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幕末日常と食事の章
暑い!
しおりを挟む私達がこっちに来て早くももう夏間近、すっかり気温も上がって来て。
「暑い~‼」
元々私は暑がりなんだけど、知世ちゃんは涼しい顔をして繕い物をしてる。
「知世ちゃんは暑くないの?」
「そこまでじゃありませんよ。」
本当に?あぁ、私は真夏になったら死んでしまうわ。
この着物の帯も暑いのよね。
あっ!そうだ!私は部屋を出てある人を探す。
中庭まで来てキョロキョロしていると、お目当ての人物を発見。
「はぁちゃーん!」
中庭で素振りをしていた斉藤さんを呼ぶと、手拭いで汗を拭きながら直ぐに来てくれた。
「雛妃、どうした?」
「はぁちゃん、ふぅして。」
縁側に座ると、斉藤さんも隣に座った。
クスッと笑うとフゥ~っと息を吹き掛けてくれる。
「はぁ~天国。涼しい~。」
流石雪男、移動式クーラーだわ。
「暑かったのか?」
「うん。」
グッタリしていると、口にポンッと何かを入れられた。
「わぁ!冷たい!」
それは飴玉くらいの氷の固まりだった。
「夏になったら俺の部屋に来ると良い。」
「はぁちゃんの部屋?」
どうやら夏は流石に雪男の斉藤さんも辛いらしい。
だから夏は斉藤さんの部屋は氷付けになりかなり涼しいんだって。
助かった!これでなんとか夏は乗り切れそうだわ。
カラコロと氷を口の中で転がしながら、ある事に気付く。
「ねぇはぁちゃん、もっと大きな氷作れるよね?」
「あぁ、出来る。」
「ちょっと来て!」
斉藤さんの腕を掴み、台所へ。
笊に笹の葉を敷いて、そこに氷の塊を作って貰った。
「これをどうするんだ?」
「かき氷作るの!」
「かき氷?」
斉藤さんは氷の塊を見て不思議な顔をしている。
あれ?でもどうやって削ろう。
流石にかき氷機なんてないし……島田さんに相談してみようかな?
まだ素振りをすると言う斉藤さんと別れて、今度は島田さんを探す。
この時間ならきっと道場に居る、途中で会った平助くんに島田さんを台所に呼んで貰える様に頼んだ。
台所に戻り、また考える。
「シロップどうしよう。」
この時代で出来そうなのは……霙かな?
でも練乳も捨てがたい!
ん?でもこの時代に牛乳なんてあるの?
この時代に来てから牛乳なんて見たことないよね、と言うことはないのよねきっと。
うーん……牛乳の代用品か、何かないかなぁ。
そうだ!豆乳よ!豆腐があるんだから豆乳はあるわよね?
「雛妃さん、藤堂さんから聞きました。私に何か用ですか?」
「島田さん、かき氷作りたいんですけど鐵だって貰えますか?」
「かき氷……ですか?」
かき氷を知らない島田さん説明すると、削るのは任せてくれと言われた。
「有り難うございます。あと豆乳が欲しいんです。」
「豆乳?」
豆乳も知られてないのよね。
斉藤さんの作る氷は溶けずらいから少しくらい放置でも大丈夫だからお豆腐屋さんに行きたい。
「ならば、他の隊士に頼みましょう。いつも雛妃さんには美味しい物を作って貰ってるんです、これくらいさせましょう。」
いいのかな?私は島田さんの言葉に甘える事にした。
じゃあその間に霙シロップを作ってしまおう!
「あれぇ~、雛妃何してんの?」
「何か手伝う事ある?」
「また旨い物作るのかぁ?」
平助くんと原田さんと永倉さんが台所の入り口からヒョッコリ顔を出した。
これは丁度良いじゃないの、島田さんには竈をお願いしたいから三人に氷を削って貰おうかな?
「あのね、暑いからかき氷を作ろうとおもうの。」
「かき氷?」
何だそれ?と首を傾げる平助くん。
「かき氷はね………」
三人におおまかに説明すると、平助君はキラキラと顔を輝かせ、原田さんと永倉さんは興味津々と言った感じだ。
「要は、この氷を削れば良いんだろ?」
力仕事は任せろと腕を捲る永倉さんは何て頼もしいんだろう!
氷を三人にお願いして、私は島田さんの所へ戻った。
あの三人に氷を任せた事を後悔するとは思わなかった。
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