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人類の存続
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しおりを挟むクロードの居る場所が静かになった頃、ラファイは風帝を光帝と闇帝に任せ土帝と水帝を連れてクロードの元へ向かった。
クロードの元へ駆け付けた三人はその光景に絶句した。
森は抉れ、二体のガイバーオーガは首を落とされた状態で何本もの杭に貫かれていた。
三人はクロードを探す、広い荒野と化した森の端にラウに折り重なる様にして倒れているクロードを発見した。
クロードが力を失えば契約しているラウの力も弱くなってしまう。
ラウとクロードは力尽きた様に倒れていた。
「クロード!!おい!しっかりしろ!!」
うつ伏せに倒れていたクロードを仰向けにしたラファイは息を飲んだ。
クロードの腹は丸くポッカリと穴が開いた様になっており、かなりの血が流れていた。
更にクロードの掌は何かが貫通したように裂けていた。
「クロード!!馬鹿野郎!無理しやがって!!」
「しかし、取り敢えずは総帝様もラウ様も無事で良かったわい。」
「この状態を無事と言うのかしら?兎に角治療が必要ですわ。」
「あぁ、風帝達を迎えに行って急いでエデンへ帰ろう。クソっ、クロードがこれじゃ転移が使えねえからなクロード達には負担になるが土帝頼む。」
「了解じゃ!」
土帝はベット状の岩を三つ作りクロードとラウを寝かせ、風帝を迎えに行き風帝も乗せた。
クロードには水帝と闇帝がつき治癒と移動を同時進行で行った。
風帝には光帝が治癒を続けている。
「駄目です!僕の治癒魔法では…」
「駄目でも何でもやるのよ!!私が水魔法で傷を押さえて止血をするわ、貴方は総帝様に魔力を分けてあげて頂戴!!魔力が減り過ぎてるのよ、治るものも治らないわ!!」
「わ、分からりました!」
「風帝はどうじゃい?!」
「止血は終わりました、今は傷の治癒をしています!」
風帝は大丈夫そうだと土帝は胸を撫で下ろした。
心配なのは総帝様とあれから一言も離さず真っ直ぐ飛び続けているラファイだった。
「土帝、クロードは何を代償にしたんだろうな?」
「儂にも分からんわい。見る限りは何処も変わって居らんが、こればかりはエデンで治療しないと分からんじゃろう。」
生きていると言う事は命に関わる物が
代償では無かったと言う事だ。
少しは安心出来る。
何しろ早くエデンに着かなければ。
帝達はスピードを上げた。
エデンに着くと直ぐにクロードと風帝は医療班に連れて行かれた。
ラファイはクロードの代行で宣言をした。
“私は総帝様の代行の焔帝である。戦いは勝利した。避難は解除だ、転移魔法陣を設置するそこから国や里に帰る様に。総帝様は重症である。しかし、無事だ。以上だ。”
民は戦いの勝利に湧いた。
しかし、帝宮は打って変わってお通夜状態が続いた。
エデンの街もお祭り騒ぎだった、その喧騒にラファイは更にイライラを募らせていた。
クロードは一週間経っても二週間経っても目を覚まさなかった。
風帝は毎日クロードの元を訪れ謝っていた。
涙を流し震える風帝の背中を毎日見ているラファイも責任を感じている一人だった。
光帝は部屋に篭もり古代魔法の文献を読み漁っていた。
クロードの代償について調べていた。
土帝と水帝と闇帝は荒野になってしまった森の再生とガイバーオーガの遺体の処分に忙しく動いていた。
ラファイは帝宮の屋上に来ていた。
ラファイは後ろから近付く気配に語り掛けた。
「クロードは…あそこまで自分を犠牲にする必要があったのか?」
「あの子は優しいからな、この国には俺も妹達もラファイ、お前も居る。あの子が何があっても守りたかった者が沢山居るんだ。」
「それでもだ!!俺はどうすれば良かった?!クロードの傍に残ったとしても俺は死んでただろう!!敵わなかったんだ!!ガイバーオーガに!!あんなのが国を作ってる、俺はどうすれば良い?!俺はこれ以上強くなる方法を知らない!!」
ラファイは涙を流しながら屋上の手すりを殴った。
そんなラファイの背中をウィリアムは優しく撫でた。
「あの子が起きたら沢山文句を言ってやれ。俺が許す、俺だって息子に言ってやりたい事は沢山あるんだ。ナディアなんて凄い勢いだぞ?アリアは毎日泣いているがな。」
ウィリアムは眉を下げた。
ルナとラウはクロードが弱っている事で二人も弱っていた。
ルナもラウもクロードの傍を離れない。
闇帝は夜中にこっそりクロードを見舞っているらしい。
やはり肩を揺らしながら泣いている様だった。
こんなにも皆がクロードを心配している。
「早く目を覚ませよ…じゃねえと文句の一つも言えねえじゃねえかよ…」
ラファイの呟きは青空に溶けた。
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