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第1章 卒業後の進路
試合の成果
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翌日、予定どおりキュービンゲンへ向けて出発したタフィたちだったが、その道中、森の中で盗賊の一団と遭遇してしまう。
「止まれっ!」
甲高い声でそう叫んだのは、バンダナを巻いた小柄な盗賊で、右手には大きめのナイフが握られている。
並の御者ならひるんでしまいそうな状況だが、物心がつく頃から御者の英才教育を受けてきたロイは、肝の据わり方が違った。
「なんだ、乗りたいのか?」
「んなわけねぇだろ! 盗賊が刃物突きつけてんだぞ。金目の物を奪いに来たに決まってるじゃねぇか!」
“盗賊”というフレーズを聞き、カリンは即座にタフィとボイヤーに指示を出す。
「タフィ、あんた前から外に出てバルボンさんのこと守りな。うちとボイヤーは後ろから出て様子を見るから」
「わかった」
「わかりました」
ロイもそれを把握しながら、盗賊とのやり取りを続ける。
「盗賊? お前ら盗賊だったのか?」
「どう見たって盗賊だろ。これが木こりの集団に見えるか」
「人によっては見えるかもしれないじゃないか。あ、そうだ、首から『私たちは盗賊です。木こりじゃありません』って札でも下げといたらどうだ、そしたら誰も間違わないから」
「この野郎……言わせておけば」
キレた盗賊は、ロイ目掛けてナイフを投げつけた。
「おりゃ」
タフィは慌てて馬車を飛び出ると、即座に飛んできたナイフを打ち返した。
「ぎゃああ!」
打ち返したナイフは、様子をうかがっていた別の盗賊の腕に突き刺さった。
「やりやがったな」
「いや、やったのはお前のナイフだろ」
「うっせえ! おい、やっちまえ!」
盗賊が怒鳴り声をあげるや、木陰に隠れていたのも含めて、10人近い盗賊たちが一斉に襲いかかってきた。
「行くよボイヤー」
「はい」
カリンとボイヤーもすぐさま応戦する。
「とりゃ!」
カリンは豪快に槍を振り回し、盗賊どもを次々と薙ぎ払っていく。
「おりゃあ!」
森の中ということで、ボイヤーは炎系の魔法を使わず、丸太のような腕を活かした強烈なラリアットを盗賊におみまいする。
「くらえ!」
そしてタフィは、その辺に落ちている石や小枝、硬い木の実などを手に取ると、それらを盗賊目掛けて矢継ぎ早に打ち始めた。
「ぎゃっ」
「ぐぁぁ」
凄まじい打球速度と天才的なバットコントロールによって、単なる石や小枝があっという間に強力な武器へと変貌を遂げる。
「なるほどな。だからタフィの奴、あの時『ノッカーやらせてくれ』って俺に言ってきたのか」
ロイがつぶやいたように、この攻撃は試合前のノックを見ていた時にひらめいたものだった。
「あとはあいつだけか」
タフィはノックの要領で木の実をトスすると、鎧を着た盗賊目掛けてライナー性の当たりを放つ。
「うぐっ」
火の出るような打球は盗賊の腹部を直撃、鎧は陥没し、盗賊は力なく倒れ込んだ。
「さて、俺も手伝いに行くか」
ロイは戦闘が終わったことを確認すると、タフィたちと一緒に盗賊連中をロープでしっかりと縛り上げ、そのまま馬車の荷台に放り込んだ。
「よし、これで出発できる。それにしても、タフィのバットコントロールは大したもんだな」
「へへっ、あんなでかい的、ノックで狙うくらいチョロいもんよ」
タフィは得意げに笑った。
「あんまり調子に乗るんじゃないよ」
「はいはい」
カリンはすぐに釘を刺したが、タフィは適当に受け流す。
「ほら、馬車を出すからお前ら乗れ」
タフィたちを乗せ、馬車はキュービンゲンへ向けて動き出した。
「止まれっ!」
甲高い声でそう叫んだのは、バンダナを巻いた小柄な盗賊で、右手には大きめのナイフが握られている。
並の御者ならひるんでしまいそうな状況だが、物心がつく頃から御者の英才教育を受けてきたロイは、肝の据わり方が違った。
「なんだ、乗りたいのか?」
「んなわけねぇだろ! 盗賊が刃物突きつけてんだぞ。金目の物を奪いに来たに決まってるじゃねぇか!」
“盗賊”というフレーズを聞き、カリンは即座にタフィとボイヤーに指示を出す。
「タフィ、あんた前から外に出てバルボンさんのこと守りな。うちとボイヤーは後ろから出て様子を見るから」
「わかった」
「わかりました」
ロイもそれを把握しながら、盗賊とのやり取りを続ける。
「盗賊? お前ら盗賊だったのか?」
「どう見たって盗賊だろ。これが木こりの集団に見えるか」
「人によっては見えるかもしれないじゃないか。あ、そうだ、首から『私たちは盗賊です。木こりじゃありません』って札でも下げといたらどうだ、そしたら誰も間違わないから」
「この野郎……言わせておけば」
キレた盗賊は、ロイ目掛けてナイフを投げつけた。
「おりゃ」
タフィは慌てて馬車を飛び出ると、即座に飛んできたナイフを打ち返した。
「ぎゃああ!」
打ち返したナイフは、様子をうかがっていた別の盗賊の腕に突き刺さった。
「やりやがったな」
「いや、やったのはお前のナイフだろ」
「うっせえ! おい、やっちまえ!」
盗賊が怒鳴り声をあげるや、木陰に隠れていたのも含めて、10人近い盗賊たちが一斉に襲いかかってきた。
「行くよボイヤー」
「はい」
カリンとボイヤーもすぐさま応戦する。
「とりゃ!」
カリンは豪快に槍を振り回し、盗賊どもを次々と薙ぎ払っていく。
「おりゃあ!」
森の中ということで、ボイヤーは炎系の魔法を使わず、丸太のような腕を活かした強烈なラリアットを盗賊におみまいする。
「くらえ!」
そしてタフィは、その辺に落ちている石や小枝、硬い木の実などを手に取ると、それらを盗賊目掛けて矢継ぎ早に打ち始めた。
「ぎゃっ」
「ぐぁぁ」
凄まじい打球速度と天才的なバットコントロールによって、単なる石や小枝があっという間に強力な武器へと変貌を遂げる。
「なるほどな。だからタフィの奴、あの時『ノッカーやらせてくれ』って俺に言ってきたのか」
ロイがつぶやいたように、この攻撃は試合前のノックを見ていた時にひらめいたものだった。
「あとはあいつだけか」
タフィはノックの要領で木の実をトスすると、鎧を着た盗賊目掛けてライナー性の当たりを放つ。
「うぐっ」
火の出るような打球は盗賊の腹部を直撃、鎧は陥没し、盗賊は力なく倒れ込んだ。
「さて、俺も手伝いに行くか」
ロイは戦闘が終わったことを確認すると、タフィたちと一緒に盗賊連中をロープでしっかりと縛り上げ、そのまま馬車の荷台に放り込んだ。
「よし、これで出発できる。それにしても、タフィのバットコントロールは大したもんだな」
「へへっ、あんなでかい的、ノックで狙うくらいチョロいもんよ」
タフィは得意げに笑った。
「あんまり調子に乗るんじゃないよ」
「はいはい」
カリンはすぐに釘を刺したが、タフィは適当に受け流す。
「ほら、馬車を出すからお前ら乗れ」
タフィたちを乗せ、馬車はキュービンゲンへ向けて動き出した。
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