絶対神の異世界チートハーレム無双！？

失踪3

そんな最中、活気溢れる露店街には不釣り合いな険しい表情を浮かべているゼロは、賑わう人々にぶつからないように''夕焼けの陽''のギルドに向かって走る。

途中、何度か人にぶつかったが、謝罪を口にしないがためか、何度か嫌な顔をされた事をゼロは気づいていた。
だが、本来人にぶつかった程度で謝罪する立場では無いのだ、ほとんど気にする素振りは見せない。
社交辞令であれば、意識すれば可能なのだが、意識しなければこうだ。
まだ彼が、人間界に適応仕切っていない証拠だろう。


ーーバタン！


宿を出てから数分、''夕焼けの陽''に着いたゼロは勢いよくギルドの扉を開ける。
ちょうど昼時で、''夕焼けの陽''程度の大規模ギルドを使用するレベルの冒険者はほとんど出払っている。
チラホラと、まだ若い冒険者の姿が目に入るが、それも本当に数人程度だ。

「あら、あなたは確か……」

ギルドの受付嬢は昨日の騒ぎでゼロの顔を覚えていたのか、はたまたギルドマスターから言い聞かされていたのかは分からぬが、カウンターから出てくるとゼロの方に向かって歩き出す。

「何か用か？ 」

ゼロの前に立ったものの、何も話さず見つめ続ける受付嬢にゼロは訊ねる。

「貴方……ゼロね？ 」
「そうだが？ 」

ゼロが肯定すると、ゼロより幾分か背の低い彼女は背伸びをしゼロの耳元に顔を近ずけると囁くように、風に流れて消えていきそうな小さな声でいう。

「ルーシェ君はこの地下よ」
「それは本当か！ 」

つい、大きな声ーーと言っても叫ぶような声ではなく、人がいないが故に響いて大きく聞こえたのだがーーで反応してしまう。

「ちょ、静かにしてよ！ 」

受付嬢は口に人差し指をあてる。

「バレたら私もやばいんだから」
「済まない。それで、どうやって行けばいい？ 」
「このギルドの裏手に地下へと繋がる鉄の扉があるわ……そこから入りなさい。鍵はないから自力でどうにかして。あんたなら行けるでしょ」
「有難い、助かる。」

ゼロは礼を告げると足早にギルドをあとにした。