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幕末日常と食事の章
文明の理を取り入れたい!
しおりを挟む夏も本格的になり始め、私は溶けていた。
「あ~づ~いぃい~!」
「雛妃は相変わらず暑がりですね?」
「うぅ~着物の帯がウザい~。」
何で知世ちゃんは涼しい顔をしてるの?
現代程暑くないけど、元々暑がりな私には堪える。
「私ははぁちゃんの所に行ってくるね。」
「はい、私も繕い物が終わったら行きますわ。」
繕い物をしている知世ちゃんを残し、私は一足先に斉藤さんの部屋へと避難した。
夏は雪男の斉藤さんはとっても便利だ、部屋が涼しいのは勿論だけど驚いたのは街を巡回に行く時どうしてるのか一度聞いてみたの。
そしたらなんと着物の中を凍らせていたのよ、凄いでしょ?
「はぁちゃん居る?」
「あぁ、雛妃か?入って良いぞ。」
廊下から声を掛けると直ぐに返事が聞こえた。
「お邪魔しまーす!はぁぁぁあ!天国、涼しい!」
襖を開けると程良い冷気が部屋から漏れて来た。
斉藤さんはキチッと座り読書をしていたみたいだった。
「知世はまだ仕事をしているのか?」
「うん、終わったら来るって言ってたよ。」
「そうか、隊士もこの暑さに参っているからな。またあのカキ氷を作ってやってくれるか?氷ならいくらでも協力する。」
「うん、いいよ。私も食べたいもん。あっ、でも練乳はまた作らないとだ。」
冷蔵庫がないのよね、しかも今時期は本当に保存が効かない。
魚や野菜は毎日使うだけ島田さんが買い出しに行ってくれてるけど、出来れば冷蔵庫が欲しいわ。
何とかならないかしら?
「ねぇ、はぁちゃん?」
「何だ?」
「はぁちゃんの作る氷は溶けにくいのよね?」
ズイズイとはぁちゃんに近寄る。
「あ、あぁ。」
「もしかして…溶けない氷も作れたりする?」
溶けない氷があれば冷蔵庫が作れるかもしれない!
「出来るが?それがどうし……!」
「はぁちゃん!お願いよ、協力して!」
斉藤さんの肩を掴み詰め寄ると、斉藤さんはどうしたのかと焦りながらも了承してくれた。
その夜、皆が集まる夕飯を狙って冷蔵庫を作りたいと提案してみた。
勿論私と知世ちゃんで冷蔵庫について詳しく説明もした。
「成る程、それはいいな!なぁ、歳?」
「あぁ、その冷蔵庫とやらがあればかなり節約になる。更に隊士達にも新鮮な物を食わしてやれんだろ?」
私達が来るまでは軽い食中毒なんて日常茶飯事だったらしい。
今は私が目を光らせているから傷んだ物は絶対に出さない。
「問題は作れたとしてだ、何処に置く?」
土方さんの言う通りだ、出来たとして何処に置くか。
絶対に隊士の目に入ってはいけない、冷蔵庫の存在を知られちゃ駄目だし最悪斉藤さんの正体がバレてしまうかもしれない。
「それなら島田君に口止めしておけば大丈夫じゃないか?彼は信頼出来る男だから。」
「でもな、近藤さん……」
「何をそんなに悩んでんだよ?バレたら俺が記憶をちょっと弄れば済む話じゃん!」
「それがあったか!」
ケロリと言う平助君を見て近藤さんはポンッと手を叩いた。
なんか……今更だけど皆が本当に妖怪なんだと思い知る。
「バレたら平助に任せるとして、後は何が必要なんだ、雛妃?」
「力仕事は任せろよ!」
「ありがとう、くぅちゃん。」
逆に永倉さんには力仕事以外は任せられないってこれまでに学んだわ。
「大きめの箱を作りたいんだけど、くぅちゃんとすぅちゃんにお願いしていいかな?」
原田さんと永倉さんはニヤリと笑うと「任せろ!」と言ってくれた。
「では明日から取り掛かる事にしよう。」
では解散と近藤さんの号令で皆部屋へと帰って行った。
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