乙女ゲームのヒロインに転生したので、推しの悪役令嬢をヒロインにしてみせます!

ちゃっぷ

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第一章 いざ学園へ!

第二話

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 身支度を済ませた私は、メイドの女性と共に用意された馬車に乗り込んだ。

「学園ではあちらが用意した寮に衛兵・メイド・シェフなどの従者がいるため、各家から従者を連れて行くことは禁止されております」

 だから私を送った後は自分も家に戻ると、メイドの女性は少し心配そうに言っていた。

 昨日まで現世の庶民だった私が、突然貴族の世界で過ごさなければならないなんて不安しかないけど……彼女にこれ以上心配をかけるわけにはいかない、私は大丈夫と精一杯の笑顔を見せた。

 メイドの女性が言うにはまだ学園に着くまでは時間がかかるようなので、とりあえず学園に着くまでの時間を利用して状況整理することにした。

 まずは……前世のことを思い出してみよう。

 前世の私の名前は星川夏菜ほしかわなつな

 二十八歳のどこにでもいる平凡なOLだ。

 実家を出て一人暮らし、恋人なし友達なしで……休日はもっぱらゲームをして過ごす、ちょいオタなアラサーだった。

 最近は『星降る夜に』というゲームにハマっていて、なぜか悲惨な最期を遂げてしまう推しの悪役令嬢であるアミーラを何とかして幸せにできないかと、何度も徹夜でプレイしていた。

 そういえばこの世界に来る前は年末年始だったな。

 連休中にがっつりゲームをするぞ! と意気込んでいたから、もしかしたら徹夜と食事忘れで身体が限界を迎えて、そのままお陀仏したのかもしれない……。

 何とも情けない最期だし、事故物件にしてしまったのであればマンションの大家さんには申し訳ないけれど……悔いてもすでに現実世界にいない私にはもうどうすることもできない。

 今はこの転生した『星降る夜に』の世界で、できるだけ他人に迷惑をかけないようにナジマとして生きていこう。

 そもそも『星降る夜に』は庶民だったヒロインが男爵令嬢になって、貴族だらけの学園に通うことなってイケメンたちと恋に落ちるという……よくある設定の乙女ゲームだ。

 登場するイケメンは四人。

 アミーラの婚約者である王子様、悪役令嬢であるアミーラの弟、学園の生徒会長、唯一の年下キャラである後輩の四人で、皆それぞれ心に闇を抱えているキャラクターだった。

 そんな彼らの心の闇をヒロインが払い、彼らの星となることで王国全体すらも幸せに導く……というのがざっくりとしたストーリー展開。

 ただしイケメンたちが幸せになろうとも、アミーラは必ず悲惨な最期を遂げる。

 転生した私の目標はアミーラのバッドエンドを回避することと、彼女と自分の今後のためにもゲームの舞台となるこの国『レイラ』を救うこと。

 レイラは崩落の近い、かなり腐った国だ。

 現王はすっかり堕落していて、政治に関わることなく王宮の奥底で税金を湯水のように使い、美女・美食にどっぷりと浸かって遊んで暮らしているらしい。

 そんな王の代わりに妻である王妃様が実権を握って政治を行っていたのだが……数年前に心労のためか亡くなってしまった。

 現在は王妃様が残した政策をもとに、彼女が役職に就けた優秀な貴族たちが頑張ってくれていることで、何とか国が正常に回っているが……その背後には国の崩壊を進め、うまい汁を啜っている悪徳貴族たちもいる。

 しかし現王が亡くなり、現在の王子が王位を継ぐと、国はまた大きな揺らぎを見せ……彼の妻となっていたアミーラと共に、国は崩れ去ってしまう。

 それだけは何としても回避しなくてはならない!

 国が崩れると私の第二の人生はお先真っ暗、何よりもアミーラが不幸になる様を間近に見るなんて……画面越しですらあんなに悲しかったのに、耐えられるわけがない!

 だから必ずバッドエンドを回避して、アミーラも幸せにするんだ!

「到着しました、ナジマ様。良い学園生活をお送りくださいませ」

 ちょうど良いタイミングで学園に到着した。

 見送ってくれたメイドの女性に力強くいってきますと告げ、私は学園の門をくぐった。
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