乙女ゲームのヒロインに転生したので、推しの悪役令嬢をヒロインにしてみせます!

ちゃっぷ

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第八章 最後のイベント、星願い

第三十話

 私がアミーラに悩みを打ち明けて、タリブたちが私のことを友人と言ってくれたあの日から一ヶ月ほど経った。

 今日も今日とて、図書室で彼らといつも通りの平和な日常を過ごしていたが……季節はすっかり冬に近づき、ゲームの最後のイベントが確実に近づいてきていた。

 最後のイベントの名前は『星願い』。

 百年に一度、レイラに降り注ぐ星々が願いを叶えてくれるという……『星降る夜に』の最終イベントにして、意中の男性に告白する重要なイベントだ。

 ゲームではヒロインがこの星願いの日にイケメンにずっと一緒にいられますようにと願い、イケメンとの好感度や必須イベントをクリアしていれば相手も、俺も同じことを願っていたという展開でハッピーエンド。

 まぁ……そうなるとすぐにアミーラの断罪イベントが起き、婚約破棄→賊に襲われるという悪夢のような展開が待っている。

 好感度や必須イベントをこなしていないと、過去のトラウマ・家のこと・アミーラのことなどを理由に告白を断られるか保留になりバッドエンド。

 そうなるとアミーラは王妃になって処刑されるか、イケメンたちに殺されるかの二択しかない。

 どちらにしてもアミーラに幸せな未来はなかった。

 でも今なら……。

「ねぇねぇ、アミーラはやっぱり星願いの夜はエスネイニ様と過ごすの?」

 他の人に聞こえないように、コソコソとアミーラにそう尋ねるとボッと顔を赤らめてあたふたしていた。

「お、お誘いしようとは思っているわ……」

 恥ずかしそうに答えているアミーラはやっぱり可愛かった。

 そんなわたし達の様子を見て、近くにいるエスネイニやアルアは不思議そうな顔をしていた。

 ただアミーラがエスネイニの方を見ると彼はフッと嬉しそうに微笑んで、それを受けたアミーラが余計に赤面していたことを思うと……順調にバカップルになっているようだ。

 うーん……実に良い傾向だ。

 アルアもそんなバカップルに当てられたのか、やれやれといった様子で紅茶を飲んでいた。

 アミーラたちの方はもう完璧……今から二人の星願いイベント成功が目に浮かぶようだけど、問題は私だな。

 私も先日の一件があって、ワハイドを星願いに誘って告白する決意を固めていた。

 もうヒロインだからとか考えるのは辞めて、玉砕覚悟でタックルあるのみと何かが吹っ切れている私は……星願いの夜を今か今かと待ち望んでいたのだけど……。

「ナジマの方はどうなの? 例の彼は誘えそう?」

 アミーラにそう問われて、私が静かに首を横に振ると、彼女はそう……と残念そうに呟いていた。

 学園の生徒であれば学園内を探せば必ず見つけられるし、アルアたちの誰かを誘うのであれば昼食も放課後もいつも一緒にいるから誘いやすいのだけど……ワハイドは学園の生徒じゃないし、どこにいるのかが分からない。

 ゲームでも彼のようなキャラクターはいなかったから、正直なところどこに行けば彼に会えるのかが全く分からず……星願いの日に誘うことすらできずにいる。

 ココ最近、ヒマを見つけては街に出かけてワハイドと出会った場所・行った場所などに行ってみたのだが……彼はどこにもいなかった。

 ワハイドと一緒に行ったお菓子屋さんの店員さんに、それとなくワハイドのことを尋ねてみたけど最近は顔を出していないと言われていた。

 どうやらワハイドは最近街に来ていないらしく、全く会えずにいる。

 家名や仕事先が分かれば会いに行ったり手紙を出したりできるんだけど、私は彼のことを知らなすぎるな……と今更ながら思っていた。

 分かりやすく落ち込む私に、アミーラはぽんっと肩を叩いて優しく微笑んでくれていた。

 そうだ……落ち込んでいてもしょうがない。

 星願いまでまだ少しだけ日があるから、できるだけ街に出て、彼を探してみよう。

 窓の外を眺めていると、今にもひょっこりとワハイドが出てきそうに感じるけど……実際は彼の気配すら掴めない日々。

 ワハイド……会いたいな。
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