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幕末の章
雛妃捜索大作戦!
しおりを挟む私は後に新撰組になるであろう方々と、雛妃を探すべく作戦会議を開く事になり、大広間へと集まった。
「先ずは自己紹介からだな、俺と斎藤、平助はもう知ってるな?後は俺の隣の厳ついのが近藤さんだ。」
「近藤勇だ、事情は歳から大方効いたが………まさか未来から来たとは、信じられんな。」
近藤さんは顎に手をやりまじまじと私を見た。
近藤さんはとても体格が良く、確かに厳ついのでしょうがその表情はとても穏やかで優しい雰囲気です。
「俺は永倉新八だ!嬢ちゃん可愛いな?人形みたいじゃねえか。」
立ち上がりニッと笑って私に手を差し出した、そっと握って握手するとブンブンと振る。
「槇原知世です。」
永倉さんは元気なお兄さんて感じですわね。
「俺は原田佐之助だ。宜しくな?」
「はい、宜しくお願い致します。」
原田さんは永倉さんと違って、落ち着いたお兄さんですわ。
「おいっ!総司はまだ来てねえのか‼」
「ごめん、そんなに怒らないでよ土方さん。」
「はぁ………知世、これが沖田総司だ。」
沖田さんに宜しくお願い致しますとお辞儀する。
顔を上げると沖田さんは目を見開て私を見ています。
どうしたのかと首を傾げていると沖田さんは私の肩をガシッと掴みました、近いです。
「知世?知世って言ったか?」
「は、はい………槇原知世と申します。」
「知世!帰って来たんだな?久し振りだな!元気にしてたか?雛妃はどうした?お前だけなのか?」
沖田さんは私を抱き締めながら興奮しています。
帰って来たとはどういう事でしょうか?
土方さん達も沖田さんを見て固まっています。
固まってないで助けて下さい!男性に抱き締められるなんて心臓がもちませんわ!
「そ、総司………知世を知ってんのか?」
やっと動き始めた土方さんが沖田さんに詰め寄りました。
「はっ?何言ってんの土方さん。俺と土方さん、近藤さんに斎藤さんは知世を知ってるでしょ?」
えっ?
「十年程前の………」斎藤さんが驚いた顔で私と沖田さんを交互に見ました。
十年前………さっぱり分かりません。
「はっ!沖田さん‼雛妃をご存知なんですか?」
沖田さんは雛妃はどうしたと言った。
「知ってるも何も知世と一緒に居ただろ?確か知世と雛妃はあの頃五歳だったな?大きくなったな、こんなに美人になるなんて吃驚だ。」
五歳………まさか‼
「知世、沖田さんなんて止めなよ!前は総ちゃんって呼んでたじゃないか。斎藤さん、何難しい顔してんの?斎藤さんなんか雛妃に付きっきりで遊んでだじゃない?」
斎藤さんはハッとして思い出した様です。
「まさか、あの時のチンチクリンなのか?」
「おぉ、あの時の子か?懐かしいな。」
土方さんも近藤さんも私を知っているみたいですね。
平助さんと永倉さんと原田さんは黙って事の成り行きを見守っています。
何となく状況が分かってきました、五歳の時の行方不明………沖田さん達と居たのでしょうか?
「あの時は急に居なくなって焦ったんだからな?」
「あの、沖田さん私と雛妃はどのくらいこちらに居たのですか?」
「んっ?あの時は三日くらいかな?」
やっぱり………
「知世覚えてないのか?」
「はい、私も雛妃も皆さんの事は全く覚えていません。」
そうか、と言って沖田さんはシュンッとしてしまった。
なんだか大広間が暗い雰囲気になってしまいました。
「斎藤、何処に行く?」
いつの間にか斎藤さんが襖に手を掛けていました。
「雛妃を探す……」
「待て、闇雲に探すより全員で手分けした方が早いだろうが!」
そうです!はやく雛妃を見つけないと!
「土方さん、雛妃は自分の容姿に無自覚なんです。ちょっと抜けていて警戒心が無いので早く見付けて頂きたいのです。」
「小さい時も二人とも可愛かったからな?雛妃もそんなに美人に成長したのか?」
「はい、あまりの可愛さにもしもの為に雛妃のご両親は沢山の武道を習わせていましたが、雛妃は決して人には使わないでしょう。」
「そうか、歳!早急に雛妃を見つけてやろう。何より雛妃優先だ。」
「分かった、近藤さんは知世と此処に残ってくれ。斎藤、総司は空から、平助は北、新八は東、佐之は南、俺は西を探す。京に居るとは限らねぇから広範囲を探していてくれ。」
「「「はいっ」」」
こうして、雛妃の捜索が始まりました。
何やら空からとか気になる発言がありましたが、今は置いて置きましょう、雛妃が先決です。
雛妃、どうか無事で居て下さい!
応援ありがとうございます!
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