24 / 50
罠
しおりを挟む
あんなに騒ぎを起こしたと言うのに、あの時誰一人として過度な反応を起こさなかった。
ということは……。
「嵌めたな」
俺は、キリッと鋭い視線をギルドマスターにむける。
だが、帰ってくるのはニヤニヤとした顔。
「なんの事かなぁ」
「あの冒険者は、アンタの差し金だな」
「証拠は? 」
「アイツらをとっ捕まえて、魔法で自白させようか? 」
「そんな事したら、国に捕まるよ? 王家が定めた法に背くからね」
「生憎だが、俺は既に背いてる。今更だ」
――くふふっ、ははっあっはははは!
ギルドマスターが、腹を抱えて笑い出す。
「何がおかしい」
「いやー、力も強いのに頭も回るのかと思って……」
それの、どこが可笑しいのだろうか。俺にはさっぱりわからないが、この男からすれば何かが面白いのだろう。
「それで、どうする? 」
「えぇ、何が? 僕の仕業だろうがなんだろうが、事実は事実。僕がひと声かければ全国のギルドは君を拒絶する」
「くっ……」
卑怯だ。
確かに、あの男達に手を出したのはこちらだ。その''事実''だけを全国に広められては、冒険者としての活動はほぼ不可能だろう。
つまり、今回はこちらが手を出した時点で全て負けという事だ。
俺は、大きくため息をついた。
「今回は、こちらの負けのようです。そんな事をされては生活できませんからね」
この世界の事を知らない俺達では、力に頼った稼ぎ方しかないのは明白。
「そうか、引き受けてくれるのかぁ! 」
よろしくねと差し出された手を、俺は渋々握り返した。
なんか、すごく不服である。
ということは……。
「嵌めたな」
俺は、キリッと鋭い視線をギルドマスターにむける。
だが、帰ってくるのはニヤニヤとした顔。
「なんの事かなぁ」
「あの冒険者は、アンタの差し金だな」
「証拠は? 」
「アイツらをとっ捕まえて、魔法で自白させようか? 」
「そんな事したら、国に捕まるよ? 王家が定めた法に背くからね」
「生憎だが、俺は既に背いてる。今更だ」
――くふふっ、ははっあっはははは!
ギルドマスターが、腹を抱えて笑い出す。
「何がおかしい」
「いやー、力も強いのに頭も回るのかと思って……」
それの、どこが可笑しいのだろうか。俺にはさっぱりわからないが、この男からすれば何かが面白いのだろう。
「それで、どうする? 」
「えぇ、何が? 僕の仕業だろうがなんだろうが、事実は事実。僕がひと声かければ全国のギルドは君を拒絶する」
「くっ……」
卑怯だ。
確かに、あの男達に手を出したのはこちらだ。その''事実''だけを全国に広められては、冒険者としての活動はほぼ不可能だろう。
つまり、今回はこちらが手を出した時点で全て負けという事だ。
俺は、大きくため息をついた。
「今回は、こちらの負けのようです。そんな事をされては生活できませんからね」
この世界の事を知らない俺達では、力に頼った稼ぎ方しかないのは明白。
「そうか、引き受けてくれるのかぁ! 」
よろしくねと差し出された手を、俺は渋々握り返した。
なんか、すごく不服である。
2
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活
仙道
ファンタジー
ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。
彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる