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第三章 デートでリベンジ!
第十一話
デートの件、アミーラの同意は得られたが……王子様の方はそのまま誘うだけでは絶望的だろう。
また何か企んでいるのか――とか何とか言って、アミーラを傷つけるのが目に見えている。
だからアミーラを説得した後、そのままの流れでデートについての計画――ある秘策を彼女に伝えていた。
私の秘策を聞いたアミーラはそんなことで良いの? と驚いた様子だったが、彼女の立場を考えれば効果は抜群のはず。
練りに練った計画を携えて、私達はさっそく王子様を誘いに向かった。
バレンタインデーのときのように一人で廊下を歩いている王子を発見し、私はさっと柱の影に隠れ、アミーラに声を掛けるように促した。
正直……バレンタインデーの悪夢が、何度も頭を過る。
アミーラも同じなのか、不安そうな顔をして……なかなか王子様のもとに行けずにいる。
あんな王子のことなんてもういいじゃん! と言えれば楽なんだが……アミーラの恋心的にも、未来の安全的にも王子様とくっつくのが一番だから言えない。
それにあんな王子でも……アミーラは一途に愛し続けてしまうことを、バッドエンド後の世界を見た私は知っている。
愛し続けていたがゆえに、どんなに泣いていたかも……。
頭に浮かぶイヤな想像を振り払って、彼女の未来が幸せになればと願い――不安そうにするアミーラの背中をぽんっと押し、笑顔でそばにいるからねと小声で伝える。
するとアミーラも少し落ち着いたのか、不安そうな顔から気合の入った顔に切り替わり、背筋を伸ばして王子様のもとへと歩いていった。
「……エスネイニ様!」
アミーラが王子様に声を掛けると、彼はいつものように無言で振り返る。
アミーラにはバレンタインデーの悪夢が残っているのを感じるが……王子様はバレンタインデーのことなどなかったことかのように、いつもどおりの無関心顔。
それに少しイラッとしながらも、静かに二人を見守った。
「今度の休日、よろしければ街へ外出に行きませんか?」
アミーラがそう言うと、王子は明らかに怪訝な顔をする。
「……断る」
またアミーラが自分の命を狙っていると疑っているのか、面倒だからなのか……理由を測りかねるほど、言葉少なに拒絶する王子様。
バレンタインデーの時はこの拒絶に大きなショックを受けていたが……すでに経験済みなためか、アミーラは怯むことはなかった。
「ぜひお願いいたします。婚約者として……エスネイニ様との交流を深めたいのです」
なお誘ってくるアミーラを、王子は睨みつけていた。
さらなる拒絶に、アミーラが耐えられているのか不安が募るが……彼女の背筋はシャンっと伸びていた。
「……今回の外出には私の弟、アルア・ファハンロも同行いたします。ぜひ弟も交えて、エスネイニ様と休日を過ごさせていただければと存じます」
そう言って、貴族らしくスカートの裾をスッと広げながら頭を軽く下げたアミーラ。
王子はアルアの同行に、分かりやすく反応を見せていた。
そう……私がアミーラに授けた秘策とは、彼女の弟、アルアも同行させるというものだった。
アルアであれば面倒見が良いから、二人きりよりも上手く場を取り持ってくれるだろうし……将来は義理の兄弟になる間柄だから、交流を深める目的で連れて行ってもおかしくはないだろうとアミーラに伝えていた。
そしてアミーラからアルア本人に、王子との外出に同行してほしいと伝えたところすぐに了承が得られた。
アミーラには伝えていなかったが、アルアを誘ったのにはもう一つ理由がある。
デート当日の場を取り持ってほしいというのも本音ではあるが、最大の目的はアルアの名前をデートに誘う際に出すことだった。
アルアは王族への婚約者を出すほど名の知れた大貴族、ファハンロ家の跡継ぎだ。
未来の妻であるアミーラのことは蔑ろにできても、未来の部下であり、扱いを間違えれば脅威にもなりえる存在を王族として容易に無視はできまい。
アミーラを蔑ろにしている時点で許せないのだが、今回は我慢だ……!
アルアの名前に反応した王子は、しばらく黙って考え込んでいた。
「……分かった」
そして嫌そうにではあったが、ついにデート同意の言葉を得られた。
背中越しでも分かるくらい嬉しそうなアミーラは、ウキウキとした声でデートの日程を王子に伝え、よろしくお願いいたしますとすぐに去っていく王子様を見送ってから私のもとに戻ってきた。
王子を誘うことに成功してホッと胸をなでおろし、アミーラを労おうと柱の影から出てきた私に、彼女は無言で抱きついてきた。
小さく震えるアミーラ。
緊張からの解放、王子とデートできる喜び……色んな感情が渦巻いているのであろう彼女を、私も抱きしめ返しておめでとうと伝えた。
また何か企んでいるのか――とか何とか言って、アミーラを傷つけるのが目に見えている。
だからアミーラを説得した後、そのままの流れでデートについての計画――ある秘策を彼女に伝えていた。
私の秘策を聞いたアミーラはそんなことで良いの? と驚いた様子だったが、彼女の立場を考えれば効果は抜群のはず。
練りに練った計画を携えて、私達はさっそく王子様を誘いに向かった。
バレンタインデーのときのように一人で廊下を歩いている王子を発見し、私はさっと柱の影に隠れ、アミーラに声を掛けるように促した。
正直……バレンタインデーの悪夢が、何度も頭を過る。
アミーラも同じなのか、不安そうな顔をして……なかなか王子様のもとに行けずにいる。
あんな王子のことなんてもういいじゃん! と言えれば楽なんだが……アミーラの恋心的にも、未来の安全的にも王子様とくっつくのが一番だから言えない。
それにあんな王子でも……アミーラは一途に愛し続けてしまうことを、バッドエンド後の世界を見た私は知っている。
愛し続けていたがゆえに、どんなに泣いていたかも……。
頭に浮かぶイヤな想像を振り払って、彼女の未来が幸せになればと願い――不安そうにするアミーラの背中をぽんっと押し、笑顔でそばにいるからねと小声で伝える。
するとアミーラも少し落ち着いたのか、不安そうな顔から気合の入った顔に切り替わり、背筋を伸ばして王子様のもとへと歩いていった。
「……エスネイニ様!」
アミーラが王子様に声を掛けると、彼はいつものように無言で振り返る。
アミーラにはバレンタインデーの悪夢が残っているのを感じるが……王子様はバレンタインデーのことなどなかったことかのように、いつもどおりの無関心顔。
それに少しイラッとしながらも、静かに二人を見守った。
「今度の休日、よろしければ街へ外出に行きませんか?」
アミーラがそう言うと、王子は明らかに怪訝な顔をする。
「……断る」
またアミーラが自分の命を狙っていると疑っているのか、面倒だからなのか……理由を測りかねるほど、言葉少なに拒絶する王子様。
バレンタインデーの時はこの拒絶に大きなショックを受けていたが……すでに経験済みなためか、アミーラは怯むことはなかった。
「ぜひお願いいたします。婚約者として……エスネイニ様との交流を深めたいのです」
なお誘ってくるアミーラを、王子は睨みつけていた。
さらなる拒絶に、アミーラが耐えられているのか不安が募るが……彼女の背筋はシャンっと伸びていた。
「……今回の外出には私の弟、アルア・ファハンロも同行いたします。ぜひ弟も交えて、エスネイニ様と休日を過ごさせていただければと存じます」
そう言って、貴族らしくスカートの裾をスッと広げながら頭を軽く下げたアミーラ。
王子はアルアの同行に、分かりやすく反応を見せていた。
そう……私がアミーラに授けた秘策とは、彼女の弟、アルアも同行させるというものだった。
アルアであれば面倒見が良いから、二人きりよりも上手く場を取り持ってくれるだろうし……将来は義理の兄弟になる間柄だから、交流を深める目的で連れて行ってもおかしくはないだろうとアミーラに伝えていた。
そしてアミーラからアルア本人に、王子との外出に同行してほしいと伝えたところすぐに了承が得られた。
アミーラには伝えていなかったが、アルアを誘ったのにはもう一つ理由がある。
デート当日の場を取り持ってほしいというのも本音ではあるが、最大の目的はアルアの名前をデートに誘う際に出すことだった。
アルアは王族への婚約者を出すほど名の知れた大貴族、ファハンロ家の跡継ぎだ。
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アミーラを蔑ろにしている時点で許せないのだが、今回は我慢だ……!
アルアの名前に反応した王子は、しばらく黙って考え込んでいた。
「……分かった」
そして嫌そうにではあったが、ついにデート同意の言葉を得られた。
背中越しでも分かるくらい嬉しそうなアミーラは、ウキウキとした声でデートの日程を王子に伝え、よろしくお願いいたしますとすぐに去っていく王子様を見送ってから私のもとに戻ってきた。
王子を誘うことに成功してホッと胸をなでおろし、アミーラを労おうと柱の影から出てきた私に、彼女は無言で抱きついてきた。
小さく震えるアミーラ。
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