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第63話 各区からの報告

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夜から朝にかけて各区長から報告が届いていた。朝食後、アメシストが報告書を片手に俺の所にやってきた。

「ソウシ様。各区長からの報告を取りまとめ持参いたしました。」
「そうか、アメシスト、読み上げてくれ。」

「はい、まず白エルフの区長によりますと、昨夜森林警備隊の巡回中にキツネ区に向かうオークらしき魔物を発見。追跡しキツネ区に侵入しようとしたところを討伐したそうです。また黒エルフの区長からの報告では、同じく森林警備隊がリス区に向かうオークと遭遇、その場で戦闘になり討伐したとの事です。ネコ区にも来たようですが、事前通達により自警団を組織しイヌ区とイタチ区からの応援で撃退したと報告が来ております。」

「各区もだいぶしっかりしてきたな、マーメイド区には来なかったのか?」
「いえ、それが海上要塞が敵勢反応に起動したようなのですが、オメガ粒子砲の火力が強すぎて跡形もなく消滅してしまい、何者が襲撃に来ていたのかは不明だそうです。」
「ああそうか、主砲じゃ火力高すぎたのか。雑魚には雑魚用の武装で対応するよう後で調整しないとな。」
「はい、宜しくお願い致します。ソウシ様。」

「大方予想通りだ。アリスによればあの豚は女好きで有名らしい。ウサギやリスやキツネ、そして女だらけのマーメイド、一般的に見目麗しいとされている獣人(マーメイドは獣人ではないが)を優先的に狙うのは火を見るより明らか、警戒を怠らず網を張っていれば簡単にかかるのさ。」
「さすがです、ソウシ様!」
「アリスの情報のお蔭だよ。」

俺はアリスを抱き寄せて頭をなでなでする。アリスは頬を赤らめ腕をからめしなだれかかってくる。ふにふにと柔らかいアリスとのスキンシップは、昨夜から殺伐としていた心がじんわりと和んでくる。ああ、ほっとする。アリスかわいい。

「白黒エルフたちはエリス神殿街の守護として十分機能しているようだな、今回の勲功に報いる為に大工場でも大農園でも城塞でも軍施設でも望むものを1つ創造してやろう。両区長にそう伝えてくれアメシスト。」
「はい、畏まりました。ソウシ様。」
「他に被害はないか?」
「今のところ他に被害報告は来ておりません。ただ、外部に出払っている商人や旅人までの安否はわかりかねます。」
「個別に全員の行動までは逐一把握のしようがない。皆が己の命を大切に警戒を怠らぬようにするしかない。」
「はい、それでは失礼致します。」
 
アメシストは一礼すると下がって行った。


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