うちの総帝様は最強なのだが如何せん天然で…

凪 冬夜

文字の大きさ
25 / 125
惑星エルリス

1-25

しおりを挟む


「お二人は私が呼ぶまではここで待っていて下さい。」

「はい。」

「あぁ。」
キリトはこんな美形が二人も編入してきて大丈夫かと不安を抱えていた。
しかも二人は総帝様と焔帝様と来たもんだ。
正直キリトには荷が重いと思っていた。

「えー今日は編入生を紹介する。二人とも入って来てくれ。」
二人は教室に入った。

「「「「キャーーーーーーーーー!!」」」」
割れんばかりの悲鳴が耳を劈く。
クロードもラファイも堪らず転移して逃げ出した。
二人が転移したのは屋上、ラファイは疲れた顔をして、クロードは青ざめていた。

「何ですかあれは!」

「アレはモンスターだ。」
二人が教室に入った瞬間、物凄い悲鳴とギラギラしたお嬢様達の目は正に獲物を狙う目だった。
そんな目を向けられた事の無いクロードは青ざめドン引きしていた。
普段如何にエデンが平和か思い知った。

「俺…もう教室に行く自信がありません。」

「俺は絶対に行かない。」
二人の意見は一致した。


♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦


二人が消えた教室ではキリトが大変な目に会っていた。
お嬢様達に詰め寄られ、ヨレヨレになっていた。

「先生!!あの方達のお名前はなんて言うのですの?!」

「何処に行ってしまわれたの?!」
などキリトは二人に心底戻って来て欲しいと願った。

「静かーーーーーーに!!彼等の紹介を不本意だが先生からする事にする。1人目はオズワルド公爵家の嫡男クロード=ルイ=オズワルド。2人目はシルベニア王国第二王子のラファイエット=ジル=シルベニアだ。二人は特例で全授業免除だ。必要以上に絡むな!俺の首が飛ぶからな!」
お嬢様達からブーイングが飛ぶ。

「俺は知らん!大体お前達が騒ぐから居なくなったんだろう?もうここには来ないと思うぞ?頼むから問題を起こすな!婿探しなら他を当たれ!お前達には無理だ。」
更にブーイングが激しくなった。
収集がつかなくなりキリトも教室を逃げ出し、理事長室の扉を全力で叩いた。

「どうしたのかね、キリト君?血相を変えて。」

「理事長!私のクラスはもう収集がつきません!お二人はクラスの女子が悲鳴を上げると何処かに消えてしまわれました!姿を消したお二人を女子は血眼になって探しています。」
理事長のザイルは頭を抱えた。

「どうしましょう理事長!私の首が飛んでしまいます!」

「いやいや、君の首が飛ぶ前に私の首が飛んでしまうよ。」
二人は揃って頭を抱えた。
クロードとラファイは姿を隠し、気配を決して学園を調べていた。

「ラウ…何か感じますか?」
クロードの影から出てきた子猫サイズのラウは辺りを窺った。

『うむ…何かの気配は感じるが、正確に何処かと言われれば曖昧で分からない。』

「ウィンディーナはどうだ?」

『うーん…ラウ様と同じですわ。』

「それは精霊の気配なんですか?それとも別の何かとかですか?」

『うむ、恐らくだが精霊だろう。我はこの学園の地下が怪しいと思うのだが?』

「地下ですか?ラファイ、この学園に地下なんてありましたか?」

「いや、学園の見取図には地下なんて存在してないぞ?」
地下…怪しいですね。
クロードは目を閉じ意識を集中する。
結界を学園全体まで広げ、更に地下へと結界を広げて行く。
んっ?…何か居ますね?
しかも複数…

「捉えました、地下に何か複数の反応がありますね。」

ーガチャガチャ…

いきなり屋上の扉が開いた。
クロードとラファイは無意識に息を顰めた。

「ここにも居ませんわ!!」

「何処に行ってしまわれましたの?!」

わたくし公爵家のクロード様に一目惚れ致しましたの、貴女達はクロード様は諦めて下さいまし!」

「私は俄然王子様ですわ!!」

「狡いですわよ!私だってクロード様狙いですわよ!!」

「まぁ貴女!男爵家の分際で伯爵家の私に歯向かうと言うのですか?!」

「命短し、恋せよ乙女ですわよ!!家の位などこの際関係ありませんわ!!」
ギャアギャアと言い合う令嬢達にクロードもラファイも青ざめた。
翌日登校して来たクロードとラファイは令嬢達に囲まれ、今度は逃がさんとばかりに腕に絡みつく幾つもの質問が同時に問いかけられ香水の匂いに酔ったクロードは真っ青を通り越して白い顔になっていた。
それを見たキリトと理事長が脱兎の如くクロードとラファイを救出した。
クロードの中で貴族の令嬢がトラウマになったのは言うまでもない。
グッタリする二人を理事長室な運んだキリトと理事長は二人に謝り倒した。
それはもう頭がもげそうな程頭を下げたのだった。

「もう辞めましょう…」
少し復活したクロードが呟いた。

「俺も同感だ…」
そんな二人にキリトも理事長は戦々恐々と様子を伺っていた。

「理事長、これからは総帝と焔帝として行動します。結界を使いますから俺達の姿は見えません。安心して下さい。任務が終わり次第俺達はエデンに帰ります。」

「分かりました。大変申し訳ありませんでした。」
理事長はまた頭を下げた。
そこに毎度お馴染み電電雷魚がフワフワと泳いできた。
それをクロードは手に乗せた。

「は…」

「ちょっとクロード!!どう言う事なの!!貴方どれだけ学園で誑し込んで来たのよ!!母さんまだ許しませんからね!!大体貴方は自分の顔面偏差値をもっと自覚なさい!!ラファイ!!貴方もそこに居るんでしょ?!貴方もよ!!クラウドが泣き付いて来たわよ!!二人共直ぐに屋敷に来なさい!!お説教よ!!」
凄い勢いで捲し立てるナディアに呆然とする二人を理事長とキリトは同情した目で見ていた。

「ちょっと待って下さい!何が何だか分かりません。」

「あー…クロードか?」
ナディアに変わりウィリアムが変わった。

「はい、何があったんですか?」

「いやー、昨日からお前への縁談がひっきりなしに来ていてな。ナディアが発狂したんだ。」
ハハハハ…と笑うウィリアム。
笑い事では無い。

「それにな、クラウドの所にもラファイへの縁談が凄いらしいんだ。うちの息子はそちらで何をしているのかと心配していてな。」
ラファイの顔が引き攣った。

「「全部断って下さい!!」くれ!!」

「取り敢えずナディアが気が済まないらしくてな、1回屋敷に寄ってくれないか?まぁ、説教だろうが悪いが聞いてやってくれ。じゃあな!」

「ちょっ!」
反論しようとすると電電雷魚は仕事は終わったとばかりにまたフワフワと去って行ってしまった。
二人は黙り込んだまま一点を凝視して放心状態になってしまった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

処理中です...