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惑星エルリス
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しおりを挟む「お二人は私が呼ぶまではここで待っていて下さい。」
「はい。」
「あぁ。」
キリトはこんな美形が二人も編入してきて大丈夫かと不安を抱えていた。
しかも二人は総帝様と焔帝様と来たもんだ。
正直キリトには荷が重いと思っていた。
「えー今日は編入生を紹介する。二人とも入って来てくれ。」
二人は教室に入った。
「「「「キャーーーーーーーーー!!」」」」
割れんばかりの悲鳴が耳を劈く。
クロードもラファイも堪らず転移して逃げ出した。
二人が転移したのは屋上、ラファイは疲れた顔をして、クロードは青ざめていた。
「何ですかあれは!」
「アレはモンスターだ。」
二人が教室に入った瞬間、物凄い悲鳴とギラギラしたお嬢様達の目は正に獲物を狙う目だった。
そんな目を向けられた事の無いクロードは青ざめドン引きしていた。
普段如何にエデンが平和か思い知った。
「俺…もう教室に行く自信がありません。」
「俺は絶対に行かない。」
二人の意見は一致した。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
二人が消えた教室ではキリトが大変な目に会っていた。
お嬢様達に詰め寄られ、ヨレヨレになっていた。
「先生!!あの方達のお名前はなんて言うのですの?!」
「何処に行ってしまわれたの?!」
などキリトは二人に心底戻って来て欲しいと願った。
「静かーーーーーーに!!彼等の紹介を不本意だが先生からする事にする。1人目はオズワルド公爵家の嫡男クロード=ルイ=オズワルド。2人目はシルベニア王国第二王子のラファイエット=ジル=シルベニアだ。二人は特例で全授業免除だ。必要以上に絡むな!俺の首が飛ぶからな!」
お嬢様達からブーイングが飛ぶ。
「俺は知らん!大体お前達が騒ぐから居なくなったんだろう?もうここには来ないと思うぞ?頼むから問題を起こすな!婿探しなら他を当たれ!お前達には無理だ。」
更にブーイングが激しくなった。
収集がつかなくなりキリトも教室を逃げ出し、理事長室の扉を全力で叩いた。
「どうしたのかね、キリト君?血相を変えて。」
「理事長!私のクラスはもう収集がつきません!お二人はクラスの女子が悲鳴を上げると何処かに消えてしまわれました!姿を消したお二人を女子は血眼になって探しています。」
理事長のザイルは頭を抱えた。
「どうしましょう理事長!私の首が飛んでしまいます!」
「いやいや、君の首が飛ぶ前に私の首が飛んでしまうよ。」
二人は揃って頭を抱えた。
クロードとラファイは姿を隠し、気配を決して学園を調べていた。
「ラウ…何か感じますか?」
クロードの影から出てきた子猫サイズのラウは辺りを窺った。
『うむ…何かの気配は感じるが、正確に何処かと言われれば曖昧で分からない。』
「ウィンディーナはどうだ?」
『うーん…ラウ様と同じですわ。』
「それは精霊の気配なんですか?それとも別の何かとかですか?」
『うむ、恐らくだが精霊だろう。我はこの学園の地下が怪しいと思うのだが?』
「地下ですか?ラファイ、この学園に地下なんてありましたか?」
「いや、学園の見取図には地下なんて存在してないぞ?」
地下…怪しいですね。
クロードは目を閉じ意識を集中する。
結界を学園全体まで広げ、更に地下へと結界を広げて行く。
んっ?…何か居ますね?
しかも複数…
「捉えました、地下に何か複数の反応がありますね。」
ーガチャガチャ…
いきなり屋上の扉が開いた。
クロードとラファイは無意識に息を顰めた。
「ここにも居ませんわ!!」
「何処に行ってしまわれましたの?!」
「私公爵家のクロード様に一目惚れ致しましたの、貴女達はクロード様は諦めて下さいまし!」
「私は俄然王子様ですわ!!」
「狡いですわよ!私だってクロード様狙いですわよ!!」
「まぁ貴女!男爵家の分際で伯爵家の私に歯向かうと言うのですか?!」
「命短し、恋せよ乙女ですわよ!!家の位などこの際関係ありませんわ!!」
ギャアギャアと言い合う令嬢達にクロードもラファイも青ざめた。
翌日登校して来たクロードとラファイは令嬢達に囲まれ、今度は逃がさんとばかりに腕に絡みつく幾つもの質問が同時に問いかけられ香水の匂いに酔ったクロードは真っ青を通り越して白い顔になっていた。
それを見たキリトと理事長が脱兎の如くクロードとラファイを救出した。
クロードの中で貴族の令嬢がトラウマになったのは言うまでもない。
グッタリする二人を理事長室な運んだキリトと理事長は二人に謝り倒した。
それはもう頭がもげそうな程頭を下げたのだった。
「もう辞めましょう…」
少し復活したクロードが呟いた。
「俺も同感だ…」
そんな二人にキリトも理事長は戦々恐々と様子を伺っていた。
「理事長、これからは総帝と焔帝として行動します。結界を使いますから俺達の姿は見えません。安心して下さい。任務が終わり次第俺達はエデンに帰ります。」
「分かりました。大変申し訳ありませんでした。」
理事長はまた頭を下げた。
そこに毎度お馴染み電電雷魚がフワフワと泳いできた。
それをクロードは手に乗せた。
「は…」
「ちょっとクロード!!どう言う事なの!!貴方どれだけ学園で誑し込んで来たのよ!!母さんまだ許しませんからね!!大体貴方は自分の顔面偏差値をもっと自覚なさい!!ラファイ!!貴方もそこに居るんでしょ?!貴方もよ!!クラウドが泣き付いて来たわよ!!二人共直ぐに屋敷に来なさい!!お説教よ!!」
凄い勢いで捲し立てるナディアに呆然とする二人を理事長とキリトは同情した目で見ていた。
「ちょっと待って下さい!何が何だか分かりません。」
「あー…クロードか?」
ナディアに変わりウィリアムが変わった。
「はい、何があったんですか?」
「いやー、昨日からお前への縁談がひっきりなしに来ていてな。ナディアが発狂したんだ。」
ハハハハ…と笑うウィリアム。
笑い事では無い。
「それにな、クラウドの所にもラファイへの縁談が凄いらしいんだ。うちの息子はそちらで何をしているのかと心配していてな。」
ラファイの顔が引き攣った。
「「全部断って下さい!!」くれ!!」
「取り敢えずナディアが気が済まないらしくてな、1回屋敷に寄ってくれないか?まぁ、説教だろうが悪いが聞いてやってくれ。じゃあな!」
「ちょっ!」
反論しようとすると電電雷魚は仕事は終わったとばかりにまたフワフワと去って行ってしまった。
二人は黙り込んだまま一点を凝視して放心状態になってしまった。
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