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プロローグ
デタラメな戦い方
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とある洞窟のようなダンジョンの中。
冒険者とドラゴン、そしてバットを持った少年という異色のメンバーで組まれたパーティーが、モンスターに戦いを挑もうとしていた。
「ウデエンバンにスライム、それにヒトツメイワ。エンバンはうちが相手するから、スライムはボイヤー、ヒトツメはタフィが相手して」
指示を出したのは、切れ長の目に、茶色の髪を短めのツーサイドアップにした若い女性だ。
動きやすそうな革製の上着とショートパンツに身を包み、腰に装飾の施された短剣を差し、巨大な槍を背負っていた。
彼女の名はカリン・ゴッチ、今年で20歳になるうら若き冒険者だ。
「わかったよカリン姉さん」
元気よく返事をしたのはドラゴンのボイヤー。リスのような愛くるしい見た目に、約2メートルという、ドラゴンとしては小柄な体格ながら、豊富な魔力と圧倒的なパワーを有していた。
「おう」
そして、軽い感じで返事をしたのがタフィ・カルドーゾ。ボイヤーにとっては実の兄のような、カリンにとっては弟分的な存在の少年である。
白と黒の縦じまが入った服を着こみ、手には愛用の黒バットが握られていた。
「行くよっ!」
槍の柄に手をかけながら、カリンはウデエンバンに向かって走り出す。
対するウデエンバンは、直径3メートルはあろうかという円盤状の巨大な体をカリンの方へ向けると、太い2本の腕で地面を思い切り蹴ってゴロゴロと転がり始めた。
両者の相対距離は瞬く間に縮まっていく。
「とおっ!」
カリンは勢いよく跳び上がるや、高速回転しているウデエンバンの体に向かって振り下ろすように槍を放った。
「いっけー!」
ズザンッと突き刺さった槍によって、石でできたウデエンバンの体に大きなヒビが入り、そのまま崩れ落ちた。
「オッケーイ。あっちはどうなってるかな?」
カリンがボイヤーの方へ視線を向けると、ちょうどスライムに向けて高温のブレスを放っているところだった。
「うん、消し炭だね。あとは、タフィだけか」
今度はタフィの方へ視線を向けた。
相手にしているヒトツメイワは、巨岩から手足が生えた二足歩行のモンスターで、名前の由来ともなった目玉のようなコアから、様々な魔法攻撃を放ってくる。
「来やがれこの野郎っ」
タフィは挑発するようにヒトツメイワに向かって石を投げつけた。
この地味な嫌がらせ攻撃に腹が立ったのか、ヒトツメイワはコアを光らせて攻撃の意思を示す。
「よし来いっ」
それを見たタフィは、体を大きく開いた極端なオープンスタンスでバットを構える。
そんなタフィ目掛けて、ヒトツメイワはファイヤーボールを放った。
「どりゃあああっ!」
自分に向かって高速で飛んでくるファイヤーボール。タフィはそれを上から叩くようにして見事に打ち返す。
カーンという快音を残して打ち返されたファイヤーボールは、低めのライナーとなってヒトツメイワの体を直撃、そのまま爆砕した。
「よっしゃー!」
雄叫びをあげるタフィを見ながら、カリンは思わず苦笑した。
「ほんっと、デタラメな戦い方だね」
どうしてタフィはこんな戦い方をするようになったのか。
その理由を紐解くところから、物語を始めることにしよう。
冒険者とドラゴン、そしてバットを持った少年という異色のメンバーで組まれたパーティーが、モンスターに戦いを挑もうとしていた。
「ウデエンバンにスライム、それにヒトツメイワ。エンバンはうちが相手するから、スライムはボイヤー、ヒトツメはタフィが相手して」
指示を出したのは、切れ長の目に、茶色の髪を短めのツーサイドアップにした若い女性だ。
動きやすそうな革製の上着とショートパンツに身を包み、腰に装飾の施された短剣を差し、巨大な槍を背負っていた。
彼女の名はカリン・ゴッチ、今年で20歳になるうら若き冒険者だ。
「わかったよカリン姉さん」
元気よく返事をしたのはドラゴンのボイヤー。リスのような愛くるしい見た目に、約2メートルという、ドラゴンとしては小柄な体格ながら、豊富な魔力と圧倒的なパワーを有していた。
「おう」
そして、軽い感じで返事をしたのがタフィ・カルドーゾ。ボイヤーにとっては実の兄のような、カリンにとっては弟分的な存在の少年である。
白と黒の縦じまが入った服を着こみ、手には愛用の黒バットが握られていた。
「行くよっ!」
槍の柄に手をかけながら、カリンはウデエンバンに向かって走り出す。
対するウデエンバンは、直径3メートルはあろうかという円盤状の巨大な体をカリンの方へ向けると、太い2本の腕で地面を思い切り蹴ってゴロゴロと転がり始めた。
両者の相対距離は瞬く間に縮まっていく。
「とおっ!」
カリンは勢いよく跳び上がるや、高速回転しているウデエンバンの体に向かって振り下ろすように槍を放った。
「いっけー!」
ズザンッと突き刺さった槍によって、石でできたウデエンバンの体に大きなヒビが入り、そのまま崩れ落ちた。
「オッケーイ。あっちはどうなってるかな?」
カリンがボイヤーの方へ視線を向けると、ちょうどスライムに向けて高温のブレスを放っているところだった。
「うん、消し炭だね。あとは、タフィだけか」
今度はタフィの方へ視線を向けた。
相手にしているヒトツメイワは、巨岩から手足が生えた二足歩行のモンスターで、名前の由来ともなった目玉のようなコアから、様々な魔法攻撃を放ってくる。
「来やがれこの野郎っ」
タフィは挑発するようにヒトツメイワに向かって石を投げつけた。
この地味な嫌がらせ攻撃に腹が立ったのか、ヒトツメイワはコアを光らせて攻撃の意思を示す。
「よし来いっ」
それを見たタフィは、体を大きく開いた極端なオープンスタンスでバットを構える。
そんなタフィ目掛けて、ヒトツメイワはファイヤーボールを放った。
「どりゃあああっ!」
自分に向かって高速で飛んでくるファイヤーボール。タフィはそれを上から叩くようにして見事に打ち返す。
カーンという快音を残して打ち返されたファイヤーボールは、低めのライナーとなってヒトツメイワの体を直撃、そのまま爆砕した。
「よっしゃー!」
雄叫びをあげるタフィを見ながら、カリンは思わず苦笑した。
「ほんっと、デタラメな戦い方だね」
どうしてタフィはこんな戦い方をするようになったのか。
その理由を紐解くところから、物語を始めることにしよう。
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