26 / 125
惑星エルリス
1-26
しおりを挟む放心状態の二人に理事長のザイルは遠慮気味に話かける。
「あ、あの…私達の落ち度なので、責任は私達が…」
理事長は一層自分がナディアの説教を聞く覚悟でいた。
そこへまた電電雷魚が戻って来た。
「ザイル!!貴方も覚悟なさい!!私の可愛いクロードが香水臭い令嬢の餌食になったのだから貴方も説教よ!!良いわね!!」
言うことだけ言ってまた電電雷魚は去って行った。
今度は理事長のザイルが放心状態だ。
そんな三人を見てキリトは総帝様の母君はどれ程恐ろしいのかと想像を巡らせた。
「理事長…」
「分かって居ります、総帝様…」
「母の説教は長いです、しかも脱線するのでもう三人で潔く母の元へ行きましょう。」
三人は意気消沈でオズワルド公爵家に向かった。
オズワルド公爵家に着くと玄関の前でナディアが仁王立ちで待っていた。
「クローーーーード!!ラファイーーーー!!ザイル!!覚悟なさい!早く屋敷に入る!!」
「「「はい…」」」
応接室に通された三人はソファーには座らずナディアの前で正座をしていた。
「ザイル!貴方理事長の癖に何をしていたの?!見なさいこれが昨日からクロードに届いた縁談の数よ!!」
ナディアは物凄い厚さの髪の束をバシバシと叩いて見せた忌まわしい物を見る様な目で縁談の束を睨んでいる。
しかも同じ厚さの束の山が三つもある。
確かに凄い数だ。
「クロード!!貴方も貴方よ?!貴方は自分の顔を鏡で見た事も無いのかしら?!貴方の顔面偏差値は凄いのよ?!もう絶世の美男子なの!!自覚なさい!!天然もここまで来ると大問題ね!!」
怒られているのか褒められているのか分からない。
「ナディ…母さん、俺見たいな顔は普通に居ますし。ほらっ!きっとこの髪と瞳が珍しかっただけですよきっと。」
ニッコリとぶちかますクロードにナディアは青筋をたてた。
ラファイとザイルもこれ以上ナディアを逆撫でしないで欲しいと冷めた目でクロードを見た。
「馬鹿を言うんじゃありせん!!」
一際大きな声が応接室に響いた。
それに三人は縮こまった。
「クロード!!なら貴方の髪と瞳が珍しいと言うだけでこんなに縁談が来たと言うの?!馬鹿仰い!!それだけの理由でこのオズワルド公爵家に縁談を申し込む馬鹿が何処に居ると言うんですか!!男爵家、伯爵家、公爵家…殆ど年頃の娘が居る家から来てるのですよ!!はぁーもうっ!!どうしたらクロードに伝わるのかしら!!」
一枚一枚縁談の申し込みを投げ捨てながらナディアは叫んだ。
「ラファイエット!!貴方もクラウドに心配かけるんじゃありません!!」
クラウドはラファイの父親で国王だ。
「縁談が多くて捌き切れないと嘆いて居たわよ!!全く、ライの立場も考えなさい!!第一王子よりも第二王子の貴方への縁談が多いなんてライが可哀想じゃない!!弟は兄を立てる物よ?!」
ナディアの説教が1時間を超えた頃、応接室にウィリアムがヒョッコリ顔を出した。
「ナディア、その位にしたらどうだ?クロードに嫌われたくはないだろう?このまま続けたらクロードはきっとお前を避け…」
「ゴホンっ!!今日はこの位にしてあげるわ!!」
ナディアはカツカツとヒールを鳴らし応接室を出て行った。
残された俺達は痺れた足に悶絶したのだった。
「かなり堪えてるね、特に足が。」
ソファーに座る三人の前にメイドがお茶を置いた。
「ザイルも悪かった。」
「いや、良いんだ。総帝様と焔帝様を守れなかったのは私の責任だからね。しかし、ナディアさんは凄いね?私の妻よりも怖いよ。」
ハハハハと苦笑いするザイルにウィリアムも申し訳ないと苦笑いを漏らした。
「父さん俺達は一度エデンに帰ります。これ以上母さんに怒られたくありませんし、片付けなければならない事もありますから。理事長…申し訳ないのですが、俺とラファイは退学でお願いします。」
「そうか。」
「分かりました、その様に手続きをしておきます。」
「理事長ありがとうございました。またお世話になりますが、成る可く早く任務を終わらせますから。」
「分かりました、総帝様。」
クロードとラファイはエデンへと戻って行った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる