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第1章 卒業後の進路
聞き込み開始
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「おい、もうすぐ着くぞ」
盗賊の襲撃以降特に大きなトラブルもなく、タフィたちは無事キュービンゲンに到着した。
なお、盗賊たちは途中の街で憲兵隊に身柄を引き渡している。
「ふーん、あれがキュービンゲンか」
タフィは御者席から顔を覗かせた。
キュービンゲンはレンガや石造りの質素な家が点在する小さな村で、店の類は一切ない。
「ここでいいだろ」
ロイは村の入り口あたりで馬車を止めた。
「サンキューバルボンさん」
「おう。お前ら、しっかり包丁見つけろよ。じゃあな」
ロイはタフィたちに別れを告げて去っていった。
「とりあえず、誰かに話を聞いてみよっか」
「だな」
「はい」
片っ端から聞き込みを開始したタフィたちであったが、マレッドが村を出てから50年以上の月日が経過していたこともあり、手がかりはおろか、マレッドが住んでいたことすら知らない住人がほとんどだった。
「ちょっとこれは厳しそうね……」
「マジで誰も知らないとかやめてくれよな」
「……」
徐々に重い空気がタフィたちの間に漂い始めているなか、ようやくマレッドを知る人物に巡り合えた。
「マレッド? ……あぁ、ジョイコブセンのとこの坊主か」
「おばあさん知ってるの?」
カリンの声がわずかに弾む。
「知ってるよ。といっても、ここに住んでいた時のことだけで、今何をしてるかは知らないけどね」
「それで全然大丈夫。実は……」
カリンは事情をかいつまんで説明した。
「そうだったのかい。それでわざわざこんなへんぴな村まで、随分とご苦労なことだね」
「それで、何か手がかりになりそうなことを知っていたら教えてくれない?」
「手がかりっていってもねぇ、随分と昔のことだから……」
おばあさんは困った顔をする。
「どんな些細なことでも構わないんで」
「そうそう、くっだらないことでもいいからさ、頼むよばあちゃん」
「そうだねぇ……」
おばあさんは、記憶の奥底にしまい込まれているであろうマレッドとの思い出をなんとか引っ張り出した。
「……そういえば、親父さんに怒られた時なんかは、よく東の森ん中にある泉に行ってたわね」
「泉ですか」
「ばあちゃんばあちゃん、他にはなんかないの?」
当人に悪意はないのだが、遠回しに回答に不満があると言っているような言い方だった。
「ちょっとタフィ」
カリンは小声でタフィの言動をたしなめた。
「……ごめんなさいね、ちょっとこれ以上は思い出せないわ」
「あ、いいのいいの、全然気にしないで。それで、その泉って森のどのあたりにあるの?」
「うーんそうだねぇ、口で説明するのはちょっと難しいんだけど……それじゃ、森の入り口んところまであたしが案内してやるよ」
「本当? ありがとう」
タフィたちは、おばあさんの案内で森の入口へと向かっていった。
盗賊の襲撃以降特に大きなトラブルもなく、タフィたちは無事キュービンゲンに到着した。
なお、盗賊たちは途中の街で憲兵隊に身柄を引き渡している。
「ふーん、あれがキュービンゲンか」
タフィは御者席から顔を覗かせた。
キュービンゲンはレンガや石造りの質素な家が点在する小さな村で、店の類は一切ない。
「ここでいいだろ」
ロイは村の入り口あたりで馬車を止めた。
「サンキューバルボンさん」
「おう。お前ら、しっかり包丁見つけろよ。じゃあな」
ロイはタフィたちに別れを告げて去っていった。
「とりあえず、誰かに話を聞いてみよっか」
「だな」
「はい」
片っ端から聞き込みを開始したタフィたちであったが、マレッドが村を出てから50年以上の月日が経過していたこともあり、手がかりはおろか、マレッドが住んでいたことすら知らない住人がほとんどだった。
「ちょっとこれは厳しそうね……」
「マジで誰も知らないとかやめてくれよな」
「……」
徐々に重い空気がタフィたちの間に漂い始めているなか、ようやくマレッドを知る人物に巡り合えた。
「マレッド? ……あぁ、ジョイコブセンのとこの坊主か」
「おばあさん知ってるの?」
カリンの声がわずかに弾む。
「知ってるよ。といっても、ここに住んでいた時のことだけで、今何をしてるかは知らないけどね」
「それで全然大丈夫。実は……」
カリンは事情をかいつまんで説明した。
「そうだったのかい。それでわざわざこんなへんぴな村まで、随分とご苦労なことだね」
「それで、何か手がかりになりそうなことを知っていたら教えてくれない?」
「手がかりっていってもねぇ、随分と昔のことだから……」
おばあさんは困った顔をする。
「どんな些細なことでも構わないんで」
「そうそう、くっだらないことでもいいからさ、頼むよばあちゃん」
「そうだねぇ……」
おばあさんは、記憶の奥底にしまい込まれているであろうマレッドとの思い出をなんとか引っ張り出した。
「……そういえば、親父さんに怒られた時なんかは、よく東の森ん中にある泉に行ってたわね」
「泉ですか」
「ばあちゃんばあちゃん、他にはなんかないの?」
当人に悪意はないのだが、遠回しに回答に不満があると言っているような言い方だった。
「ちょっとタフィ」
カリンは小声でタフィの言動をたしなめた。
「……ごめんなさいね、ちょっとこれ以上は思い出せないわ」
「あ、いいのいいの、全然気にしないで。それで、その泉って森のどのあたりにあるの?」
「うーんそうだねぇ、口で説明するのはちょっと難しいんだけど……それじゃ、森の入り口んところまであたしが案内してやるよ」
「本当? ありがとう」
タフィたちは、おばあさんの案内で森の入口へと向かっていった。
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