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ウェールズ王国
これぞ異世界!!ワックワク!!
しおりを挟む一方、サクラは雅臣に魔法を教えて貰っていた。
「サクラ…俺は教える事がない気がするが?」
「え?そうなの?!」
「当たり前だ!サクラは全属性使いこなしてるじゃないか!俺が教えられるのは基礎と風魔法位だ!」
雅臣の心は数分で折れた、魔法の教えを乞うサクラはとても可愛く張り切ったものの…。
サクラは全ての魔法を使えた挙句、見た事も聞いた事もない魔法まで使うのだ。
「なら、これで雅臣の家まで行こうか!」
サクラは大きなシャボン玉の様な結界に入るとフヨフヨと浮きながら雅臣を見た。
「だから、そんな魔法はない!!そんなんでうちに向かったら目立って仕方ないだろう!サクラは俺の背中だ!」
「は~い。」
ちぇっ!どの道雅臣のおんぶ移動決定だった。
まぁ、雅臣のおんぶは安定してるしそのままお昼寝も出来るから良いんだけどね。
「ほら、休憩は終わりだ。行くぞ?」
「うん。」
私は雅臣の背中によじ登り準備完了。
直ぐに雅臣は飛び上がり木の枝を器用に飛んで進んで行く。
雅臣の家まであと一日程度で着くらしい。
同じ日本人の雅臣、私は今後の雅臣の事を考えていた。
雅臣のお母さんを治したら、取り敢えず依頼者をぶん殴る。
その後の雅臣はきっと私を攫った犯人として裁かれちゃうのだろう。
それは何としても阻止したい!
味噌汁を啜ってホッと出来る同郷の雅臣は絶対に側に置きたいのだ。
ルイスに相談?ん?先ずは国王か?
そんな事を考えているうちに私は眠ってしまった。
一方、雅臣は取り敢えず依頼者をぶん殴ると言うサクラがぶん殴るを達成した後自首しようと思っていた。
何も知らなかったとは言えこんな幼い同郷の少女を攫って金を貰おうとしていた。
サクラと出会えて味噌汁や米などもう二度と食べられないと諦めていた故郷の飯を食うことが出来た。
日本の事についても話して笑ったり、とても貴重な存在だった。
「全部終わったら、ちゃんと帰してやるからな?」
背中でスヤスヤ眠るサクラに雅臣は呟いた。
もうすぐ着く、雅臣はスピードを上げた。
サクラの冒険はまだまだ続きそうだ。
◆
王都ではアルミディアス聖教のルイ猊下は国王と謁見していた。
「正式に此方から抗議文書を送ったが、早々に返事が来たな。」
「で?サクラの事は分かったか?!」
「分からん…しかし、サリスティンもこの事は不本意の様だし。犯人確保に協力すると言ってきている、落とし人様も見つけ次第保護し王都まで送還するそうだ。シャルルも苦労するな、下が使えないと。」
辛辣なルイに国王も苦笑いした。
「まぁ、直ぐに犯人も見つかるだろう。その間に宮廷裁判を終わらせてしまおう。ウィルとてアレを落とし人様には見せたくないだろう?」
「あぁ、サクラの事だ…絶対に立ち会うと言いかねないからな。」
「ふむ、あのウィルが随分絆されたものだな?」
「サクラにまだ会っていないお前に言われたくないぞ?」
ムッとした国王にルイは驚いた顔をした。
落とし人とはそれ程までに魅力的なのだろうか?
ルイの中でかなりサクラに対して興味が湧いた瞬間だった。
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