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第一章 いざ学園へ!
第一話
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「……ここは、どこだ?」
目が覚めると、知らない部屋で寝ていた。
起き上がって辺りを見てみると明らかに高級そうなドレッサー、アンティークなテーブルとソファ、天井にはシャンデリア。
掃除が行き届いているのだろうどれもがピカピカで、部屋にはホコリ一つない。
なんだ夢か……そう思って二度寝しようとするが、扉のノック音が転がり込んできた。
「……おはようございます。ナジマ様」
扉を開けたのは背筋を伸ばした美しいメイドの女性。
部屋に入ってきて、おそらく私に向かって深々と一礼する。
「今日は学園へ向かう日ですので、そろそろ準備なさいませんと」
私が夢現にぼーっとしていると、メイドの女性は困惑したようにナジマ様? と顔を覗き込みながら尋ねてくる。
そういえば部屋に入ってきた時も『ナジマ様』って言っていたな。
……ちょっと待てよ。ナジマって。
ナジマという名前に聞き覚えがあった私はだんだん寝ぼけた頭が覚め始め、気付いたらベッドから飛び起きて部屋にあったドレッサーへと駆け寄って自分の姿を確認していた。
鏡に映っていたのは寝起きとは思えないほどサラサラした黒髪のボブヘア、イエローがかったキラキラと輝く瞳、もちもちツヤツヤした肌をした可愛らしい少女だった。
……思ったとおり、私の姿は大好きだった乙女ゲーム『星降る夜に』のヒロインになっている。
自分の姿を確認した私は、すぐに頬を引きちぎれんばかりに引っ張る。
そんな私の行動を見て驚愕したメイドの女性が、ナジマ様!? と心配そうに声を掛けてくる。
頬の痛み、メイドの女性が呼ぶ名前、そして鏡に映る姿……完全に理解した。
平凡なOLだった私が、乙女ゲームの世界にヒロインとして転生したのだと……最近人気の転生モノだと!
乙女ゲームが好きなら乙女ゲーム転生モノの作品も大好きだった私は、思っていた以上にすんなりと現状を受け入れられた。
とりあえず私のご乱心に困惑してオロオロとしているメイドの女性に寝ぼけていたと謝罪すると、と少しホッとしてくれたようだった。
少し落ち着いたメイドの女性は改めて身支度をしましょうと言うので、私は彼女に促されるままに学生服に着替える。
身支度のほとんどをメイドの女性がしてくれたので、その間に私は自分の記憶にある『星降る夜に』のことを思い出す。
キラキラした四人のイケメンたちに深く根付く心の闇を取り払い、ドロドロに腐りきった王国も光ある道へ導かんとする乙女ゲーム『星降る夜に』。
私はドハマリして平日・休日問わず、度々徹夜するほどのめり込んでプレイしていた。
しかし私が救いたかったのはイケメンでも国でもなく、麗しの悪役令嬢――アミーラ・ファハンロ。
攻略対象の一人である王子様の婚約者にして公爵令嬢で、『星降る夜に』のライバルキャラは彼女だけで、どのイケメンを攻略しようとしても目の前に立ちはだかってくるのは彼女だった。
アミーラは勉学・武術・爵位・婚約者としての立ち振舞いどれをとっても完璧な女性で、己への自信に満ち溢れたオーラを持つ実に美しく気高い女性だった。
そんな彼女に自分への自信なんて一ミリも持ち合わせていなかった私は一目惚れ。
しかし愛すべき彼女の結末は……正直思い出したくもない。
ゲームにとってのハッピーエンドであってもバッドエンドでも、彼女は必ず悲しい結末を辿って命を落としてしまう。
それをなんとか回避しようと徹夜して何度も何度も攻略対象・選択肢・ステータスを変えてゲームをやり込んだのだが……結局アミーラのハッピーエンドを手に入れることはできなかった。
「いかがなさいましたか、ナジマ様」
私が何度も見たアミーラの最期を思い出して落ち込んでいると、心配したメイドの女性が声をかける。
「大丈夫です。ごめんなさい」
慌てて私がそう言うと、何かあればお申し付けくださいと、メイドの女性はほぼ完成している身支度の最終確認のためか、私が映る大きな鏡を見つめながら衣服の微調整をしている。
……私は、『星降る夜に』のヒロイン――ナジマ・アルセイフ。
平凡な一市民として母親と二人で暮らしていたのだが母親を病で亡くし、そんな時にアルセイフ男爵がやってきて、彼女を自分の子供と言って引き取らりヒロインは男爵令嬢になるという……よくある設定持ちだ。
……そして貴族の娘になったため、今日から貴族の通う学園に行くことになる。
これがヒロインである私の設定であり、ゲームの始まりだ。
突然のことに不安もあるが、それ以上に期待が大きかった。
大好きなアミーラに画面越しではなく直接、実際に、自由に会える……これほど嬉しいことはない!
それに私がアミーラにとってライバルであるヒロインに転生したのであれば、私の行動次第で彼女の悲惨な結末を回避する+彼女をヒロイン化させて幸せにすることができるはず。
ゲームではついぞ叶えることができなかった願い……転生した今ならば叶えることができるかもしれないと思うと、私の中で静かに燃えるものがあった。
よーし! 待っててねアミーラ!
私が悪役令嬢であるあなたを、ヒロインにしてみせる!
目が覚めると、知らない部屋で寝ていた。
起き上がって辺りを見てみると明らかに高級そうなドレッサー、アンティークなテーブルとソファ、天井にはシャンデリア。
掃除が行き届いているのだろうどれもがピカピカで、部屋にはホコリ一つない。
なんだ夢か……そう思って二度寝しようとするが、扉のノック音が転がり込んできた。
「……おはようございます。ナジマ様」
扉を開けたのは背筋を伸ばした美しいメイドの女性。
部屋に入ってきて、おそらく私に向かって深々と一礼する。
「今日は学園へ向かう日ですので、そろそろ準備なさいませんと」
私が夢現にぼーっとしていると、メイドの女性は困惑したようにナジマ様? と顔を覗き込みながら尋ねてくる。
そういえば部屋に入ってきた時も『ナジマ様』って言っていたな。
……ちょっと待てよ。ナジマって。
ナジマという名前に聞き覚えがあった私はだんだん寝ぼけた頭が覚め始め、気付いたらベッドから飛び起きて部屋にあったドレッサーへと駆け寄って自分の姿を確認していた。
鏡に映っていたのは寝起きとは思えないほどサラサラした黒髪のボブヘア、イエローがかったキラキラと輝く瞳、もちもちツヤツヤした肌をした可愛らしい少女だった。
……思ったとおり、私の姿は大好きだった乙女ゲーム『星降る夜に』のヒロインになっている。
自分の姿を確認した私は、すぐに頬を引きちぎれんばかりに引っ張る。
そんな私の行動を見て驚愕したメイドの女性が、ナジマ様!? と心配そうに声を掛けてくる。
頬の痛み、メイドの女性が呼ぶ名前、そして鏡に映る姿……完全に理解した。
平凡なOLだった私が、乙女ゲームの世界にヒロインとして転生したのだと……最近人気の転生モノだと!
乙女ゲームが好きなら乙女ゲーム転生モノの作品も大好きだった私は、思っていた以上にすんなりと現状を受け入れられた。
とりあえず私のご乱心に困惑してオロオロとしているメイドの女性に寝ぼけていたと謝罪すると、と少しホッとしてくれたようだった。
少し落ち着いたメイドの女性は改めて身支度をしましょうと言うので、私は彼女に促されるままに学生服に着替える。
身支度のほとんどをメイドの女性がしてくれたので、その間に私は自分の記憶にある『星降る夜に』のことを思い出す。
キラキラした四人のイケメンたちに深く根付く心の闇を取り払い、ドロドロに腐りきった王国も光ある道へ導かんとする乙女ゲーム『星降る夜に』。
私はドハマリして平日・休日問わず、度々徹夜するほどのめり込んでプレイしていた。
しかし私が救いたかったのはイケメンでも国でもなく、麗しの悪役令嬢――アミーラ・ファハンロ。
攻略対象の一人である王子様の婚約者にして公爵令嬢で、『星降る夜に』のライバルキャラは彼女だけで、どのイケメンを攻略しようとしても目の前に立ちはだかってくるのは彼女だった。
アミーラは勉学・武術・爵位・婚約者としての立ち振舞いどれをとっても完璧な女性で、己への自信に満ち溢れたオーラを持つ実に美しく気高い女性だった。
そんな彼女に自分への自信なんて一ミリも持ち合わせていなかった私は一目惚れ。
しかし愛すべき彼女の結末は……正直思い出したくもない。
ゲームにとってのハッピーエンドであってもバッドエンドでも、彼女は必ず悲しい結末を辿って命を落としてしまう。
それをなんとか回避しようと徹夜して何度も何度も攻略対象・選択肢・ステータスを変えてゲームをやり込んだのだが……結局アミーラのハッピーエンドを手に入れることはできなかった。
「いかがなさいましたか、ナジマ様」
私が何度も見たアミーラの最期を思い出して落ち込んでいると、心配したメイドの女性が声をかける。
「大丈夫です。ごめんなさい」
慌てて私がそう言うと、何かあればお申し付けくださいと、メイドの女性はほぼ完成している身支度の最終確認のためか、私が映る大きな鏡を見つめながら衣服の微調整をしている。
……私は、『星降る夜に』のヒロイン――ナジマ・アルセイフ。
平凡な一市民として母親と二人で暮らしていたのだが母親を病で亡くし、そんな時にアルセイフ男爵がやってきて、彼女を自分の子供と言って引き取らりヒロインは男爵令嬢になるという……よくある設定持ちだ。
……そして貴族の娘になったため、今日から貴族の通う学園に行くことになる。
これがヒロインである私の設定であり、ゲームの始まりだ。
突然のことに不安もあるが、それ以上に期待が大きかった。
大好きなアミーラに画面越しではなく直接、実際に、自由に会える……これほど嬉しいことはない!
それに私がアミーラにとってライバルであるヒロインに転生したのであれば、私の行動次第で彼女の悲惨な結末を回避する+彼女をヒロイン化させて幸せにすることができるはず。
ゲームではついぞ叶えることができなかった願い……転生した今ならば叶えることができるかもしれないと思うと、私の中で静かに燃えるものがあった。
よーし! 待っててねアミーラ!
私が悪役令嬢であるあなたを、ヒロインにしてみせる!
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