うちの総帝様は最強なのだが如何せん天然で…

凪 冬夜

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惑星エルリス

1-7

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ひたすら飛んで空が白んで来た頃、最初の村が見えてきた。
小さな村だが、この村は商人達が行商の為に使う道に面している為宿屋や酒場が多い。
配給は国の外れにあればある程届きにくいと言う欠点がある。
運ぶ途中で盗賊に襲撃されれば終わりである。
そこでクロードは配給用の魔法陣の設置を検討していた。
ラウを小さくして、俺達は目立たない林の中に降りた。

「総帝様、視察をするにはこの格好では目立ち過ぎますし騒ぎになります。どう致しますか?」
ラファイは土帝に俺の素顔がバレるのを懸念しているのだろう。

「仕方ありません、土帝私の素顔は内密にお願いします。」

「ガッハッハッ!構いませんわい。どうせ儂の素顔も晒すんじゃ。」
土帝は豪快に笑うとシュンっとローブを羽織った優しそうな老人が現れた。
俺達も視察用に私服になると、土帝は細い目をこれでもかと見開き固まって居た。

「土帝?大丈夫ですか?」

「そ、総帝様も焔帝も随分お若いんじゃな?それもかなりの美形と来ておる。」
土帝はふむふむと頷くと「こりゃ誰にも言えんわい。」と納得していた。

「すみません、総帝がこんな若造で…驚きましたよね?」

「総帝様は自分が若い事を気にして決して素顔を見せなかったのです。」
ラファイがフォローを入れる。

「まぁ…なんじゃー…若い分には才能があるっちゅう事じゃい。しかし、素顔は晒さん方がええのぅ。騒ぎになるわい…」
ブツブツと土帝は自分の世界に入ってしまった。

「所で、呼び名はどうしましょうか?」

「俺達は何時も通りで良いが、土帝はどうする?俺はラファイだ。」

「私はクロードです。」

「うむ、儂はガライルじゃ。」

「分かりました、ではまずは村に入って様子を見ましょう。宿も取らなければなりませんね。」
俺達は街の中心部に向かい宿を探した。
しかし、どう言う事かどの宿も泊められないと言う。

「クロード様ちとおかしいのぅ?これだけ宿屋があって1件も泊められんとは些かおかしい。」
確かにおかしい。
宿屋の主人達は一様に泊められないの一点張りで顔色もおかしかった。

「仕方ないですね…アレをやりますか。」

「ちょっ!クロード!!…様!アレは緊急時のみとの約束では…」

「今がその緊急時でしょう?」
ニヤリと笑うとラファイは深い溜息を吐いた。

「アレとはなんじゃい?」

「ガライル殿…見ていれば分かります。」
げんなりしたラファイよ様子に土帝は頭を傾げた。
クロードが移動するのをラファイとガライルが目で追うと躊躇わず宿屋に入って行った。
暫くすると女を連れて出てきた。
クロードは壁に手を突き女の耳元で何かを囁いている。
所謂壁ドンだ。
その度に女は顔を真っ赤にそめ恥ずかしそうに俯く。


「なんじゃい、ありゃ…あれじゃ一発だのぉ。総…クロード様の美貌でアレをやられたら寧ろ女の方が不憫じゃわい。」
クロードの容姿を存分に活かした聞き込みにガライルは頬を引き攣らせた。
情報を聞き終えるとクロードは女に何枚か硬貨を渡し、頬に口付けをして戻って来た。
女はクロードに口付けされた頬を抑えるとボーッとしたかと思えばバタりと倒れてしまった。

「ただいま、情報聞き出せましたよ。」

「クロード様にあそこまでやられたら誰でも口を割るわい。」
ガライルはクロードをじとっと見た。

「こんな時使わずして何時この顔が役に立つというのですか?使える手は何でも使いますよ?」

「それで情報は?いや、情報は如何でしたか?」

「ラファイ、何時も通りの口調で構いませんよ?ガライル殿も知っていると思いますが俺達は幼馴染で何時もはもっと砕けた話し方をするので、ガライル殿もその様にして下さい。」

「しかし、クロード様が儂に敬語なのであれば…」

「私はこれが通常なので気にしないで下さい。」
そう言ってニッコリ笑うクロードを見てガライルは驚いた。
そもそもラファイやガライルの様に帝と言っても帝達と総帝とは格が全然違うのだ。
本来はお忍びだからと軽々しく話して良いお方ではない。

「で!情報はどうだったんだ?」

「あぁ、はい。何やら問題が起きている様です。もう五日前には届く筈の配給が届いていないそうです。五日も配給がなければ確かに客など止められませんね。」

「成程のぅ…庶民は配給を自分達家族の食料に当て、店の売り上げて店の食料などを買い揃えるからの。もうそんな金も無いと言ったところかのぉ?」

「それに数日前に若い娘が行方不明になったそうです。」

「何?」

「何じゃと!人攫いか?」

「恐らく…なので俺が攫われて見ようと思います。」

「「はっ?」」
顔を真っ青にするラファイとガライル。
そんな2人に首を傾げるクロード。

「「絶対に駄目だ!」ですじゃ!」
この世界の頂点に君臨する総帝がまさかの攫わてみるとか言い出したのだ2人にはたまったもんではない。

「何故です?女装するには私が一番適任ですし、これても私は強いですよ?」

「そりゃそうじゃろ、総帝様なんじゃから。」
ラファイは自分のムキムキの筋肉質な身体を見て溜息を吐いた。
しかし、この時はまだ誰も気付いていない…クロードは183cmとかなりの高身長である事を。

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