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人類の存続
2-10
しおりを挟むオズワルド公爵家に着くと応接室に通されミレイユ令嬢が来るまでお茶を飲んだり、ナディアさんの愚痴を聞いたりして過ごした。
「そろそろ来るわよ…」
ナディアはジトーッと応接室の扉を見ていた。
ーコンコン…
「奥様、起こしになられました。」
チャールズが呼びに来た。
「貴方達は少し影から見ていて頂戴。」
そう言ってナディアは出ていった。
帝達は闇帝に姿を隠して貰い覗く事にした。
「御機嫌よう、オズワルド公爵夫人。」
「私は別に御機嫌良く無いのだけどね?」
「まぁ、そんな事言わないで下さいまし。お母様。」
「貴女にお母様と呼ばれる筋合いは無いわよ?」
「クロード様と私が結婚すればお母様ですわよ。所でクロード様のお加減はどうですの?私心配で夜も眠れませんのよ?」
「ホッホッホそのまま睡眠不足で寝込んでしまえば良くなくて?」
「まぁ!お母様ったらお戯れを!」
「お母様って呼ばないで頂戴!!」
「良いではないですかぁ。クロード様は総帝様、公爵令嬢の私に相応しいですわ!総帝夫人ですものぉ!」
ナディアの額にビキビキと青筋が立ち始めた。
「ナディアさん、限界だな?俺達も出るぞ。良いか?お前ら皆顔が良いんだ、絶対に顔を見られるなよ?いつもよりフードを深く被れ。」
ラファイの合図でナディアの後ろに帝達が姿を現す。
一瞬驚いたミレイユだったが、直ぐに笑顔を作った。
「まぁ!帝様方!お初にお目に掛かります。ミハイル公爵家長女、ミレイユですわ。クロード様のお加減は如何ですか?私心配ですの!お願いでございます、お見舞いをさせては頂けませんか?」
上目遣いで帝達を見るが、帝達はミレイユを害虫としか見ていない為何も思わない。
「お前が何故クロード様が総帝様だと知っている?」
ラファイが問うとミレイユはニッコリと笑った。
「あら、未来の総帝夫人が夫の素性を知っていて当然ですわ。」
「えぇー!あんた見たいのが総帝夫人とか僕嫌なんだけど!!」
うんうんと光帝と闇帝が頷く。
「大体さ、あんたクロード様に全然相手にされてないでしょ?だから態々迷惑も考えないで他人の家にお仕掛けてさ。それってクロード様が一番嫌いな人種だよ?」
「まぁ!なんて失礼ですの?!私は公爵家の令嬢ですのよ?」
「僕は帝なんだけど?あんたより遥かに三分は上だよ?そんな事も分からないで総帝夫人とか世迷言笑えないけど?」
「風帝の言う通りだ。お前を拘束する。総帝様の素性を知った者は放っておけないからな。」
「何故ですの!!夫人は知ってらっしゃるではありませんか?!」
「お主は馬鹿者じゃの?クロード様の母君なのだ知っていて当然、他人のお主が知っておるのが問題なんじゃ。」
「他人じゃありますんわ!!私は未来の…」
「お黙り!!害虫!!」
怒声を上げた水帝をうわ~と風帝が見る。
「クロード様に付き纏う害虫駆除を今日はしに参りましたのよ?あなたの事ですわ、公爵令嬢様?」
「なっ!」
「言っておきますわ、小娘。総帝様に嫁ぐ女は先ずは母君のナディア様や妹君のアリア様、それから私達帝に認められなければ決して無理な話しですわよ?貴女なんか問題外ですわ!ただの害虫ですわ。」
分かって?と水帝はミレイユの頬をなぞった。
「ナディアさん、この害虫連れて行っちゃって良いんでしょ?」
「ええ、二度とこのオズワルドに入れない様にして頂戴!忌々しい!!これでアリアも落ち着くわ。」
「分かりました、こちらで預かります。闇帝、アレを頼む。」
「はい!」
「嫌!辞めて!きゃぁあ…」
ブウゥゥンと闇帝の真っ黒な玉にミレイユは拘束された。
「近々クロードの所に行くわ。」
「分かりました。」
帝達はミレイユを連れて消えた。
オズワルド公爵家に平穏が戻った。
ミレイユをエデンの牢獄に入れると闇帝だけ残し他の帝は牢獄から出た。
「じゃあ闇帝頼みましたわよ!」
「誰が総帝様の情報を流したか吐かせるんじゃ!」
闇帝はニッコリ笑った。
皆様は初めて見る闇帝になるだろう。
闇帝の得意とするのは何も闇魔法だけではない。
闇魔法を駆使した拷問は死んだ方がマシと思わせるものだ。
両手を鎖で繋がれたミレイユはガタガタと震え涙を流した。
しかし、闇帝にそんな泣き落としは通じない、何より大好きな総帝様に迷惑をかける害虫だ手加減など無用と闇帝は思っていた。
「さぁ、始めましょうか?君の闇はどれ程深いのかな?楽しみだね?」
闇帝は掌をミレイユの額に近付け始める。
「嫌!来ないで!いやぁぁぁあ!!」
牢獄にはずっとミレイユの叫び声が響いていた。
それは数時間も続き、見張りの近衛も耳を塞ぎたくなる程だったそうだ。
闇帝以外の帝達はまた執務室に向かっていた。
また書類が待っているからだ。
「おい、闇帝に任せて良かったのかよ?一応アレでも公爵家の娘だろ?壊れるぞ?闇帝の拷問もえげつねえぞ?」
「あら、その方が好都合じゃなくて?寧ろ壊れてクロード様の事など忘れてしまえば良いのですよ。」
「まぁ、持って数時間じゃろな?それまでに闇帝が全て吐かせるじゃろ。今頃イキイキと相手の闇を引き出しとるじゃろうて。儂らは一先ず書類じゃのぅ。」
ガックリしながらも執務室に向かった。
執務室の扉を開けると帝達は固まった。
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※次ページ挿絵あります。
お気を付け下さい。
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