乙女ゲームのヒロインに転生したので、推しの悪役令嬢をヒロインにしてみせます!

ちゃっぷ

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第六章 計画は順調……

第二十三話

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 テストが一息ついて、アミーラとイケメンたちの関係が良好になったのを目の当たりにして……何というか、早めの燃え尽き症候群がやってきたのを感じていた。

 アミーラとの憩いの場となっていた図書室も、今では彼らのいつもの集合場所になっていた。

 ヒロインに転生した私としては、イケメンたちとの交流はできるだけ避けなければと思っているから、何かと理由をつけて図書室を離れようとするが……アミーラが明らかに寂しそうな顔をするから、それすらできずにいる。

 そんなある日……今度の休日、王子様とデートのために不在になるとアミーラが伝えてきた。

 アミーラの表情からはみんなと会えないのが寂しいと思いつつも、王子様とのデートが楽しみで仕方ないという喜びの感情がひしひしと伝わってきた。

 私としてもアミーラと丸一日会えなくなるのは寂しいが、自分の今後を考えるいい機会かもしれないと笑顔で送り出すことにした。

 以前までだったら心配で後をつけていたかもしれないが、今の二人からそんな不穏な空気感は感じないし……むしろおじゃま虫になる可能性があるからね。

 イケメンたちもアミーラと会えない日ができることを同じように寂しがっていたが、静かに送り出していた。

 やってきた休日。

 久しぶりの独りぼっちには少しの解放感と寂しさがあった。

 自室でゴロゴロしていても暇だし、小説を読もうとしても勉強しようとしても身が入らず、かといって校舎内に出てイケメンたちに出くわしても面倒だし……と悩んだ結果、私は一人で街へ出ることにした。

 かといって目的地があるわけでもなく、私はただひたすらにポテポテと街の中を歩く。

 何だかんだでアミーラがいない街に一人で出るのは初めてだな。

 あの頃は出店が多くて、初めての外出・街ということもあって色々と目移りしたけど……今日は少し肌寒いせいなのか、出店が少ないように感じる。

 でもあの時の興奮と輝きは今でも忘れない。忘れられない。

 ふっと出店の前を見ると、自分とアミーラが楽しそうに買い食いをしたり、お店の窓から見える商品をキラキラした瞳で見ている情景が浮かんでくるようだった。

 もっと街を見ていたい、どんなお店があるんだろうとあの時は興味津々だったけど……今はそこまで心惹かれるものがなかった。

 特にどこにも立ち寄らずにもう少し歩くと、チョコやラッピングを買った店があるあたりまでやってきた。

 あぁ、この店でチョコとラッピングを買ったな。

 門限の時間が迫っていたからドタバタ買い物したんだけど、アミーラは初めてのバレンタインということもあってか、かなり熱心に包み紙とリボンを選んでいたっけ。

 一人でクスッと思い出し笑いをしてしまい、周りの人に不審がられないようにケホっと咳き込んだふりをしてごまかす。

 そのまま歩いていくと前方にアミーラと王子様、そして弟くんの後ろ姿が見えたような気がした。

 アミーラと王子様がいるのはまだ分かるが、なんで弟くんまで!? と思ってまぶたをゴシゴシと擦ってからもう一度前方を見ると、そこには誰もいなかった。

 いよいよ幻覚が見えてきたか……と思っていると、どうやらアミーラ、王子様、弟くんで外出した時に来ていた本屋のあたりまで来ていたらしかった。

 あぁ、だからか……と自分の中でなんとなく納得した。

 あの時は王子様とアミーラの初めてのデートが心配で、三人の後をこそこそとつけていたんだっけ。

 ちょうど自分が今立っている辺りで手洗いに行っている王子様を待っているアミーラと弟くんがいて、弟くんにもっと姉さまを頼りなさいって言っていたんだ。

 自分が隠れていた出店はなかったけど、コソコソしている自分まで見えてきそうな勢いで記憶が鮮明に蘇ってくる。

 あの後、王子様が戻ってきて弟くんが本屋の方に行って……残されたアミーラがぎこちなくも、でも積極的に王子様に話しかけていた姿はすごく微笑ましかったな。

 また思い出し笑いをしそうになったから、今度は笑い声が出る前に咳払いをしてごまかした。

 別に誰と一緒というわけでもないのだからごまかす必要もないけど、ずっとアミーラやイケメンたちと一緒にいるのが日常になっていたから……その時の感覚が抜けないのかもしれないな。

 でも今は一人だと改めて思うと寂しくなってしまって、私はその場をサッと離れた。

 目的地もなくただ歩いていると、大きな川に面した整備された通りまでやってきた。

 川沿いには川を望めるようにベンチが置かれていて、歩き通しで少し疲れていた私はそのベンチで休憩することにした。

 ベンチに座り込んだ私は思いの外疲れていたのか、はぁ……とため息を付いて、前方の川をぼんやりと眺める。

 ……自分のことを考えようと一人になって街まで来てみたけど、彼女たちのことばかり思い出してしまう。

 前世では友達なんていないから一人でいるのが当たり前で、家でゴロゴロとゲームしてマンガや小説読んでダラダラするのが当たり前だったのに……いつからこんなに一人で過ごすのが苦手になっていたのだろうと驚く。

 これじゃ一人になった意味がないじゃないか。

 私は自分のこと、今後のことを考えなければならないのに……。

 少し目を閉じればいつもの図書室で紅茶を入れてくれるアミーラ、無口に腕を組む王子様、リラックスした様子で紅茶を飲む弟くん、黙々と勉強する生徒会長、アミーラに人懐っこく話しかける後輩くんが浮かぶ。

 そこには少し居心地悪そうにしながらも、でもアミーラに話を振られると嬉しそうに受け答えをする私。

 それにたまに弟くんが話に入ってきたりして盛り上がったり、勉強を中断して紅茶を飲む生徒会長に後輩くんがちょっかいをかけて怒られて、バタバタと騒いでいたりするのがいつもの光景だった。

 それぞれがバラバラなことをしているのに、あの図書室でみんなでいるのが当たり前過ぎて、すぐに頭の中にそんないつもの情景が浮かんでしまう。

 一人になってもずっとあの図書室にいるような感じがして、私は目の前にある川を全然見られずにうつむいた。
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