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プロローグ1
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私が「彼ら」と暮らし始めたのは、高校に入学してから一ヶ月と少しが経ってからのことだった。
「……えーっと、ここの通りを曲がって真っ直ぐ、で合ってるよね」
勾配の急な坂道。頭上には昼時の白い太陽。旅行鞄の肩紐をぎゅっと握って、私は何度も周囲を見回した。
今まで住んでいたところと同じ市とはいえ、広い町のなかで知っているのはごく一部。すこし離れるとまるで土地勘がなくなってしまう。
家を出てから道に迷うこと数回。地図アプリを確認し、スマホを右や左に傾けながら歩くこと三十分。やっと辿りついたのは大きな家が建ち並ぶ山側の高級住宅地で、気後れする気持ちを誤魔化すために何度も指で整えた前髪は、今や変な癖がついていた。
私がなぜこの場所を歩いているかというと、今日からこの辺りに住む「知り合い」のお家にお世話になるからだった。といっても、私の知り合いじゃない。私を本当の孫みたいに可愛がってくれていた、隣のおばあちゃんの知り合い。
突然お父さんとお母さんの海外赴任が決まって、せっかく頑張って合格した学校に通えなくなると嘆いていたら、近くに知り合いの家があるからそこに住めばいいとすすめられた。
ちょっと不便な立地だけど、みんな親切だから。本当は自分が面倒を見てあげたいけど、娘に一緒に暮らそうと誘われているからと。両親も納得して、諸々の手続きも滞りなく終わった。
――そして、今日が新生活の初日ということになる。
(とんとん拍子に進んだけど、なんだか不思議な話だな)
今日に至るまでの経緯を思い出すと、大量の疑問符が泡のように湧きあがる。
そう、不思議だった。おばあちゃんのことは大好きだったけど、なぜ顔も知らない人の家に住むことを決めたのか。なぜそれを両親が許したのか。実際に住み始める今日に至るまで、なぜ一度も相手の顔を見ていないのか。
普通なら有りえないはずの不自然なやり取りは、けれど、考えれば考えるほど焦点がぼやけるのが常だった。不思議ではあるけど『これでいい』ような気がする。おばあちゃんが私のためにならない提案をするはずがないし、お父さんお母さんだって賛成している。
誰も困っていない。
だから大丈夫。
疑問に思わなくていい。
……今、思考を固定されたような気がするけど『別に問題はない』よね。うん。
急に散漫になった意識をとりとめのないまま拾いながら細い通りを曲がる頃には、頭のなかにあった疑問はすっかり消えていた。
代わりに関心を引いたのは鼻先をかすめた青く柔らかい匂い。やがて数歩も進まないうちに、大輪のバラが視界に飛びこんでくる。
「……わあ」
鮮やかな色彩に、目を奪われる。
それは、周囲のどこか威圧感を与える立派なお屋敷とは異質の、絵本の世界に迷い込んだような家だった。
入り口のアーチに絡みつく、白と黄色のつるバラ。辺りを見回せば赤やピンクや紫色の名前のわからない花々がたくさん咲き誇っていて、植物に詳しくない私でも、よく手入れされた庭であることが伝わってくる。
菱形の石畳の向こうに建つのは、太陽を受けてきらきら輝くレンガ造りのお屋敷。つんと尖った三角錐の屋根には目印として教えられていた風見鶏をコウモリにしたような飾りがついていて、ここがおばあちゃんの言っていた「知り合い」の家なのだと理解した。
「素敵なお家だな……」
一体どんな人がこんな綺麗な庭を作っているんだろう。上品で優しそうなおばあさんか、それとも、しっかりしてて働き者!っていう感じのおばさんかな。どんな人にせよ、おばあちゃんの紹介だしきっといい人のはず。
こんな広いお屋敷だし一人で暮らしているとは考えにくいけど、せっかくお世話になるのだから、何か私に手伝えることがあればいいな。家事は好きだし、力仕事だって少しなら。庭のこととかも、教えてもらえれば――
「我が館に何か御用ですか?」
ふわふわと想像を膨らませていると突然背後から話しかけられて、あやうく悲鳴を上げるところだった。跳ね上がった心臓が、どくどく騒いで動揺を伝える。肩から滑り落ちそうになった鞄を胸に抱いて慌てて振り返ると、立っていたのは。
いたのは。
「……」
目を丸くして、ぽかんとする私。
頭のなかで思い浮かべていた風景がすべて吹き飛んで、思考が真っ白になる。それくらいの衝撃だった。
陽射しに透けるくせのない銀の髪と、庭に咲く花のような深い紫の瞳。血色を感じさせない白い肌を、清潔な白いシャツとわずかに光沢のある黒いボトムスが包んでいる。
立っていたのは若い男の人だった。
怖いほど整った容姿の。
「……え、っと、あの」
花に囲まれた邸宅と、人間離れした綺麗な男の人。あまりの非日常感にフリーズしていた私は、けれど数秒してようやく正気を取り戻した。
「あっ、す、すみません! 私、茅原と申します。おばあちゃ……し、東雲さんにこちらでお世話になるよう紹介されまして……」
ペコペコ頭を下げてなんとか自己紹介すると、男の人は柔らかく微笑む。
「ああ、茅原律香さんですね。お目にかかれて光栄です。私はヤケイと申します。以後お見知りおきを」
耳慣れない響きの名前を口にして、恭しく握手をするヤケイさん。そっと重なった手は体温を感じさせないひんやりした触れ心地で少し驚いたけど、反応を返す前にするりと離れていった。
(……なんだかすごい人だ)
それが、正直な第一印象。
おとぎ話の王子様というか、どこかの国の貴族というか。とにかく浮世離れしているし、存在に現実味がない。一体どういう経緯でこの町に住むことになったんだろう。
(というか、男の人、だけど)
想定外の事態に、また疑問符が顔を出す。
いいんだろうか。知らない男の人の家でお世話になるなんて。別にヤケイさんを疑っているわけではないけれど、さすがにもう少しお互いのことを知ってから決めた方が――
――と、思ったけれど。
吸い込まれそうな眼差しを見ていると、そんなことは『大した問題ではない』気がしてくる。『この人は信用できる』人で『一緒に暮らすのが正しい』と『お父さんお母さんも言っている』から。だから。
(――言われた通りにしないと)
「律香さん、中をご案内いたしますのでこちらへどうぞ」
……前に立って歩き出したヤケイさんに呼びかけられて、私はあわてて後を追った。さっきまで何か考えていたはずだけど、何だっけ?
まあいいかと首を振って石畳を渡ると、分厚い両開きの扉の前に辿り着く。細工の彫り込まれた黒く艶のある木製扉の上部には、逆さまのコウモリ(好きなのかな)のドアノッカー。重厚な雰囲気に思わず背すじをピンとさせると、鉄製の古びた鍵を手にしたヤケイさんが笑った。
「そんなに緊張なさらなくとも大丈夫ですよ。今日からここで暮らすのですから」
楽になさってください。
言い含めるような言葉とともにギィ、と軋んだ音が上がる。おそるおそる中を覗き込むと、大きなステンドグラスの窓から差し込む光が床を照らすのが見えた。
「……えーっと、ここの通りを曲がって真っ直ぐ、で合ってるよね」
勾配の急な坂道。頭上には昼時の白い太陽。旅行鞄の肩紐をぎゅっと握って、私は何度も周囲を見回した。
今まで住んでいたところと同じ市とはいえ、広い町のなかで知っているのはごく一部。すこし離れるとまるで土地勘がなくなってしまう。
家を出てから道に迷うこと数回。地図アプリを確認し、スマホを右や左に傾けながら歩くこと三十分。やっと辿りついたのは大きな家が建ち並ぶ山側の高級住宅地で、気後れする気持ちを誤魔化すために何度も指で整えた前髪は、今や変な癖がついていた。
私がなぜこの場所を歩いているかというと、今日からこの辺りに住む「知り合い」のお家にお世話になるからだった。といっても、私の知り合いじゃない。私を本当の孫みたいに可愛がってくれていた、隣のおばあちゃんの知り合い。
突然お父さんとお母さんの海外赴任が決まって、せっかく頑張って合格した学校に通えなくなると嘆いていたら、近くに知り合いの家があるからそこに住めばいいとすすめられた。
ちょっと不便な立地だけど、みんな親切だから。本当は自分が面倒を見てあげたいけど、娘に一緒に暮らそうと誘われているからと。両親も納得して、諸々の手続きも滞りなく終わった。
――そして、今日が新生活の初日ということになる。
(とんとん拍子に進んだけど、なんだか不思議な話だな)
今日に至るまでの経緯を思い出すと、大量の疑問符が泡のように湧きあがる。
そう、不思議だった。おばあちゃんのことは大好きだったけど、なぜ顔も知らない人の家に住むことを決めたのか。なぜそれを両親が許したのか。実際に住み始める今日に至るまで、なぜ一度も相手の顔を見ていないのか。
普通なら有りえないはずの不自然なやり取りは、けれど、考えれば考えるほど焦点がぼやけるのが常だった。不思議ではあるけど『これでいい』ような気がする。おばあちゃんが私のためにならない提案をするはずがないし、お父さんお母さんだって賛成している。
誰も困っていない。
だから大丈夫。
疑問に思わなくていい。
……今、思考を固定されたような気がするけど『別に問題はない』よね。うん。
急に散漫になった意識をとりとめのないまま拾いながら細い通りを曲がる頃には、頭のなかにあった疑問はすっかり消えていた。
代わりに関心を引いたのは鼻先をかすめた青く柔らかい匂い。やがて数歩も進まないうちに、大輪のバラが視界に飛びこんでくる。
「……わあ」
鮮やかな色彩に、目を奪われる。
それは、周囲のどこか威圧感を与える立派なお屋敷とは異質の、絵本の世界に迷い込んだような家だった。
入り口のアーチに絡みつく、白と黄色のつるバラ。辺りを見回せば赤やピンクや紫色の名前のわからない花々がたくさん咲き誇っていて、植物に詳しくない私でも、よく手入れされた庭であることが伝わってくる。
菱形の石畳の向こうに建つのは、太陽を受けてきらきら輝くレンガ造りのお屋敷。つんと尖った三角錐の屋根には目印として教えられていた風見鶏をコウモリにしたような飾りがついていて、ここがおばあちゃんの言っていた「知り合い」の家なのだと理解した。
「素敵なお家だな……」
一体どんな人がこんな綺麗な庭を作っているんだろう。上品で優しそうなおばあさんか、それとも、しっかりしてて働き者!っていう感じのおばさんかな。どんな人にせよ、おばあちゃんの紹介だしきっといい人のはず。
こんな広いお屋敷だし一人で暮らしているとは考えにくいけど、せっかくお世話になるのだから、何か私に手伝えることがあればいいな。家事は好きだし、力仕事だって少しなら。庭のこととかも、教えてもらえれば――
「我が館に何か御用ですか?」
ふわふわと想像を膨らませていると突然背後から話しかけられて、あやうく悲鳴を上げるところだった。跳ね上がった心臓が、どくどく騒いで動揺を伝える。肩から滑り落ちそうになった鞄を胸に抱いて慌てて振り返ると、立っていたのは。
いたのは。
「……」
目を丸くして、ぽかんとする私。
頭のなかで思い浮かべていた風景がすべて吹き飛んで、思考が真っ白になる。それくらいの衝撃だった。
陽射しに透けるくせのない銀の髪と、庭に咲く花のような深い紫の瞳。血色を感じさせない白い肌を、清潔な白いシャツとわずかに光沢のある黒いボトムスが包んでいる。
立っていたのは若い男の人だった。
怖いほど整った容姿の。
「……え、っと、あの」
花に囲まれた邸宅と、人間離れした綺麗な男の人。あまりの非日常感にフリーズしていた私は、けれど数秒してようやく正気を取り戻した。
「あっ、す、すみません! 私、茅原と申します。おばあちゃ……し、東雲さんにこちらでお世話になるよう紹介されまして……」
ペコペコ頭を下げてなんとか自己紹介すると、男の人は柔らかく微笑む。
「ああ、茅原律香さんですね。お目にかかれて光栄です。私はヤケイと申します。以後お見知りおきを」
耳慣れない響きの名前を口にして、恭しく握手をするヤケイさん。そっと重なった手は体温を感じさせないひんやりした触れ心地で少し驚いたけど、反応を返す前にするりと離れていった。
(……なんだかすごい人だ)
それが、正直な第一印象。
おとぎ話の王子様というか、どこかの国の貴族というか。とにかく浮世離れしているし、存在に現実味がない。一体どういう経緯でこの町に住むことになったんだろう。
(というか、男の人、だけど)
想定外の事態に、また疑問符が顔を出す。
いいんだろうか。知らない男の人の家でお世話になるなんて。別にヤケイさんを疑っているわけではないけれど、さすがにもう少しお互いのことを知ってから決めた方が――
――と、思ったけれど。
吸い込まれそうな眼差しを見ていると、そんなことは『大した問題ではない』気がしてくる。『この人は信用できる』人で『一緒に暮らすのが正しい』と『お父さんお母さんも言っている』から。だから。
(――言われた通りにしないと)
「律香さん、中をご案内いたしますのでこちらへどうぞ」
……前に立って歩き出したヤケイさんに呼びかけられて、私はあわてて後を追った。さっきまで何か考えていたはずだけど、何だっけ?
まあいいかと首を振って石畳を渡ると、分厚い両開きの扉の前に辿り着く。細工の彫り込まれた黒く艶のある木製扉の上部には、逆さまのコウモリ(好きなのかな)のドアノッカー。重厚な雰囲気に思わず背すじをピンとさせると、鉄製の古びた鍵を手にしたヤケイさんが笑った。
「そんなに緊張なさらなくとも大丈夫ですよ。今日からここで暮らすのですから」
楽になさってください。
言い含めるような言葉とともにギィ、と軋んだ音が上がる。おそるおそる中を覗き込むと、大きなステンドグラスの窓から差し込む光が床を照らすのが見えた。
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