強面騎士団長、異世界ギャルを嫁にもらう

さねうずる

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パーティーに来た

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騎士団長になってから必要最低限とはいえ、それなりに夜会には参加してきた。

無駄に着飾った金持ちどもが見栄を張るためだけの無駄な催しだ。
煌びやかな世界で運命的な出会いなんて期待しちゃいない。

俺は体はデカいし、傷だらけだ。
女が喜ぶような気の利いたことなんて言えないし、面白くもないのに笑えない。
女に好かれるような甘い顔立ちでもないし、逆に目が合っただけで貴族の女たちは大袈裟に震え出す。泣かれたことも一度や二度じゃない。


俺にとったら夜会なんて窮屈な服着て、ただ突っ立って時間が過ぎるのを待つだけのものだった。
今までは……。



「アッくんめっちゃカッコいい‼︎‼︎
めっちゃ黒似合う‼︎さすがあたしの旦那様」

そう言って得意げに微笑むのは俺の嫁だ。


正直言ってお前もかなり可愛いぞ。
今日は珍しく髪をアップに纏めており、トレードマークのピンクの毛先が見えない。
髪を下ろしているのも可愛いが、纏めているのも可愛い。
鮮やか緑色のドレスも俺のもの感があってかなり気分を高揚させる。
まぁ、口に出しては言わないが。

椿は異世界人だからなのか、とてつもなく変わった女だ。

顔に変な紋様を描くのは平気なくせに、素顔を晒すのは恥ずかしがる。
初めてこいつの素顔を見た衝撃は今でも忘れない。
こんなに整った容姿をした人間を俺は初めて見た。

あとピンク大好き人間で隙あらば家にピンク色のものを増やそうとする。
なのに、出かける時は俺の瞳に合わせた緑色の服ばかり着る。
普段は生意気なくせにベッドの中では従順で……恥ずかしそうに漆黒の瞳を潤ませる。

危なっかしくて目が離せない。
可愛くて手放せない。
みんなに見せつけてやりたいのに、誰にも見られないように閉じ込めて囲ってしまいたい。
大事にしてやりたいのに、無性に壊してしまいたくもある。

椿を想うと矛盾だらけのよく分からない気持ちになる。

そんな特別な女を連れての夜会……。
無邪気に楽しそうにはしゃぐ姿を見ていると、苦手な夜会もいつもと感じ方が変わってくるから不思議だ。

こんなに喜ぶならもっと参加してもいいかもな……。
そう思ってしまうほどに……。


「ねぇねぇ、アッくん。」

「あ?」

「なんでみんなご飯食べないの?
あんな美味しそうなのに。」

椿はコソッと小さい声で俺にだけ聞こえるように質問する。


「そもそも女は夜会では滅多に飯は食わねえよ。」

「えっ……なんで!?」

「お前みたいにバクバク飯食う女は稀だ。
貴族の女は馬鹿みたいに少食だからな。」

「でも、食べてもいいんだよね?
アッくん一緒に取りいこーよ。」

「別にいいけど、お前人前で絶対アッくんって呼ぶなよ。」

「オケオケ」と軽く返事を返されつつ、軽食が綺麗にディスプレイされている部屋の一角へと向かう。椿は今にもスキップしそうなほどご機嫌だ。
俺は不安だが……。


「ん~~、おいしっ‼︎これめーっちゃ美味しいよ‼︎」

そう言って椿は屈託なく笑った。


…………男どもの視線が気になるな。
俺が睨みつけると途端に視線を逸らすが、すぐまた椿を見つめ出す。

フロアに入った時からずっとだ。
デカい扉から仰々しく入室させられた時、中にいた奴らが一斉にこちらを見た。

俺が娶った噂の異世界女がよっぽど気になっていたらしい。
最初の見た目から色んな噂が飛び交っていたから、面白半分にニヤついた顔がいくつもこちらに向けられる。

だが俺の腕に捕まって、のほほんと辺りを見渡してる椿を見て、室内は一瞬にして静まり返った。
……明らかに全員アホみたいな顔で椿に見惚れていた。


それからはずっと見られている。
俺が椿の横に張り付いてるので、声こそ掛けてこないが少しでも離れたら一瞬で囲まれるだろう。


「ん?どしたの?食べたい?アーンする?」

俺は小首を傾げてフォークを差し出す椿を睨め付ける。
呑気な奴め。こいつはほんと微塵も気付いてねぇな……。

まぁ、そんなところにも惚れてるので仕方がない。
俺は「ハァー」と大袈裟にため息をついた。
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