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第64話 白黒エルフの要望

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するとアキンドがうかない顔をして挨拶に来た。メイドールが屋敷に招き入れお茶を出す。

「「「粗茶でございます。」」」
「ありがとさん、んおおきに。」
「どうしたアキンド、豚どもの襲撃の件か?」
「そうでおま、あの荒れ地でやられてしもた猿獣人の行商人はワテの古い商売仲間でおましてな、子供の年齢も近く家族ぐるみの付き合いをしとったんですわ。大森林西から荒れ地をメインに活動しとりましてな、今回の戦争の情報もあいつから貰ろたんですわ。」

「何故豚の事を注意してやらなかったんだ?」
「ワテかて注意しましてん、だけどサルハシはんは戦争特需で稼ぎ時やから、家族に贅沢さしてやりたい、護衛もいるから心配ない言うて、ワテの忠告を聞きまへんでしたのや。こんな事ならワテの身代りドール渡しとくんやったわ。」

いつもおちゃらけているアキンドには珍しく陰気な態度で頭を抱えてしまった。

「身代りドールはお前にやったものだ、例えそいつが持っていたところで結果は大して変わらんだろう。気に病むな。」
「だんさん、なんででっか?」

「身代りドールはあくまで1度きりの身代りだ、それを使う状況を回避しようと心がけている人間ならば持っている価値がある。酷な言い方だが欲を優先して危険地帯に飛び込む危機感の無い者は、1度助かってもラッキーと感じるくらいでまた無謀な事をを繰り返す。命は一つしかないのだ。己の命は己で大切にしなければならない。」

「仰せごもっとも、だんさんの言う通りでおます。ただ何の罪もないサルハシはん家族を皆殺しにした豚獣人がワテはどうしても許せんのですわ。」
「それは俺も同じだ、豚どもには相応の報いを受けて貰う。」

アキンドと話しているとアメシストが再度やってきた。

「ソウシ様、今回のソウシ様の褒美に対するエルフ及びダークエルフの族長の要望が届きました。」
「それで何を創って欲しいのだ?」
「奇しくも両エルフの区長共に機動力が欲しいとの要望でした。徒歩での巡回警備では行動範囲に限界があり、今後もエリス神殿街の街道網が拡張発展すると予想しますと行動に支障をきたすと申しておりました。」

「よくぞ申した。エリス神殿守護としての自覚が芽生えた証だ。わかった、白黒エルフ達の望みをかなえよう。」
「はい、それでどのような施設を創造なさいますか。」

「そうだな、白黒エルフの里には機動隊の基地を創造しよう、基地にはキリカA機動装甲車(切り株型の10人乗りの高速装甲車)キリカB悪路装甲車(いもむし型キャタピラー付き)偵察用マル単車(2人乗りの丸太型のバイク)等々、エルフに相応しいツリーフォルムで、武装し機動力に優れた乗り物がドールハウスオプションで配備されている。街道が発達した今縦横に活躍してくれるはずだ。」
「畏まりました、そう申し伝えておきます。ソウシ様。」

アメシストは連絡するために一礼して下がっていった。
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