うちの総帝様は最強なのだが如何せん天然で…

凪 冬夜

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人類の存続

2-27

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この頃変わった事がある。
帝会議が何故か俺の執務室で行われる様になったのだ。
楓は甲斐甲斐しく帝達にお茶を淹れる。
受け取る土帝なんて鼻の下が伸びている…モヤモヤする。
立派な会議室は今では未だ王族から来る抗議文で埋まっている始末だ…解せぬ。

「何故会議室を使わないのですか?」

「あらクロード様、楓が可哀想ではありませんか?ここで一人で待っているなんて。」
と水帝。

「儂は楓ちゃんが淹れてくれる茶が飲みたいんじゃ。」
と土帝。

「僕は面白いからァ!クロード様の嫉妬した姿が良いよねー!」
と風帝。

「俺は誰も此処から動かねえから居るんだよ。」
と焔帝ラファイ。

「わ、私はその楓ちゃんが寂しいかなと思って。」
と光帝。

「僕も焔帝と同じです。」
と闇帝。

「クロード、私は皆と居られてとても楽しいわ。会議の邪魔はしないから、ねっ?」
楓にまでそう言われたらクロードは反対出来ない。
これも惚れた弱みである。

「仕方ありませんね…」

「クロード様は本当に楓ちゃんには弱いのぅ?」

「それを貴方が言いますか?」

「あらぁ、だって本当に弱いのですもの。楓はもしかしたらこの世界である意味一番強いですわよ、あの総帝様が勝てないのですもの。」
皆笑った。
否定出来ない自分も情けないが、皆が明るく笑っているので良しとする。
これも楓のお陰だ。
問題が山積みの中楓が居るから皆笑っていられるのだから。

「うちの嫁は出来た嫁ですね?」

「何?クロード。」

「何でも無いですよ?では会議を始めましょうか?問題は沢山ありますからね。」
和やかな空気の中会議が始まった。
楓が始まると楓は窓際のソファーに座って読書を始める。
これは楓の為にクロードが買ったものだ。

「先ずはクロウの動くからじゃのぅ?闇帝はどうじゃった?」

「はい、あそこには僕の影を置いて来てあります。確かに怪しい動きがありました。恐らく鍛治職人だろうガイバーオーガが何かを作り始めました。形から武器では無いようです。恐らく防具の類だと思いますが、確定ではありません。」

「防具にしろ武器にしろ使うから作っているのでしょう?警戒するにしてもガイバーオーガが来てしまえば戦うしか無いのですもの、手の打ちようがありませわ。」

「ガイバーオーガはヤバいよ!皆は直接食らって無いから知らないと思うけどあの張り手はヤバい!物凄い厚い壁に殴られた感じ!」

「サッサと突っ込んで吹っ飛ばされた奴が良く言うわい。」

「酷いなぁ、ガライルだって手も足も出なかったじゃないか!」

「私の治癒魔法でもフールさんの止血にかなり時間が掛かりました。光魔法なのに…」

「確かに光魔法は治癒に特化しているけど、あの状態だったんだもの仕方ありませわ。」

「いいえ、あれではクロード様に何かあった時助けられません!」
光帝は膝の上で拳を握り締めた。

「俺は自分で治癒出来るので何とかなります。前回も戦いながら治癒を行わなかったら俺は死んでました。」
楓はそれを聞いて本から顔を上げた。
しかし、邪魔をしないように顔は本に戻した。

「何か弱点はねえのかよ?それが分かれば何とかなるかもしれねえだろ?」

「うーん、残念ながら前回の戦いで分かった事はガイバーオーガは強いし打たれ強いとしか分かりませんでしたね。」

「三体倒したクロードがこれだもんな…何とか弱点を知る方法はねえか?」

「クロード様、古代魔法の煉獄の扉は一度に幾つまで可能じゃ?儂が思うにアレが一番有効じゃ。」
確かに扉さえ開けばそこに押し倒せさえすれば良い。

「実際戦闘であの魔法を発動させたのは初めてなんですよ。幾つと言われたらやってみないと分かりませんね?今度試してみましょう。」

「断罪人は絶対ダメですよ?!」

「分かってますよマキナ、アレはもう使いません。俺には楓がいますから死ぬ訳にはいかないんですよ。」
耳をすませていた楓の耳に嫌に断罪人と言う言葉が残った。
その夜、クロードと共にベットに入った楓は聞いてみた。

「ねぇ、クロード?断罪人って何?」

「聞いていたんですね?」

「ごめんなさい…」

「良いんですよ、同じ部屋に居るのですから聞くなと言う方が無理です。断罪人は禁術古代魔法です。」

「古代魔法?」

「そうです。膨大な魔力を使うので今は使えるのは俺だけでしょう。断罪人は名の通りです。断罪人と血で契約を結び敵を倒して貰います。断罪人と契約すれば確実に敵を倒せます。ただ…」

「ただ?」
クロードは楓を抱き寄せた。

「断罪人との契約完了後に代償を払わなければならないのです。前回の戦いで俺は肝臓を半分持って行かれました。」

「えっ?」

「あの時は必死で、それに俺には国を守る義務がありましたから。それに楓も居ませんでした。死にたくない理由が出来てしまいましたからもう断罪人は使いません。」

「そうして、クロードが居なくなるなんて考えたくないわ。」

「約束しますよ。さぁ寝ましょう。」

「うん、おやすみなさいクロード。」

「おやすみ、楓。」
クロードは直ぐに眠ってしまった。
不安が拭えない楓は眠れない夜を過ごした。
クロードは私だけじゃなくこの世界の全てを背負ってる。
クロードの事だ、実際に戦いになれば無理をするに決まってる。
楓は戦いが起こらない事を祈った。


______________________________________

少々挿絵が多くなって参りました。
皆さんの中のキャラを壊していないか少し不安にはなって来ましたが、作者のノリ次第でまだ挿絵は増えると思われます。
それでもこの作品これからも宜しくお願いします!
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