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幕末日常と食事の章
お買い物騒動
しおりを挟む「雛妃ー!知世ー!買い物行こう‼」
部屋で知世ちゃんが破れたりした着物を、直しているのを見ていると平助君が飛び込んできた。
此処に来て一週間ちょっと、だいぶ渾名呼びも慣れてきた。
「どうしたのですか、急に買い物なんて?」
「へーちゃん、私行きたい‼」
ずっと屋敷に籠っていた私は叫んだもう退屈していた。
奈緒さんに貰ったお金もあるし、台所の水甕も二つ壊しちゃったから気になってたのよ。
翌日、島田さんが小さな甕を持って来てくれたけど、大きいに越したことはないと思うの。
「ねっ?知世ちゃん行こうよ!」
「そうですね、では片付けるので待っていて貰えますか?」
私と知世ちゃんは急いで着物を畳むと準備した。
奈緒さんに貰った巾着からお金を取ろうとして、止まった。
買い物ってどれくらいお金が必要なんだろう?
「知世ちゃん、お金ってどれくらい持って行けばいいのかな?」
「私もこの時代のお金の価値と金銭感覚は全く分かりません。」
だよね、どうしよう…………悩んでみたけど答えは出ず、仕方ないので小判を二枚と銀色のお金を数枚巾着に居れた。
玄関に行くと平助君だけだと思って居たのに、沖田さんと斎藤さんに原田さんまで居た。
「さぁ、行こう!雛妃と知世に沢山買ってやれって、近藤さんと土方さんから沢山お金貰ってあるから!」
沖田さんはウキウキしながら巾着を上げて見せた。
「何処か行きたい所ある?」
原田さんはそうに言ってくれたけど、私も知世ちゃんもこの街の事は全く分からない。
「ならさ、まず俺達に付き合ってよ!」
平助君に言われて頷いた、何処に行くかは知らないけど取り敢えず街を見て見たいもんね。
歩きながら街を見ていくと大福餅のお店が目についた。
うぅ………大福餅食べたいなぁ、ちょっと買ってくるくらい良いよね?
一番後ろを歩いていた私は少し皆から離れて大福餅屋さんに飛び込んだ。
「いらっしゃい!」
「大福を一つ下さい!」
「あいよ、四文だよ。」
四文?どれだ?巾着を広げてみるけど分からない。
大は小を兼ねると言うし………
「これでお願いします。」
小判を一枚出すと、女の人はかたまってしまった。
えっ?足りないの?でも小判って私の中では一万円札みたいな存在なんだけど………違うのかな?
「雛妃!」
そこへ斎藤さんが飛び込んできて、私を抱き締めた。
抱き締められると斎藤さんの動悸の激しさが伝わってきたし、肩で息をしているのが分かった。
斎藤を見上げるとホッとした顔をした。
「大福が欲しかったのか?」
コクりと頷くと、斎藤さんは私が握り締めている小判を見てギョッとした。
「雛妃、大福一つに小判を出す奴は居ない。」
えっ?そうなの?
斎藤さんはさっさとお金を払ってしまった。
「すまなかった。」
女の人から大福を承けとると、女の人は斎藤さんを見て頬を染めた。
やっぱり斎藤さんモテるのね?ほらっもう女の人は私を睨んでる。
「雛妃行こう、皆が心配してる。」
斎藤さんに肩を抱かれて大福屋さんを出た。
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