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惑星エルリス

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クロード達一行は女物の服や靴を買い揃え、宿に泊まれない行商人達に肉を配った。

それから林に戻り薄く化粧をしたクロードはまさに完璧だ。
今ならどんな男でも落とせるだろう…がっ!しかしだ!

「クロード、忘れていたがお前の身長で女はありえねえ。」
それにはガライルも頷いた。

「大丈夫ですよ、見てて下さい?時魔法…」
真っ白な魔方陣に包まれたクロードは見る見るうちに小さくなっていった。
それはまだ幼さが残る少女の様だった。

「うん、これなら大丈夫でしょう?」

「クロード様そりゃ一体どうやって…」

「簡単な事ですよ?時魔法で年齢を遡ったんです。今の私は十歳位の頃の姿でしょうか。」
これにもガライルは開いた口が塞がらない。
時魔法を使えるのは恐らく総帝以外にはいないだろう。
それも簡単な事だと言って除けた。
ガライルはこの青年が総帝なのだと再認識した。
町娘の服を着たクロードはどこから見ても美少女だった。

「さぁ、私の心配はしなくて大丈夫なのでラファイとガライルは配給について調べて下さい。食料が足りない様なら私の鞄を預けるのでそこから肉と野菜を村の人に配って下さい。」

「あぁ、分かった。」
クロードの鞄をラファイが受け取るとガライルが待ったをかけた。

「しかし、危険と分かっていて総…クロード様を1人にするのはどうかと思うのじゃが…」

「ガライル殿大丈夫だ。クロードなら一人で余裕で一国を落とせる。心配ない。」
ガライルは青ざめた、こんな青年が一人で一国を落とせる程の力がある事に。
まぁこの年で総帝に就いているのだから不思議ではないのだが、ガライルは未だに信じられないでいた。

「じゃあ私は人目の付かない所に居ますね。その方が攫われてやすいでしょう。」
笑いながら言うクロードにラファイもガライルも溜息を吐いた。

「お主、クロード様と居ると苦労が多いのぉ。特に心労は老体に堪えるわい。」

「そのうち慣れますよ。クロードは強いですからね。」
2人は村に戻り配給路を確認に向かった。


♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

二人が去ってからクロードは村外れの切り株に座っていた。
索敵を展開し、自分に近付いてくる者を探す。

「まぁ来るのは日暮れ頃ですかね?それまでのんびりしますか。」
クロードは本を取り出すと読み始めた。
クロードがパタリと読んでいた本を閉じた頃、空はすっかり茜色に染まっていた。
地面に映る自分の影に他の影が重なった。
クロードはゆっくりと振り向くと振り向いたクロードを見た影の主達は息を飲んだ。

「こりゃまたすげえ上玉じゃねえか!」

「コイツは高く売れるぞ!」
クロードは内心ほくそ笑んだ。
クロードはずっと彼等を待って居たのだから。

「おじさん達だぁれ?」
コテンと首を傾げる。

「お嬢ちゃんお家はこの近くなのかな?」

「ううん、気付いたらここに居たの。」

「可哀想に…親に捨てられちまったのか?おじさん達と一緒においで。美味しいご馳走にお菓子もあるよ?」

「本当に!うん!一緒に行く!」
男達は顔を見合わせてニヤリと笑った。
そんな彼等にクロードはニッコリと笑って見せた。

“ ラファイ犯人が引っ掛かりました。これから恐らくアジトに向かうのでしょう。そちらは任せます、何かあれば報告して下さい。”

“ 分かった。気を付けろよクロード。”
クロードはラファイに念話で伝え、人攫いである男達に着いて行った。
着いていくと馬車に乗せられて何処かの小屋に連れて来られた。

「お嬢ちゃん、悪いな…」
何とも申し訳ない顔をした男は俺を縄で縛り上げ、地下の牢屋に閉じ込めた。
暫く大人しくしていた俺は風魔法を使い縄を切ると、今度は植物魔法で自分の分身を作った。
檻の鍵を開けまた鍵を閉めると自分に結界を貼り気配を消した。
そのまま階段を上がると男達の声が聞こえて来た。

『なぁ、もうこんな事辞めようぜ!』

『馬鹿言ってんじゃねえよ!断って見ろ、明日には俺達の首は飛んでる!』

『あの王子に逆らったらどうなるかお前も分かってんだろ?』

『それでも…もう見てられねえよ。俺にも同じ年頃の娘がいるんだ。もうこんな事終わりにしたい。』
ほぅ…王子ですか…。
中々いい情報を頂けましたね。
そろそろ拘束させて貰いましょう。
俺は構わずドアを開け放った。
中に居た男達は呆然としている。

「話は聞かせて頂きました。貴方方は少し拘束させて頂きますね?植物魔法…」
男達の周りから弦が伸び男達の身体に巻き付き動きを奪った。

「嬢ちゃんは何者だ?」

「私ですか?そもそも私はお嬢ちゃんではありませんよ?時魔法…」
俺は魔法発動と共に総帝の衣装に身を包んだ。

「ひぃっ!そ、その服は…総帝様!!」

「おや、ご存知でしたか?光栄です。さて…貴方方には事情がある様です。話して頂けますか?」
男達は総帝を前に観念したのか、一部始終を話してくれた。

「成程、事情は分かりました。少し協力して頂けますか?」

「ま、待ってくれ総帝様!それじゃ俺達の命がねえ!」

「大丈夫ですよ、貴方達は私が守りましょう。それまで私の空間に居て頂きます。宜しいですね?」
男達の同意を得ると俺の空間に移した。

「さて、ラファイの方はどうなっていますかね?」
俺はラファイの気配を追い転移魔法を発動した。

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