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第1章 卒業後の進路
黒バットの真価
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「タフィ……あんたのバットどうなってるの?」
カリンは呆れた様子で話しかけた。
「知らねぇよ。なんか咄嗟に打ったら打ち返せちゃったんだから」
「それ、他の魔法も打ち返せたりするのかな? ボイヤー、あんたちょっと軽くファイヤーボール投げてみ」
「兄やんに向かってですか? 嫌です嫌です。もし当たったらどうするんですか?」
ボイヤーは当然のように首を横に振った。
「大丈夫大丈夫。あいつならなんとかなるから。だから投げてみ」
何を根拠に大丈夫と言っているのかはわからないが、カリンはボイヤーの腕を掴むと、タフィから30メートルくらい離れた場所へ強引に連れていった。
「この辺でいいか。タフィ、いくよぉ」
カリンに言われ、タフィはバットを構える。
「じゃ、投げて」
カリンはボイヤーの背中をポンっと叩く。
「はい……」
(絶対当たらないように、バットが届くギリギリのところに投げよう)
ボイヤーはそんな風にコントロールに注意してファイヤーボールを放ったつもりだったのだが、意識し過ぎたせいなのか、意図に反してタフィの体目掛けて一直線に飛んでいった。
「あ……」
ボイヤーはしまったという顔になる。
「ちょっとビビらせようかな」
先ほどと違い、攻撃されることがわかっていることもあって、タフィは少し余裕があった。
「それ」
タフィはカリンとボイヤーの近くへ飛んでいくように調整して打ち返した。
「きゃっ!」
打ち返されたファイヤーボールは、驚くカリンの横を高速で通過し、そのまま地面に直撃して消え去った。
「悪い悪い、そっちに打つつもりはなかったんだけさ」
タフィはニヤニヤしながらカリンたちのところへやって来た。
「あんた……いいバットコントロールしてんじゃないのっ」
カリンは満面の笑みを浮かべながら、バチーンッとタフィの後頭部をひっぱたいた。
「いってぇ……何すんだよ」
「何って、いいバットコントロールだったから頭をなでてあげたんでしょ」
「これは殴るだろ」
「“なでる”も“なぐる”も似たようなもんじゃない。それより、実戦でもしっかりコントロールできるようにしときなさいよ。相手はともかく、味方に当たったらシャレになんないからね」
「……はいはい、わかりました」
叩かれた直後だったので、タフィの返事はちょっと投げやりだった。
「じゃ、うちらも行くよ。まごまごしてると、本当にあのバカ息子に先を越されちゃうかもしれないからね」
「うっし、走るぞボイヤー」
「はい」
タフィとボイヤーは勢いよく駆け出した。
「……ダンジョンまであと5キロくらいあるんだけど、あいつら体力もつかな?」
カリンは小さくなっていく後ろ姿を見つめながら、マイペースに歩いていった。
カリンは呆れた様子で話しかけた。
「知らねぇよ。なんか咄嗟に打ったら打ち返せちゃったんだから」
「それ、他の魔法も打ち返せたりするのかな? ボイヤー、あんたちょっと軽くファイヤーボール投げてみ」
「兄やんに向かってですか? 嫌です嫌です。もし当たったらどうするんですか?」
ボイヤーは当然のように首を横に振った。
「大丈夫大丈夫。あいつならなんとかなるから。だから投げてみ」
何を根拠に大丈夫と言っているのかはわからないが、カリンはボイヤーの腕を掴むと、タフィから30メートルくらい離れた場所へ強引に連れていった。
「この辺でいいか。タフィ、いくよぉ」
カリンに言われ、タフィはバットを構える。
「じゃ、投げて」
カリンはボイヤーの背中をポンっと叩く。
「はい……」
(絶対当たらないように、バットが届くギリギリのところに投げよう)
ボイヤーはそんな風にコントロールに注意してファイヤーボールを放ったつもりだったのだが、意識し過ぎたせいなのか、意図に反してタフィの体目掛けて一直線に飛んでいった。
「あ……」
ボイヤーはしまったという顔になる。
「ちょっとビビらせようかな」
先ほどと違い、攻撃されることがわかっていることもあって、タフィは少し余裕があった。
「それ」
タフィはカリンとボイヤーの近くへ飛んでいくように調整して打ち返した。
「きゃっ!」
打ち返されたファイヤーボールは、驚くカリンの横を高速で通過し、そのまま地面に直撃して消え去った。
「悪い悪い、そっちに打つつもりはなかったんだけさ」
タフィはニヤニヤしながらカリンたちのところへやって来た。
「あんた……いいバットコントロールしてんじゃないのっ」
カリンは満面の笑みを浮かべながら、バチーンッとタフィの後頭部をひっぱたいた。
「いってぇ……何すんだよ」
「何って、いいバットコントロールだったから頭をなでてあげたんでしょ」
「これは殴るだろ」
「“なでる”も“なぐる”も似たようなもんじゃない。それより、実戦でもしっかりコントロールできるようにしときなさいよ。相手はともかく、味方に当たったらシャレになんないからね」
「……はいはい、わかりました」
叩かれた直後だったので、タフィの返事はちょっと投げやりだった。
「じゃ、うちらも行くよ。まごまごしてると、本当にあのバカ息子に先を越されちゃうかもしれないからね」
「うっし、走るぞボイヤー」
「はい」
タフィとボイヤーは勢いよく駆け出した。
「……ダンジョンまであと5キロくらいあるんだけど、あいつら体力もつかな?」
カリンは小さくなっていく後ろ姿を見つめながら、マイペースに歩いていった。
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