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第2章 卒業試験
キャットダンジョン探索中
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翌日、タフィたちは朝一からキャットダンジョンで大暴れしていた。
「おらぁ!」
タフィが相対しているのは、猫耳を付けたヒトツメイワのトリオ。かわいいというより、どこか間の抜けた姿をしているものの、放たれる魔法の威力はヴァーベンダンジョンで戦ったものよりも数段上で、耐久力もそれに準じて向上している。
が、そんなことはタフィには関係なく、戦闘向けに少し改良されたバッティングによって、容赦なく魔法攻撃を打ち返されていた。
「くらえー!」
ボイヤーは天井ギリギリまで飛び上がると、猫の手になったウデエンバン目掛け、落下する勢いを利用しながらファイヤーボールを叩き込み、見事ウデエンバンを撃破した。
「あ、魔石が出てきた」
倒されたウデエンバンの中に魔石があるのを見て、カリンはすぐにそれを回収する。
「……うーん、これはあんまりかわいくないね」
出てきたのは猫耳のような形をした明るい青色の魔石で、大きさは10センチほど。
「本当になんでも猫の形をしてるんだな」
ヒトツメイワとの戦闘を終えたタフィが、カリンのところへやって来た。
「あ、タフィちょうどいいところに。あそこに魔石があるんだけど、ちょっと打って落としてくれない?」
カリンは、壁の上部にある岩から顔を出した赤褐色の魔石を指差した。
「……あぁ、あれか。わかった」
「じゃあ、うちが合図したら打って」
カリンは魔石を受け取れるように岩の下へと移動する。
「いいよぉ」
「よーし、それっ」
タフィはその辺に落ちていた手ごろな石を手に取り、岩目掛けて打ち込んだ。
「ナーイス」
カリンは岩が落下してくるのを確認するや、即座に捕球体勢に入って見事にキャッチ。そしてそれを地面にそっと置くと、槍を使って魔石の周りに付いた岩を丁寧に削ぎ落した。
「肉球かぁ」
岩の中にあったのは猫の足裏の形をした青色の小ぶりな魔石だ。
「……なぁ、魔石ってなんなの?」
タフィは魔石を見つめながら不意にそんなことを聞いてきた。
「どうしたの急に?」
「いや、なんとなく気になってさ。これ、ダンジョンにとってなんなの?」
「なんなのって……あ、真珠よ真珠、真珠みたいなもん」
カリンはタフィと比べてかなり雑な説明で済まそうとした。
「なるほど真珠かぁ……あ、なんか変なのが出てきた」
地中から突如出現したのは剣のような形をした岩のモンスターで、その大きさはおよそ2.5メートル。柄の部分からは、まったく似合っていない猫のしっぽがニュッと生えていた。
「あれはイワツルギね。見てのとおり剣の形をした岩のモンスターで、剣を突き刺すように飛んでくるのよ」
「飛んでくるのか。だったらここで構えてればいいな。おーいツルギ野郎っ、かかってこーい!」
タフィはイワツルギに向かって挑発するように大声で叫んだ。
するとその声に呼応するかのようにイワツルギはぴょーんと飛び上がるや、そこから切っ先をタフィへ向けて勢いよく突っ込んできた。
「どおりゃあああ!」
タフィは迫ってくる巨大な剣に対して全くひるむことなくバットを振り、そのまま力負けすることなく豪快に振り抜いて相手の体を粉砕した。
「うぉし! ……なぁ、今のやつってどんくらいの強さなの?」
「ギルド基準だとイワツルギのランクはデ……いや、Eランクね」
慢心させないためか、カリンは実際より1ランク下の値をタフィに告げた。
なお、モンスターなどの強さを示すランクは冒険者ギルドが独自に定めているもので、FからSまでの7段階がある。
定められた目的は依頼の難易度や報酬額を査定するためで、鍛え抜かれた熟練のギルド職員が実際に戦ってランクを決定していた。
「ふーん、そんなもんか。じゃあ、ボイヤーが戦ってるやつはどんくらいなの?」
ヒトツメイワを倒したボイヤーは、そのまま猫の形をしたスライムとの戦闘に突入していた。
「キャットスライムはEランクね」
「それって普通のスライムより上なの?」
「上ね。あれは普通のやつと違って、素早く動いたり魔法を放ったりするから」
「やっぱ上か……あ、倒した」
ボイヤーは猫同様の素早い動きに多少翻弄されたが、最後は炎を手にまとわせた状態で放つ強力な掌打をおみまいし、一撃でスライムを消し飛ばした。
「良い一撃だったわ。猫好きが見たら確実に悲鳴をあげるくらいにね」
カリンは戻ってきたボイヤーを軽くからかった。
「だって姉さん言ったじゃないですか、ここでは見た目を気にしちゃダメだって」
「だから褒めてんじゃない。猫好きが悲鳴をあげるくらいに良い攻撃だったって」
「褒めるならもっとストレートに褒めてくださいよ」
「はいはい。それで、魔石は手に入ったの?」
「スライムはなかったですけど、ヒトツメイワからこれが出てきました」
ボイヤーが手に入れたのは、丸くなって眠っている猫の形をした、手のひらサイズの赤い魔石。
「どれどれ」
カリンは魔石を手に取ってまじまじと見た。
「うーん、悪くないんだけど、大きさとか表情がちょっと物足んないなぁ」
「そうですか」
「じゃ、引き続き魔石を探していきましょう」
この後、3人は1日中ダンジョンに籠って魔石を探していたが、コーツが喜びそうなものを見つけることはできなかった。
「おらぁ!」
タフィが相対しているのは、猫耳を付けたヒトツメイワのトリオ。かわいいというより、どこか間の抜けた姿をしているものの、放たれる魔法の威力はヴァーベンダンジョンで戦ったものよりも数段上で、耐久力もそれに準じて向上している。
が、そんなことはタフィには関係なく、戦闘向けに少し改良されたバッティングによって、容赦なく魔法攻撃を打ち返されていた。
「くらえー!」
ボイヤーは天井ギリギリまで飛び上がると、猫の手になったウデエンバン目掛け、落下する勢いを利用しながらファイヤーボールを叩き込み、見事ウデエンバンを撃破した。
「あ、魔石が出てきた」
倒されたウデエンバンの中に魔石があるのを見て、カリンはすぐにそれを回収する。
「……うーん、これはあんまりかわいくないね」
出てきたのは猫耳のような形をした明るい青色の魔石で、大きさは10センチほど。
「本当になんでも猫の形をしてるんだな」
ヒトツメイワとの戦闘を終えたタフィが、カリンのところへやって来た。
「あ、タフィちょうどいいところに。あそこに魔石があるんだけど、ちょっと打って落としてくれない?」
カリンは、壁の上部にある岩から顔を出した赤褐色の魔石を指差した。
「……あぁ、あれか。わかった」
「じゃあ、うちが合図したら打って」
カリンは魔石を受け取れるように岩の下へと移動する。
「いいよぉ」
「よーし、それっ」
タフィはその辺に落ちていた手ごろな石を手に取り、岩目掛けて打ち込んだ。
「ナーイス」
カリンは岩が落下してくるのを確認するや、即座に捕球体勢に入って見事にキャッチ。そしてそれを地面にそっと置くと、槍を使って魔石の周りに付いた岩を丁寧に削ぎ落した。
「肉球かぁ」
岩の中にあったのは猫の足裏の形をした青色の小ぶりな魔石だ。
「……なぁ、魔石ってなんなの?」
タフィは魔石を見つめながら不意にそんなことを聞いてきた。
「どうしたの急に?」
「いや、なんとなく気になってさ。これ、ダンジョンにとってなんなの?」
「なんなのって……あ、真珠よ真珠、真珠みたいなもん」
カリンはタフィと比べてかなり雑な説明で済まそうとした。
「なるほど真珠かぁ……あ、なんか変なのが出てきた」
地中から突如出現したのは剣のような形をした岩のモンスターで、その大きさはおよそ2.5メートル。柄の部分からは、まったく似合っていない猫のしっぽがニュッと生えていた。
「あれはイワツルギね。見てのとおり剣の形をした岩のモンスターで、剣を突き刺すように飛んでくるのよ」
「飛んでくるのか。だったらここで構えてればいいな。おーいツルギ野郎っ、かかってこーい!」
タフィはイワツルギに向かって挑発するように大声で叫んだ。
するとその声に呼応するかのようにイワツルギはぴょーんと飛び上がるや、そこから切っ先をタフィへ向けて勢いよく突っ込んできた。
「どおりゃあああ!」
タフィは迫ってくる巨大な剣に対して全くひるむことなくバットを振り、そのまま力負けすることなく豪快に振り抜いて相手の体を粉砕した。
「うぉし! ……なぁ、今のやつってどんくらいの強さなの?」
「ギルド基準だとイワツルギのランクはデ……いや、Eランクね」
慢心させないためか、カリンは実際より1ランク下の値をタフィに告げた。
なお、モンスターなどの強さを示すランクは冒険者ギルドが独自に定めているもので、FからSまでの7段階がある。
定められた目的は依頼の難易度や報酬額を査定するためで、鍛え抜かれた熟練のギルド職員が実際に戦ってランクを決定していた。
「ふーん、そんなもんか。じゃあ、ボイヤーが戦ってるやつはどんくらいなの?」
ヒトツメイワを倒したボイヤーは、そのまま猫の形をしたスライムとの戦闘に突入していた。
「キャットスライムはEランクね」
「それって普通のスライムより上なの?」
「上ね。あれは普通のやつと違って、素早く動いたり魔法を放ったりするから」
「やっぱ上か……あ、倒した」
ボイヤーは猫同様の素早い動きに多少翻弄されたが、最後は炎を手にまとわせた状態で放つ強力な掌打をおみまいし、一撃でスライムを消し飛ばした。
「良い一撃だったわ。猫好きが見たら確実に悲鳴をあげるくらいにね」
カリンは戻ってきたボイヤーを軽くからかった。
「だって姉さん言ったじゃないですか、ここでは見た目を気にしちゃダメだって」
「だから褒めてんじゃない。猫好きが悲鳴をあげるくらいに良い攻撃だったって」
「褒めるならもっとストレートに褒めてくださいよ」
「はいはい。それで、魔石は手に入ったの?」
「スライムはなかったですけど、ヒトツメイワからこれが出てきました」
ボイヤーが手に入れたのは、丸くなって眠っている猫の形をした、手のひらサイズの赤い魔石。
「どれどれ」
カリンは魔石を手に取ってまじまじと見た。
「うーん、悪くないんだけど、大きさとか表情がちょっと物足んないなぁ」
「そうですか」
「じゃ、引き続き魔石を探していきましょう」
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