30 / 39
第八章 最後のイベント、星願い
第三十話
私がアミーラに悩みを打ち明けて、タリブたちが私のことを友人と言ってくれたあの日から一ヶ月ほど経った。
今日も今日とて、図書室で彼らといつも通りの平和な日常を過ごしていたが……季節はすっかり冬に近づき、ゲームの最後のイベントが確実に近づいてきていた。
最後のイベントの名前は『星願い』。
百年に一度、レイラに降り注ぐ星々が願いを叶えてくれるという……『星降る夜に』の最終イベントにして、意中の男性に告白する重要なイベントだ。
ゲームではヒロインがこの星願いの日にイケメンにずっと一緒にいられますようにと願い、イケメンとの好感度や必須イベントをクリアしていれば相手も、俺も同じことを願っていたという展開でハッピーエンド。
まぁ……そうなるとすぐにアミーラの断罪イベントが起き、婚約破棄→賊に襲われるという悪夢のような展開が待っている。
好感度や必須イベントをこなしていないと、過去のトラウマ・家のこと・アミーラのことなどを理由に告白を断られるか保留になりバッドエンド。
そうなるとアミーラは王妃になって処刑されるか、イケメンたちに殺されるかの二択しかない。
どちらにしてもアミーラに幸せな未来はなかった。
でも今なら……。
「ねぇねぇ、アミーラはやっぱり星願いの夜はエスネイニ様と過ごすの?」
他の人に聞こえないように、コソコソとアミーラにそう尋ねるとボッと顔を赤らめてあたふたしていた。
「お、お誘いしようとは思っているわ……」
恥ずかしそうに答えているアミーラはやっぱり可愛かった。
そんなわたし達の様子を見て、近くにいるエスネイニやアルアは不思議そうな顔をしていた。
ただアミーラがエスネイニの方を見ると彼はフッと嬉しそうに微笑んで、それを受けたアミーラが余計に赤面していたことを思うと……順調にバカップルになっているようだ。
うーん……実に良い傾向だ。
アルアもそんなバカップルに当てられたのか、やれやれといった様子で紅茶を飲んでいた。
アミーラたちの方はもう完璧……今から二人の星願いイベント成功が目に浮かぶようだけど、問題は私だな。
私も先日の一件があって、ワハイドを星願いに誘って告白する決意を固めていた。
もうヒロインだからとか考えるのは辞めて、玉砕覚悟でタックルあるのみと何かが吹っ切れている私は……星願いの夜を今か今かと待ち望んでいたのだけど……。
「ナジマの方はどうなの? 例の彼は誘えそう?」
アミーラにそう問われて、私が静かに首を横に振ると、彼女はそう……と残念そうに呟いていた。
学園の生徒であれば学園内を探せば必ず見つけられるし、アルアたちの誰かを誘うのであれば昼食も放課後もいつも一緒にいるから誘いやすいのだけど……ワハイドは学園の生徒じゃないし、どこにいるのかが分からない。
ゲームでも彼のようなキャラクターはいなかったから、正直なところどこに行けば彼に会えるのかが全く分からず……星願いの日に誘うことすらできずにいる。
ココ最近、ヒマを見つけては街に出かけてワハイドと出会った場所・行った場所などに行ってみたのだが……彼はどこにもいなかった。
ワハイドと一緒に行ったお菓子屋さんの店員さんに、それとなくワハイドのことを尋ねてみたけど最近は顔を出していないと言われていた。
どうやらワハイドは最近街に来ていないらしく、全く会えずにいる。
家名や仕事先が分かれば会いに行ったり手紙を出したりできるんだけど、私は彼のことを知らなすぎるな……と今更ながら思っていた。
分かりやすく落ち込む私に、アミーラはぽんっと肩を叩いて優しく微笑んでくれていた。
そうだ……落ち込んでいてもしょうがない。
星願いまでまだ少しだけ日があるから、できるだけ街に出て、彼を探してみよう。
窓の外を眺めていると、今にもひょっこりとワハイドが出てきそうに感じるけど……実際は彼の気配すら掴めない日々。
ワハイド……会いたいな。
今日も今日とて、図書室で彼らといつも通りの平和な日常を過ごしていたが……季節はすっかり冬に近づき、ゲームの最後のイベントが確実に近づいてきていた。
最後のイベントの名前は『星願い』。
百年に一度、レイラに降り注ぐ星々が願いを叶えてくれるという……『星降る夜に』の最終イベントにして、意中の男性に告白する重要なイベントだ。
ゲームではヒロインがこの星願いの日にイケメンにずっと一緒にいられますようにと願い、イケメンとの好感度や必須イベントをクリアしていれば相手も、俺も同じことを願っていたという展開でハッピーエンド。
まぁ……そうなるとすぐにアミーラの断罪イベントが起き、婚約破棄→賊に襲われるという悪夢のような展開が待っている。
好感度や必須イベントをこなしていないと、過去のトラウマ・家のこと・アミーラのことなどを理由に告白を断られるか保留になりバッドエンド。
そうなるとアミーラは王妃になって処刑されるか、イケメンたちに殺されるかの二択しかない。
どちらにしてもアミーラに幸せな未来はなかった。
でも今なら……。
「ねぇねぇ、アミーラはやっぱり星願いの夜はエスネイニ様と過ごすの?」
他の人に聞こえないように、コソコソとアミーラにそう尋ねるとボッと顔を赤らめてあたふたしていた。
「お、お誘いしようとは思っているわ……」
恥ずかしそうに答えているアミーラはやっぱり可愛かった。
そんなわたし達の様子を見て、近くにいるエスネイニやアルアは不思議そうな顔をしていた。
ただアミーラがエスネイニの方を見ると彼はフッと嬉しそうに微笑んで、それを受けたアミーラが余計に赤面していたことを思うと……順調にバカップルになっているようだ。
うーん……実に良い傾向だ。
アルアもそんなバカップルに当てられたのか、やれやれといった様子で紅茶を飲んでいた。
アミーラたちの方はもう完璧……今から二人の星願いイベント成功が目に浮かぶようだけど、問題は私だな。
私も先日の一件があって、ワハイドを星願いに誘って告白する決意を固めていた。
もうヒロインだからとか考えるのは辞めて、玉砕覚悟でタックルあるのみと何かが吹っ切れている私は……星願いの夜を今か今かと待ち望んでいたのだけど……。
「ナジマの方はどうなの? 例の彼は誘えそう?」
アミーラにそう問われて、私が静かに首を横に振ると、彼女はそう……と残念そうに呟いていた。
学園の生徒であれば学園内を探せば必ず見つけられるし、アルアたちの誰かを誘うのであれば昼食も放課後もいつも一緒にいるから誘いやすいのだけど……ワハイドは学園の生徒じゃないし、どこにいるのかが分からない。
ゲームでも彼のようなキャラクターはいなかったから、正直なところどこに行けば彼に会えるのかが全く分からず……星願いの日に誘うことすらできずにいる。
ココ最近、ヒマを見つけては街に出かけてワハイドと出会った場所・行った場所などに行ってみたのだが……彼はどこにもいなかった。
ワハイドと一緒に行ったお菓子屋さんの店員さんに、それとなくワハイドのことを尋ねてみたけど最近は顔を出していないと言われていた。
どうやらワハイドは最近街に来ていないらしく、全く会えずにいる。
家名や仕事先が分かれば会いに行ったり手紙を出したりできるんだけど、私は彼のことを知らなすぎるな……と今更ながら思っていた。
分かりやすく落ち込む私に、アミーラはぽんっと肩を叩いて優しく微笑んでくれていた。
そうだ……落ち込んでいてもしょうがない。
星願いまでまだ少しだけ日があるから、できるだけ街に出て、彼を探してみよう。
窓の外を眺めていると、今にもひょっこりとワハイドが出てきそうに感じるけど……実際は彼の気配すら掴めない日々。
ワハイド……会いたいな。
あなたにおすすめの小説
転生ガチャで悪役令嬢になりました
みおな
恋愛
前世で死んだと思ったら、乙女ゲームの中に転生してました。
なんていうのが、一般的だと思うのだけど。
気がついたら、神様の前に立っていました。
神様が言うには、転生先はガチャで決めるらしいです。
初めて聞きました、そんなこと。
で、なんで何度回しても、悪役令嬢としかでないんですか?
社畜OLが学園系乙女ゲームの世界に転生したらモブでした。
天咲リンネ
恋愛
野々原悠理は高校進学に伴って一人暮らしを始めた。
引越し先のアパートで出会ったのは、見覚えのある男子高校生。
見覚えがあるといっても、それは液晶画面越しの話。
つまり彼は二次元の世界の住人であるはずだった。
ここが前世で遊んでいた学園系乙女ゲームの世界だと知り、愕然とする悠理。
しかし、ヒロインが転入してくるまであと一年ある。
その間、悠理はヒロインの代理を務めようと奮闘するけれど、乙女ゲームの世界はなかなかモブに厳しいようで…?
果たして悠理は無事攻略キャラたちと仲良くなれるのか!?
※たまにシリアスですが、基本は明るいラブコメです。
【完結】転生したら悪役令嬢だった腐女子、推し課金金策してたら無双でざまぁで愛されキャラ?いえいえ私は見守りたいだけですわ
鏑木 うりこ
恋愛
毒親から逃げ出してブラック企業で働いていた私の箱推し乙女ゲーム「トランプる!」超重課金兵だった私はどうやらその世界に転生してしまったらしい。
圧倒的ご褒美かつ感謝なのだが、如何せん推しに課金するお金がない!推しがいるのに課金が出来ないなんてトラ畜(トランプる重課金者の総称)として失格も良い所だわ!
なりふり構わず、我が道を邁進していると……おや?キング達の様子が?……おや?クイーン達も??
「クラブ・クイーン」マリエル・クラブの廃オタク課金生活が始まったのですわ。
*ハイパーご都合主義&ネット用語、オタ用語が飛び交う大変に頭の悪い作品となっております。
*ご照覧いただけたら幸いです。
*深く考えないでいただけるともっと幸いです。
*作者阿呆やな~楽しいだけで書いとるやろ、しょーがねーなーと思っていただけるともっと幸いです。
*あと、なんだろう……怒らないでね……(*‘ω‘ *)えへへ……。
マリエルが腐女子ですが、腐女子っぽい発言はあまりしないようにしています。BLは起こりません(笑)
2022年1月2日から公開して3月16日で本編が終了致しました。長い間たくさん見ていただいて本当にありがとうございました(*‘ω‘ *)
恋愛大賞は35位と健闘させて頂きました!応援、感想、お気に入りなどたくさんありがとうございました!
❲完結❳乙女ゲームの世界に憑依しました! ~死ぬ運命の悪女はゲーム開始前から逆ハールートに突入しました~
四つ葉菫
恋愛
橘花蓮は、乙女ゲーム『煌めきのレイマリート学園物語』の悪役令嬢カレン・ドロノアに憑依してしまった。カレン・ドロノアは他のライバル令嬢を操って、ヒロインを貶める悪役中の悪役!
「婚約者のイリアスから殺されないように頑張ってるだけなのに、なんでみんな、次々と告白してくるのよ!?」
これはそんな頭を抱えるカレンの学園物語。
おまけに他のライバル令嬢から命を狙われる始末ときた。
ヒロインはどこいった!?
私、無事、学園を卒業できるの?!
恋愛と命の危険にハラハラドキドキするカレンをお楽しみください。
乙女ゲームの世界がもとなので、恋愛が軸になってます。ストーリー性より恋愛重視です! バトル一部あります。ついでに魔法も最後にちょっと出てきます。
裏の副題は「当て馬(♂)にも愛を!!」です。
2023年2月11日バレンタイン特別企画番外編アップしました。
2024年3月21日番外編アップしました。
***************
この小説はハーレム系です。
ゲームの世界に入り込んだように楽しく読んでもらえたら幸いです。
お好きな攻略対象者を見つけてください(^^)
*****************
婚約者を奪い返そうとしたらいきなり溺愛されました
宵闇 月
恋愛
異世界に転生したらスマホゲームの悪役令嬢でした。
しかも前世の推し且つ今世の婚約者は既にヒロインに攻略された後でした。
断罪まであと一年と少し。
だったら断罪回避より今から全力で奪い返してみせますわ。
と意気込んだはいいけど
あれ?
婚約者様の様子がおかしいのだけど…
※ 4/26
内容とタイトルが合ってないない気がするのでタイトル変更しました。
目指せ、婚約破棄!〜庭師モブ子は推しの悪役令嬢のためハーブで援護します〜
森 湖春
恋愛
島国ヴィヴァルディには存在しないはずのサクラを見た瞬間、ペリーウィンクルは気付いてしまった。
この世界は、前世の自分がどハマりしていた箱庭系乙女ゲームで、自分がただのモブ子だということに。
しかし、前世は社畜、今世は望み通りのまったりライフをエンジョイしていた彼女は、ただ神に感謝しただけだった。
ところが、ひょんなことから同じく前世社畜の転生者である悪役令嬢と知り合ってしまう。
転生して尚、まったりできないでいる彼女がかわいそうで、つい手を貸すことにしたけれど──。
保護者みたいな妖精に甘やかされつつ、庭師モブ子はハーブを駆使してお嬢様の婚約破棄を目指します!
※感想を頂けるとすごく喜びます。執筆の励みになりますので、気楽にどうぞ。
※『小説家になろう』様にて先行して公開しています。
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
【本編完結】王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!
こさか りね
恋愛
私、フェアリエル・クリーヴランドは、ひょんな事から前世を思い出した。
そして、気付いたのだ。婚約者が私の事を良く思っていないという事に・・・。
婚約者の態度は前世を思い出した私には、とても耐え難いものだった。
・・・だったら、婚約解消すれば良くない?
それに、前世の私の夢は『のんびりと田舎暮らしがしたい!』と常々思っていたのだ。
結婚しないで済むのなら、それに越したことはない。
「ウィルフォード様、覚悟する事ね!婚約やめます。って言わせてみせるわ!!」
これは、婚約解消をする為に奮闘する少女と、本当は好きなのに、好きと気付いていない王子との攻防戦だ。
そして、覚醒した王子によって、嫌でも成長しなくてはいけなくなるヒロインのコメディ要素強めな恋愛サクセスストーリーが始まる。
※序盤は恋愛要素が少なめです。王子が覚醒してからになりますので、気長にお読みいただければ嬉しいです。
※本編完結しました。
※後日談を更新中です。