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幕末日常と食事の章
お買い物騒動③
しおりを挟む呉服屋の女将さんに着物を着付けて貰らうと、何故かテンションの上がった女将さんにしっかり髪まで結って貰った。
沢山買って貰ったからと、簪やらの髪飾りまでつけてくれたのだった。
呉服屋さんを出て皆に合流すると、四人は私と知世ちゃんを交互に見て固まってしまった。
変だったかな?
平助君と沖田さんは目を丸くしているし、斎藤さんは口元を隠してそっぽを向いているし、原田さんはもう私達に背を向けていた。
「何処か変だったのかな?」
「どうなんてしょう。」
私と知世ちゃんは顔を見合わせた。
「いやっ!そうじゃない、綺麗だぞ!」
「そう!綺麗過ぎて………ちょっと………」
平助君と沖田さんが慌ててフォローし始めた。
「はぁ………元が良いから着物が変わると此処までなんてね。紅を買ってあげる、折角だから紅も指そうね?」
原田さんにお礼を言うと、また背を向けてしまった。
何なの?
「そっそうだ、疲れただろうから少し休もうよ。」
「そうだそうだ、あそこの甘味処に入ろう?そこで少し買い物の仕方を教えるからさ。」
さっさと向かう沖田さんと平助君を追う。
その後ろから、原田さんと斎藤さんも着いてきた。
チラッと原田さん達を振り返ると、三人組の女の人に捕まっているのが見えた。
凄い………あんな大人な綺麗な女の人に囲まれるなんて流石だわ。
甘味処の前で二人を待っていると、原田さんに手招きされた。
「あれって、私を呼んでるのかな?」
「本当ですわね。」
「知世は俺と平助が見てるから、雛妃は原田さんの所に行っておいでよ。先に皆のも頼んでおくからさ。」
私は原田さんの元に向かった………けど、三人のお姉様達の視線が痛い。
「すぅちゃん、呼んだ?」
お姉様の前だから原田さんと呼ぼうと思ったけど、また拗ねられると面倒だからいつも通り呼んだ。
トコトコと原田さんに近付くと型を抱かれた。
「ほらね、俺達こんなに可愛い連れがいるんだよ。」
とうやらお姉様達がしつこかったみたいだ、私をだしに使ったのね?
「何でよ~、こんな小娘より私達と遊んだ方が楽しいわよ?色々と………」
「そうよ、まだ胸も小さい餓鬼じゃない?」
ピクッ………
「こんな子供のお守りなんて止めて私達と遊びましょうよ。」
ブチッ…………‼
何でそんな事を初対面で云われなきゃならないのよ!
「ねっ?いきましょう?」
一人のお姉様が斎藤さんの腕に手を絡めた。
ーパシッ………!
「ちょっと!何するのよ‼」
斎藤さんに絡める手を叩き落とした。
「はぁちゃんに触らないで‼私の胸が小さいですって?見たことあるの?これでもCカップあるの、まだまだ成長期なんだから‼身長だってまだまだ伸びる予定なんだからね‼」
一気に言い終えて、肩で息をしているとお姉様の一人が手を振り上げた。
やってみなさいよ、倍返ししてやるわよ?
キッとお姉様を睨むと後ろからフワッと抱き締められた。
原田さんは手を振り上げたお姉様の手を掴み睨んでいた。
振り向けば斎藤さんが私を守る様に抱き締めていてくれている。
「やり過ぎたな?俺達のお姫様に手を上げるなんて、許せないね?」
原田さんは私達には見せた事ない冷たい目でお姉様を見下ろしていた。
私に向けられてる訳じゃないのに、背筋が凍った。
斎藤さんも他の二人のお姉様を睨み付けていた。
なんだか気温も下がった気がする………寒い。
「はぁちゃん、寒い。」
「済まない。」
斎藤さんはハッとすると眉を下げた。
「俺達の邪魔しないでもらえる?俺ケバいの苦手なんだよね。」
原田さんは笑っているけど、目が怖い。
鋭い目で睨まれたお姉様達は………
「ふんっ、小娘覚えてなさいよ‼」と捨て台詞を残して去って行った。
てゆうか、私?私が悪いの?散々貶されたのは私なのに!
「雛妃、胸の事は気にするな。」
「そうだよ、あぁゆうのは調度良い大きさってのがあるんだから。」
むぅぅぅう!
「はぁちゃんとすぅちゃんの馬鹿‼禿げちゃえ!」
私は一目散に知世ちゃん達が待つ甘味処に走った。
そんな私をあの三人組が視ていたなんて知らなかった。
甘味処に入ると直ぐに私に気付いた平助君が手招きしてくれた。
私は膨れながら知世ちゃんの徒なりに座った。
「どうしたんですか?」
「何でもないよ、はぁちゃんとすぅちゃん何て禿げ散らかしてしまえば良いんだよ!」
するとガックリと肩を落とした原田さんと斎藤さんが店に入って来た。
知らないんだから、デリカシーのない男なんて禿げて当然よ‼
「どうしたの、二人とも?」
沖田さんが不思議な顔をして、二人に声を掛けた。
「雛妃に禿げちゃえって言われたんだよ。」
「何やらかしたの?」
私は思わずバンッとテーブルを叩いた。
「はぁちゃん、すぅちゃん………言ったらもう口聞かないからね!」
そう言うと二人とも口を手で押さえた、よろしい。
「まぁ、それより団子でも食べながら二人にお金の使い方を教えようよ。」
そうよ、それがあったんだわ!
応援ありがとうございます!
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