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幕末日常と食事の章

土方の場合

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 知世は知らなねぇ、俺がいつから知世を俺の心に秘めていたかなんて。
知るわけねぇか、知世はまだ餓鬼だったんだからな。
またいつかは会える、そう思ってたんだ。
そしたらどうだ、こんなに綺麗にになりやがってヒョッコリ現れやがって。

それなのに、知世は必ず元の時代に戻らなくてはならないからと言う。
言いたい事は分からなくもねぇ、いつかは元の時代に帰るんだろう。

「初恋なんです!初恋なのに、別れが見えてるなら私は........。」

「諦めんのか?」

「えっ?」

「やってもみねぇのに諦めんのかよ?お前が惚れたのは人間か?違うだろ。」

「何を言って........」

「知世が惚れたのは俺なんだろうが!俺は人間じゃねぇんだ、寿命なんぞくさる程あんだよ。知世が元の時代に帰るならそれで良い、俺がお前の時代まで生きてりゃ良い話しだ。」

「でもっ!」
土方さんは蝦夷で...,

「グチグチ言ってな、黙って俺のオンナになりゃ良いんだ。」

「.........っ!」
良いんでしょうか、此処で縋ってしまって。

「俺は知世に惚れてんだ、知世はただ返事をすりゃ良い。」

「はい。」
どのくらいの時間土方さんと一緒に居られるんでしょうか。
悲しい別れが待っているとしても、やっぱり私は土方さんが好きです。

「土方さぁぁぁぁあん!」

ースパーーーーーンッ!

「ぎゃぁぁぁぁぁあ!土方さんが!知世に手を出した!」
一瞬でした、乱暴に襖を開け放った平助さん。
そして、上半身裸の土方さんと抱き合っている私。

「煩いよ、平助!知世は居たの?雛妃が知世が居ないって騒い.........っ!」
更に追い討ちをかける様に現れた沖田さん、もちろん私と土方さんを見て固まってしまいました。

「あっ、御免ね。お取り込み中だった?」

「総司テメェふざけんなよ?取り込み中だ、出て行け。」
ニヤニヤしている沖田さんに、取り込み中だと言ってしまう土方さんに私は唖然としました。

「ちょっ!何を言っているんですか!」
思わず土方さんの脇腹を抓った。

「痛ぇ!本当の事だろうが。照れてんのか?可愛いヤツだな。」
この人は誰ですか?急に甘くなった土方さんに戸惑いを隠せません。

「やっとくっついたの?全く見てて焦れったいたらなかったよ。」

「あぁ、だから知世に手ぇ出すなよ?」

「知世!考え直せ!妖怪なんて駄目だ!」

「平助煩い!大体平助も妖怪でしょうが。」

「そうだけど、駄目だ!」
どうしましょう、サラッと恥ずかしい事を言ってのける土方さんもそうですが……

「そうちゃん、へーちゃん!知世ちゃん居た?」
雛妃!今は駄目です!

「斉藤さん!雛妃確保!それで避難!」
私と土方さんを見て何かを察した斉藤さんは慌てて廊下を戻って行きました。

「えっ?はぁちゃん?ちょっと何!待って、知世ちゃんは?」
降ろしてーーー!と叫ぶ雛妃、きっと斉藤さんが担いで行ったんですね。

「あの土方さん、沖田さん、平助さん……この事はまだ雛妃には……」

「言わねえよ。」

「大丈夫、まだ言わないよ。」

「あぁーー!知世が土方さんの毒牙に掛かった!」
頭を抱える平助さん。

「雛妃には私からちゃんと話したいと思います。」

こうして私と土方さんは両思いになりました。
私と土方さんが切っ掛けである人を刺激していたなんて、この時私は全く気付きませんでした。
そして、また一騒動起きるのです。

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