をついた。亮太は足元の狗神に向かって怒鳴った。
「危ねえよイヌガミ!」
すると、逆に叱られた。
「危ないのは亮太の方です! 貴方が取り込まれては他に彼を助けられる人は居なくなってしまいますよ!」
「じゃあ一体どうすりゃいいんだよ!」
狗神は敷地の外に出てしまったタケルから目を離さないが、亮太が不用意に近付かないよう牽制もしていた。
「とにかくここは何をするにも狭すぎます。もう少し広ければ、距離を保ちつつ周りの目に映らないよう僅かながら結界も張れるのですが」
「狭くて悪かったな」
「こんなことでいじけないで下さい」
「分かった分かった。でも触っちゃいけないのにどうやって広い場所に行くんだよ」
あれがどこに向かっているなんてどうやって分かるのか。すると、狗神がとんでもないことを提案してきた。
「追わせましょう」
「誰を」
亮太が狗神を見下ろすと、狗神が亮太をチラリと見た。まじか? 嘘だろう、嘘だと言ってくれ。だが引き攣った亮太の顔を見ても、狗神は勘弁してくれなかった。
「私はまだこの辺りの地理には詳しくありませんので」
サラリと狗神が言い、敷地の外に出ていったタケルを見届けると目線で亮太に行けと言った。我が家の家庭内順位は一体どうなってるんだ。亮太は家主なのに、どう考えてもこれじゃ狗神の方が立場が上だ。
亮太は渋々足を踏み出した。
「お前なあ、家主を何だと思ってるんだ」
「家主は家主、それ以上でも以下でもありませんが、亮太はあの男を放っておける程冷酷にはなれないでしょう?」
「お前も嫌味な言い方するよな」
「事実でしょう」
「……ふん」
そうだ、亮太は放っておけない。まるっきりの他人だったとしても、きっと放っておけないだろう。そういう性分なのだ、仕方がない。
「つってもなあ、この辺はあんまり広い公園みたいな所はないんだよ」
「では先日の神社まで行きましょうか」
「簡単に言うなよ、そこそこ距離あるし人目につくぞ」
空を見上げると、もう大分暗くなってきていた。これなら簡単にはばれないかもしれないが、茶沢通りも全く人が歩いていないという訳ではなく、それに車は普通にバンバン走っている。
すると、狗神がまたとんでもないことを言った。
「大丈夫、普通の人にあの黒いもやは見えません」
「はい?」
シュウヘイには霊感がバリバリあると言ったが、勿論それは真っ赤な嘘だ。霊的な物なんぞ見たのは、生まれてこのかたシュウヘイの時が初めての経験だった。だから間違いなく亮太には霊感などない。ない筈だ。
見失っては困る。恐る恐る亮太も敷地の外へと身体ごと出ると、タケルは黒い物に抗っているのか、近くのアスファルトの上で蹲っていた。思わず亮太の眉尻が下がる。
亮太の横に狗神が立った。
「その勾玉は、魔を追い払う力があります。故に、魔を見ることが出来るのです」
「え?」
亮太は念の為そうっと勾玉ネックレスを首から外すと、それまでタケルを覆っていた黒いもやが薄れた。本当だ。つまり、魔除けを付けてるから怖いものが見えてしまっているということだ。何だそりゃ。
「ということで、それを一旦お引取り致します」
「え」
「追ってもらうには、そうする方が効果がありますから。そしてこれを持って私が後ろから追いかければなお効果的でしょう。ほら、早く」
じと、と狗神を見ても勿論狗神が勘弁してくれる筈もなく。亮太は溜息をつきつつ狗神の口に勾玉ネックレスの紐をかけたのだった。
◇
「ほら、こっちだタケル!」
息を切らしながら、茶沢通りの歩道をひた走る。勾玉を身に着けていないからか、すぐに息が上がってきた。タケルは焦点の合わない目で亮太がいる方向を見つめながら、それでもかなりの速度で亮太を追いかけてきていた。
はあ、はあ、と息が切れる。足も段々重くなってきたところで、コンビニの灯りが見えてきた。あそこを曲がれば神社への道に入る。外の空気はひんやりしているというのに、亮太の背中も脇も汗だくだった。
喉が乾いた、きつい。なんで四十五歳にもなって全力疾走させられてるんだ。大体タケルがあのタイミングで騒がなければ、今頃餃子を焼きつつビールを飲んでいた筈なのに。
頭の中で愚痴を言いながら、亮太はコンビニの角を左に折れた。あとちょっと、あとちょっとだ。とりあえず境内に入ってしまえば恐らく追っては来られまい。
亮太は最後の力を振り絞って細い道をひた走る。後ろを見ている余裕などもうなかった。走って走って、ようやく神社の鳥居が目に入ってきた。
亮太は上がらなくなってきた足に更に力を込めて一気に鳥居を潜った。途端足がもつれ倒れそうになったが、胸ポケットには蛟が入っている。咄嗟に庇い、亮太はポケットを押さえながら背中から石畳の上を転がった。背中が焼ける様に熱くなった。
「いってえ!」
「亮太!」
狗神はタケルの横をすり抜けて飛び込んで来ると、ゼーハー言う亮太の腹の上に咥えていた勾玉を投げた。勾玉が触れた途端、それまで普通の人間の姿だったタケルの周りに、先程見た時よりも更に大きな黒いモヤが覆っているのが目に映った。
そして、息も急に整ってきた。とんでもないドーピング効果だ。
「コウ! 大丈夫だったか!?」
「僕は大丈夫ー」
ポケットを押さえた指の隙間から、蛟が小さな頭を出した。
亮太が身体を起こすと、亮太を庇う様に狗神が亮太の前に立ち塞がった。
「亮太! 祓詞を!」
「おし!」
亮太は先日散々シュウヘイに唱えさせた『祓え給え清め給え』を繰り返し唱え始めた。息もあっという間に整い、言葉はするすると出てくる。横で狗神がブツブツと何かを唱え始めた。すると、段々と空間が閉じられていく様な感覚を覚えた。違和感の原因は、まるでモヤをかけられた様な色彩のせいだった。気が付けば外界との境界が作られ始めていた。これが先程狗神が言っていた結界に違いない。
これでタケルはこの結界の外には出られなくなるのだろう。
だがしかし。
それまで境内に入ってこようとしなかったタケルの足が、一歩境内にズズ、と入ってきたのだ。
亮太はそれを見て慌てて狗神に確認した。
「どーなってんだありゃ! 入って来ようとしてるぞ!」
狗神がタケルを睨みつける。狗神の喉が犬の様に唸った。
「力が強すぎるのです」
「祓詞で何とかなんねーのか!? あいつはどーなっちまうんだよ! 助かるのか!?」
「分かりません……! ここまで怨念を溜め込むとは……!」
「分かんねえじゃねえだろ! そもそもこれも、八岐大蛇の首の所為もあるんだろうが! あいつにも悪い所はあるかもしれないがな、だからって全部が全部あいつの所為じゃないだろ!」
いつもおどおどして人付き合いが苦手そうなタケル。でも悪い奴なんかじゃない。こんなのになる程の悪者なんかじゃない。
「亮太、優しい人」
胸ポケットの中から、蛟が小さな声で言った。
「え?」
亮太は思わずポケットの中にいる蛟を見ると、淡いピンク色な筈の蛟の体が水色に発色し、段々とその色味を増していた。
まるで、光が反射する水面の様な。
「僕、亮太守るんだもん!」
ポケットの中から蛟がふわりと空間に泳ぎ出た。亮太はその光景に思わず目を見張った。先程までのピンク色の蛇の姿ではもうなかった。
これは。
「コウ……?」
亮太の前の空中にくるくると浮き泳ぎながら、段々とその形がはっきりと大きくなってくる。水で出来た様なその姿は、小さいながらも龍そのものだった。
狗神が水棲に近いと言っていたその理由がよく分かった。翼はまるでヒレの様に空間になびき、背鰭はさながら深海魚の様に揺れている。
蛟龍、すなわち水神様だ。
なんて美しい生き物だろう。
亮太は、こんな時だというのに思わず見惚れてしまった。やはりまだ幼体なのだろう、身体の大きさは亮太と殆ど変わらない程度だ。
「蛟、まさか出せるのですか」
驚きを含んだ声色で狗神が尋ねた。どういうことだろうか。
「亮太を守るんだもん」
蛟龍となった蛟が天を仰ぐと、かぱ、と口を大きく開いた。すると、透き通っている様にも見える身体の中から光を帯びながらゆっくりと出てきたのは、黒剣だった。
「まさか……! 須佐之男命にも取り出すことが出来なかったのに……!」
狗神の目は黒光りするその剣に釘付けとなっていた。剣身を全て見せたその剣の周りを、蛟が護る様にくるくるとゆっくり回転している。
「草薙剣……!」
狗神が呟いた。
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