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第68話 豚獣人サイド再び

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ペリドットとオパールが救出に成功した日の未明、豚獣人が黒豹獣人の里に到着した。間一髪である。

「よしてめえらブヒッ!オークのフリをしてまずは里の黒豹獣人を一人残らず皆殺しにしろブヒッ!証拠を残すなブヒッ。捕まっている獣人女は後でじっくりしゃぶりつくしてやるぜぇブヒヒヒッ!」
「へいおやぶんブヒッ!」
「「「女じゃあメス獣人の匂いじゃああブヒヒヒイヒ!」」」」

兵法のへの字も知らぬ豚獣人だったが、奇しくも早朝不意をついて敵陣に押し寄せる朝駆けを仕掛ける事となった。女欲しさに狂ったように暴れまくる豚獣人に里の獣人は少数でもあり、味方であるはずの豚獣人だか魔物のオークだかが突然大群で攻めて来たので大混乱に陥った。

「な、なんだお前ら!」
「オークだブヒッ。」
「嘘つけ、自分でオークとか言うやつがいるか!さては裏切ったな豚獣人めっ!」
「バレちゃしかたねえブヒッ、だが今から死んでいくてめえらにはどうでもいい事だブヒッ!」
ズシャッ
「ウギャアー!」

黒豹獣人は豚獣人より1対1では圧倒的に強いのだが、多勢に無勢でなすすべもなく豚獣人の数の暴力に屈した。

「親分、いい感じの黒豹獣人のメスを捕まえてきやしたぜブヒッ。」
「あたいはヒョウクロの女だよ!手を出したらタダじゃ済まないよ!ヒョウクロに言いつけてお前たち全員懲らしめてやる!」
「それがどうしたブヒッ。死んでも言いつけられるのかブヒヒッ。」

すれっからしだがまあまあ見てくれの良い黒豹獣人女が捕われてきた。一言で言うとやくざの親分の姐さんと言った感じだ。この女は里のリーダーのヒョウクロの情婦で地下牢の獣人の管理を任されていた女である。下衆男の女はやはり下衆で、自分より綺麗な獣人女に嫉妬して鞭打ったり、焼き鏝を顔に当てて見られない顔にして喜んだりしていた残忍な女である。

「よし最初に味見してやるぜブヒヒッ。その後はお前らで回してからぶち殺せブヒッ。」
「もったいねえでやすブヒッ。殺しちまうんですかい親分ブヒッ。」
「逃げられでもしたら事だブヒッ。証拠は絶対に残すんじゃねぇブヒッ。」
「わかりやしたブヒッ。はやく回してくだせえよ親分ブヒッ。」
「「「ブヒャヒャヒャヒヒヒヒヒッ」」」
「クソッ、はなせ!あたいはヒョウクロのオ・・・ぎゃあああああー!」


下衆女の絶叫が暫らく里にこだましていた・・・。

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