オルレアンの乙女はギャルですが何か問題でも?

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第三話 反撃

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聖女、初めての恋と黒歴史(ワンチャン)
「ジャンナちゃん、大丈夫?」
田中は、ジャンナを抱きしめたまま、ジャンを睨みつけた。ジャンナは震える声で答える。
「うん…」
ジャンは、壁にぶつかった衝撃から立ち直ると、ニヤリと笑った。
「ほう、聖女。お前は、僕の攻撃を跳ね返したか。だが、それは、お前の力が完全に戻ったわけではない証拠。中途半端な力では、僕には敵わない」
ジャンナは、ジャンにそう言われて、再び恐怖に囚われてしまった。彼女は、まだ自分の力をコントロールする方法を知らない。
「ジャンナちゃん、落ち着いて! 僕がついてる!」
田中の言葉に、ジャンナは顔を上げた。田中の目は、ジャンに対する怒りと、ジャンナに対する優しさに満ちていた。
「ジャン! あんた、ジャンナちゃんに、何をするつもりだ!」
田中が叫ぶと、ジャンは、クスクスと笑いながら言った。
「何をするつもり? 僕は、ただ、この聖女に、過去の過ちを思い出させてやるだけだ。そして、もう一度、火刑台に送ってやる」
その言葉に、ジャンナは体が硬直した。彼女の脳裏に、火刑台で燃え盛る炎が蘇る。
「やめて…!」
ジャンナは、思わず叫んだ。すると、彼女の体から、再び眩い光が放たれた。今度は、先ほどよりも強く、廊下全体を照らした。
ジャンは、その光に目を細めた。
「…まさか、聖女の力が、こんなにも強くなるとは…」
その隙に、田中はジャンナの手を引いて、エレベーターに駆け込んだ。
「早く! ジャンナちゃん!」
エレベーターの扉が閉まろうとしたその時、ジャンが扉に手をかけ、扉を力づくでこじ開けた。
「逃がさないよ、聖女」
その時、ジャンナは、自分の手に、熱い感触を感じた。それは、田中が、彼女の手を握りしめている感触だった。
「ジャンナちゃん、怖くないよ。僕が、ジャンナちゃんを守るから」
その言葉に、ジャンナは、勇気を出して、ジャンを睨みつけた。
「私は、もう、前世の私じゃない! 私は、ジャンナなの!」
ジャンナは、そう叫び、再び、ジャンに向かって、光を放った。今度は、先ほどよりも強く、そして、明確な意思を持った光だった。
ジャンは、その光に弾き飛ばされ、エレベーターの扉は、音を立てて閉まった。
エレベーターが、一階に到着すると、ジャンナは、田中の胸に顔をうずめて、泣き出した。
「田中くん…私、怖かった…」
「大丈夫だよ。もう、大丈夫だから」
田中は、ジャンナの頭を優しく撫でた。彼の温かい手が、彼女の恐怖を溶かしていく。
二人は、マンションの外に出ると、誰もいない公園のベンチに座った。夜空には、満月が輝いていた。
「ジャンナちゃん、あの光、すごかったね」
田中が、興奮した声で言った。ジャンナは、顔を赤くして答える。
「うん…なんか、田中くんが、私のことを守ってくれるって言ってくれたから、勇気が出たんだ」
「ジャンナちゃん…」
田中は、ジャンナの顔をじっと見つめた。彼の目は、優しさと、そして、愛おしさで満ちていた。
「ジャンナちゃん、僕ね、ジャンナちゃんのことが、好きだよ」
その言葉に、ジャンナは、心臓が大きく跳ね上がった。
「田中くん…」
「僕は、ジャンナちゃんの過去も、今も、そして、未来も、全部含めて、ジャンナちゃんのことが好きだ」
田中は、そう言って、ジャンナの手を優しく握りしめた。彼の温かい手が、彼女の心を包み込む。
ジャンナは、彼の言葉に、涙が溢れてきた。
「私も…私も、田中くんのことが…」
その時、ジャンナのスマホが震えた。リサとミナからのメッセージだった。
『ジャンナ、田中くんと、どうなったー?』
『進展あったー?』
ジャンナは、メッセージを見て、クスッと笑った。
「…私、田中くんと、付き合いたい」
ジャンナは、そう呟いた。田中は、その言葉に、満面の笑顔になった。
「僕もだよ、ジャンナちゃん」
二人は、満月の下で、そっとキスを交わした。
その夜、ジャンナは、リサとミナに、田中と付き合うことになった、と報告した。
「まじかー! おめでとー!」
「ちょーお似合いじゃん!」
二人は、ジャンナの幸せを、心から喜んでくれた。
ジャンナは、今、ギャルとして、そして、一人の女の子として、新しい人生を歩み始めている。
彼女の心は、もう、過去の呪縛に囚われていない。
彼女の隣には、彼女を信じ、愛してくれる、新しい騎士がいる。
そして、彼女の心の中には、もう「神の声」は響いていない。
ただ、大切な人の声と、愛おしい未来だけが、彼女の心を満たしていた。
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