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第二章 バレンタイン大作戦
第八話
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翌日、朝一に学園の調理場の一角を借りて、チョコレートをつくるために私とアミーラは集まった。
プレゼントするチョコはアミーラが料理初心者ということもあり、少ない材料で簡単につくれるチョコレートトリュフにした。
朝一に作って冷やせば、放課後には出来上がって王子に渡せるだろうからね。
前世の記憶から簡単なチョコレートといえばとチョコレートトリュフを選んだけど、よくよく考えてみれば私もそこまで料理上手なわけではないので……かなり不安なクッキングになった。
ここはどうすれば、分量など細かいことが何もわからないし……この時代にはスマホも料理本なんて便利なものもないため、かなり苦戦した。
材料は失敗も予想して多めに買っていたとはいえ、そんなに無駄にできる余裕もないため困惑していると……調理場の隅から興味深そうに見ていたシェフの一人が声を掛けてくれた。
「何を作っているんですか?」
突然声を掛けた彼に驚きながらも、チョコレートトリュフを作っていると答えると、シェフはなるほどと言って、私たちの買ってきた材料を一から確認してからお手伝いしますと手慣れた様子で指示を始めた。
チョコレートを溶かす、少し冷ます、一口大に丸めてくっつかないように並べる、ココアパウダーをまぶすなど、細かく丁寧に教えてくれた。
一人が声を掛けてきたことで他の者も話しかけやすくなったのか私も私も……と、次々に他のシェフたちが声を掛けてきてくれた。
バレンタインデーのチョコを作りたいんですと伝えると、じゃああくまでもお手伝いだけしますねと言って準備や片付けなどをメインに手伝ってくれて助かった。
学校で従事しているシェフやメイドは平民なことが多いから、バレンタインデーの準備や思い入れにも理解があって助かった。
ただ上位貴族らしい見た目をしているアミーラが料理をしていることにはかなり驚いている様子で、私に比べると少しだけ声を掛けにくそうにしている様子が感じられた。
まぁ、平民丸出しの見た目で上位貴族と一目で分かるアミーラに声を掛けて仲良くしたいと思っている私の方が、どちらかといえばこの世界では異質だからね。
けれどアミーラは彼らを見下すことなく、分からないことは素直に尋ねるし、教えてもらったらちゃんと感謝もしていて……おっかなびっくりだったシェフたちも段々とアミーラに対する空気が柔らかくなっていくのを感じた。
もう、アミーラは人たらしだなぁとちょっとだけ拗ねたのは内緒だ。
そうこうしている間に、チョコレートトリュフが無事完成!
あとは放課後にまた来て、冷えたチョコをラッピングして王子に渡せばOKだ!
シェフに感謝と放課後に取りにくる旨を伝え、フッとアミーラの方を見ると、少し離れた位置から私のことを羨ましそうに見ていた。
「チョコレート作り、何とか無事に終わってよかったね!」
「そうね、ナジマのおかげだわ」
どうしたのかと思ってアミーラの方に駆け寄り、声を掛けるとアミーラは少し寂しそうな拗ねた調子で言葉を返した。
「どうしたの?」
チョコレートもできた、あとは放課後にラッピングするだけ……チョコレートを作っている時はあんなに気合が入った表情をしていたのに、どうしたことか今のアミーラの顔は少し暗い。
心配になって尋ねると、アミーラは少しばつが悪そうな恥ずかしそうな表情をする。
「……ナジマが、シェフと楽しそうに話していたから……」
この人は……私をキュン死させる天才なのだろうか。
「大好きだよ、アミーラ」
お返しに懇親のヒロインスマイルをお見舞いした。
アミーラは言葉にならないくらい顔を真赤にして、恥ずかしそうにしていた。
前世の私だったらこんな言葉はなかなか言えないけど、今は乙女ゲームのヒロインに転生したんだから……これくらいのことはやっても許されるよね。
そんな時、タイミング良く午後のチャイムが鳴り、私達は足早にそれぞれのクラスへと戻って午後の授業をこなしながら放課後を待った。
プレゼントするチョコはアミーラが料理初心者ということもあり、少ない材料で簡単につくれるチョコレートトリュフにした。
朝一に作って冷やせば、放課後には出来上がって王子に渡せるだろうからね。
前世の記憶から簡単なチョコレートといえばとチョコレートトリュフを選んだけど、よくよく考えてみれば私もそこまで料理上手なわけではないので……かなり不安なクッキングになった。
ここはどうすれば、分量など細かいことが何もわからないし……この時代にはスマホも料理本なんて便利なものもないため、かなり苦戦した。
材料は失敗も予想して多めに買っていたとはいえ、そんなに無駄にできる余裕もないため困惑していると……調理場の隅から興味深そうに見ていたシェフの一人が声を掛けてくれた。
「何を作っているんですか?」
突然声を掛けた彼に驚きながらも、チョコレートトリュフを作っていると答えると、シェフはなるほどと言って、私たちの買ってきた材料を一から確認してからお手伝いしますと手慣れた様子で指示を始めた。
チョコレートを溶かす、少し冷ます、一口大に丸めてくっつかないように並べる、ココアパウダーをまぶすなど、細かく丁寧に教えてくれた。
一人が声を掛けてきたことで他の者も話しかけやすくなったのか私も私も……と、次々に他のシェフたちが声を掛けてきてくれた。
バレンタインデーのチョコを作りたいんですと伝えると、じゃああくまでもお手伝いだけしますねと言って準備や片付けなどをメインに手伝ってくれて助かった。
学校で従事しているシェフやメイドは平民なことが多いから、バレンタインデーの準備や思い入れにも理解があって助かった。
ただ上位貴族らしい見た目をしているアミーラが料理をしていることにはかなり驚いている様子で、私に比べると少しだけ声を掛けにくそうにしている様子が感じられた。
まぁ、平民丸出しの見た目で上位貴族と一目で分かるアミーラに声を掛けて仲良くしたいと思っている私の方が、どちらかといえばこの世界では異質だからね。
けれどアミーラは彼らを見下すことなく、分からないことは素直に尋ねるし、教えてもらったらちゃんと感謝もしていて……おっかなびっくりだったシェフたちも段々とアミーラに対する空気が柔らかくなっていくのを感じた。
もう、アミーラは人たらしだなぁとちょっとだけ拗ねたのは内緒だ。
そうこうしている間に、チョコレートトリュフが無事完成!
あとは放課後にまた来て、冷えたチョコをラッピングして王子に渡せばOKだ!
シェフに感謝と放課後に取りにくる旨を伝え、フッとアミーラの方を見ると、少し離れた位置から私のことを羨ましそうに見ていた。
「チョコレート作り、何とか無事に終わってよかったね!」
「そうね、ナジマのおかげだわ」
どうしたのかと思ってアミーラの方に駆け寄り、声を掛けるとアミーラは少し寂しそうな拗ねた調子で言葉を返した。
「どうしたの?」
チョコレートもできた、あとは放課後にラッピングするだけ……チョコレートを作っている時はあんなに気合が入った表情をしていたのに、どうしたことか今のアミーラの顔は少し暗い。
心配になって尋ねると、アミーラは少しばつが悪そうな恥ずかしそうな表情をする。
「……ナジマが、シェフと楽しそうに話していたから……」
この人は……私をキュン死させる天才なのだろうか。
「大好きだよ、アミーラ」
お返しに懇親のヒロインスマイルをお見舞いした。
アミーラは言葉にならないくらい顔を真赤にして、恥ずかしそうにしていた。
前世の私だったらこんな言葉はなかなか言えないけど、今は乙女ゲームのヒロインに転生したんだから……これくらいのことはやっても許されるよね。
そんな時、タイミング良く午後のチャイムが鳴り、私達は足早にそれぞれのクラスへと戻って午後の授業をこなしながら放課後を待った。
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