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第61話 激怒!

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アリス姫に相応しい綺麗なお城を建てて中に戻り、真新しいお城のダイニングで食事をとった。その後お風呂に入ってから膝の上にきゅぴぃを抱っこしてもふりながら、アリスと寝る前のひと時を過ごしていた。するとパールとラピスラズリが沈んだ表情でトボトボとやってきた。

「ソウシ様、報告がありますの・・。」
「報告なのです・・。」
「パールにラピスか、どうした2人とも泣きそうな顔をして?」
「・・モニターに録画を出しますから見てくださいですの。」
「・・見て下さいなのです。」

俺は大きなスクリーンモニターをチェックする。ラピスが加わって音声付のクリアな映像だ。

「なんだこれはっ!?」
「豚獣人の行軍を追跡録画したものですの。」
「なのです。」
「酷いです!酷すぎます!ソウシ様。」

「あんのクソ豚野郎ども絶対に許さねえ!」
「私も同じ気持ちです、ソウシ様。」

アリスは涙をいっぱい目にためて俺の腕を握りしめ小刻みに震えている。俺はアリスの髪を撫でて落ち着かせる。きゅぴぃは俺の怒声に驚いて転げ落ちてしまった。ごめんよ、なでなで。

「豚どもは黒豹獣人の里を襲って獣人を攫うの殺すのと言ってたな。そこが最優先だ。オパール、ペリドット、居るか?」
「「はい、ここに居ります、ソウシ様。」」
「モニターは見ていたな?2人は裏の飛行基地にある輸送用大型飛行艦(クジラノセナカ)で黒豹獣人の里に向かい、捕えられている獣人全員を秘密裏に救出し地下牢をもぬけの殻にしてくるんだ。帰還後は野戦病院に収容せよ。一刻を争う、今直ぐ行けっ!」
「「はい、直ちに向かいます。ソウシ様。」

2人は一礼して飛ぶように出て行った。

オパールは変身が得意なアサシンだ。誰にも気が付かれずに獣人たちを救出できるだろう。ペリドットは怪我人や病人が居た場合に役に立つ薬師だ。2人に任せておけば何の心配もいらない。



アリスが落ち着いた頃、アメシストが通信機を手に持ち俺の所に来た。

「ソウシ様、エメラルドから通信が入っております。オークか豚獣人かは不明ですが、西のバニー区を集団で夜襲してきたので撃退したとの事です。目的は兎獣人を攫う事の様でファームには目もくれず夜陰に乗じて来たと・・。」

「撃退では生ぬるい、殲滅しろとエメラルドに伝えろ。豚獣人でもオークでも構わん、やつらは人ではない、モンスターだ。他で同じことを繰り返すに決まっている。ここで見逃したら禍根を残すだけだ。」

俺は通信機も受け取らず無表情でそう答えた。

アリスは俺の肩に頬を付け腕をからめてじっと目を閉じていた。


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