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王族と帝と民と…
4-3
しおりを挟む作戦その1、先行ラファイ。
「マジでこれで行くのかよ!!」
「えぇ、とても似合っておりますわよ?」
リナリアに帯を直され、機嫌の悪いラファイは執事に変装しています。
元はと言え、一国の王子だったラファイを使うのかって?
それは、使えるものは使うのです。
「いい!しっかり王女の目的を聞き出して来るのよ!!」
ルナから激励され項垂れるラファイ。
しかし、ここは頑張って貰いましょう。
最近退屈していましたし、いいでしょう。
「ラファイ、行ってらっしゃい?」
ニッコリと手を振るとラファイに睨まれてしまいました。
「クロード覚えてろよ?」
もう忘れました。
ラファイは何気ない振りをして廊下を歩く。
その様子をクロードの執務室でルナが作った水鏡で皆で鑑賞です。
「ちょっと、そこの貴方?」
「はい、如何なさいました?」
ラファイは完璧に執事を演じていた。
「顔をお上げなさい。聞きたい事がありますの。」
「はい、何でございましょう?」
ラファイが顔を上げると王女はポッと頬を赤く染めた。
「あら、貴方いい男…ゴホン!!帝様達はどちらにおいでになりますの?」
「申し訳ございません。帝様達の事は一介の執事や使用人は存じ上げておりません。どの様なご用向きで?」
「貴方執事なの?うちの城に来ない??」
ニッコリ笑っていたラファイの眉がピクリと動いた。
「申し訳ございません。私は帝様方に忠誠を立てております。」
この王女、帝宮の執事を引き抜くだと?
「あら、良いじゃない?ここの執事してても帝様達に会えないんでしょ?だったら私の元に来なさい。」
ツーと顎を撫でられラファイは鳥肌が立った。
「いいえ、私は…」
「王女である私の命令が聞けないの?!」
ーブッチィィィイ!!
凄い音が聞こえてきた気がした。
そのままラファイは頭を下げたまま動かなくなってしまった。
「不味いです!ガライルはラファイを回収!!撤退です!!」
水鏡で見ていたクロードが慌てて指示を出した。
ガライルは速やかにラファイを回収し、執務室に戻った。
「悪ぃ…助かった。」
戻ったラファイはへにゃっと床に座り込んだ。
相当神経を使ったらしい。
「あそこで良く耐えましたわ!」
すかさずリナリアのフォローが入った。
「確かに、私なら吹っ飛ばしてますね?」
ケロと言うクロードにラファイは我慢しなければ良かったと思った。
「結局王女の目的分からなかったじゃない。」
「フール!何を見てたのよ!!目的なんか一目瞭然じゃない!!」
とルナがキレた。
「え?ルナ様あれで分かったの?」
キョトンとするフールにルナは脱力した。
この帝達は変な所鋭いのに、この手の話はかなり鈍い事にルナは頭痛がした。
如何せん帝達は顔がいい為基準がかなりズレている。
普通の基準が自分達なのだ。
「作戦その2に移りましょう。」
「え?クロード様まだやるの?」
フールがげんなりしながら言うとクロードからとても良い笑顔が返ってきた。
「うっ!眩しい!!」
「なんだか楽しくなって来てしまいました。」
こうしてまだ作戦は続く。
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