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第62話 獅子獣人サイド

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その頃、獅子獣人軍は荒れ地を東に直進で向かっていた。目指すは大森林虎人集落だ。獅子獣人の頭はレオダストと言い、その片腕というか腰巾の黒豹獣人はヒョウクロと言う。

その女の子は手かせ足かせ首かせを付けられて全身傷だらけだった。年の頃は10歳前後くらいだろうか、小学生くらいの小さな女の子だ。ティガーの娘でティナと言う。

「お頭、お言いつけどおり虎獣人のティガーの娘を連れて来ましたでヒョ。おいさっさと来るでげヒョ。」

鎖でつながれた首輪をヒョウクロが引っ張ると虎獣人の女の子が強引に引きずられてきた。

「うぐっ。やめて、く、苦しい・・。」
「うるせえ、だまれ!虎のメスガキ。ビシッ」
「きゃっ、うぅ。」

「ところでヒョウクロよ、他の捕まえた獣人どもはどうしてる?」
「里の隠し牢に入れてますでげヒョ。死なない程度に餌も与えているでげヒョ。」
「帝国につなぎは取れたか?餌代も高くつくから要らねえ獣人はさっさと売り飛ばさねえとな。」
「ゴルドステ教の西方司教に話はついてますでげヒョ。容姿の良い獣人は人間族の好きもの変態の間で高値で取引されるでげヒョ。ムヒョヒョヒョヒョヒョ。」
「あのクソいまいましいティガーの野郎が居なくなった今、大森林に攻め入ったら美形の獣人つかみ取り放題だ。万一出て来ても娘と言う人質がいるから手出しは出来ねえだろガハハハ!」

「熊獣人の野郎はどうしてる?奴らは力だけは強ええからな。大森林の獣人は虎獣人以外雑魚ばかりだが、奥の森に居ると言うエルフは割と強ええから油断はならねえ、出てきたら熊獣人の野郎をぶつけてやる。今回も引っ張り出せたか?」
「熊獣人はオツムが弱いから、はちみつで釣って出兵させたでげヒョ。」
「豚獣人の野郎は出兵してきたか?」
「後方に付いてきてはますが前回女獣人がもらえなかったので不満たらたらでヒョ。」
「万年発情期の豚獣人の野郎に女渡したら最後、めちゃくちゃのぐちゃぐちゃにされて売り物になんなくなるからそのまま後ろに居させろ。」
「大森林の入り口の虎獣人集落の前で熊獣人と豚獣人も合流する手はずでげヒョ。」
「女子供の獣人だけ捕まえて、売れねえ年寄りや男は皆殺しだ!力こそパワー!逆らうやつは皆殺しだ!虎獣人のティガーの野郎が居なくなってやっとオレ様の天下が来たぜぇガハハハハッ。」
「その通りでげヒョ。お頭の天下でげヒョヒョヒョヒョ。」

度し難いバカ獣人どもの高笑いが夜空に響くのであった・・。


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