120 / 136
領地運営と戦争準備⑰
しおりを挟む
アルトの剣は、度々異質な軌道を描く。空中を空振るはずの剣が、甲高い金属音を立てて弾かれる。
やはりそうか。あいつの能力をずっとワープだと錯覚していたが、実は消す能力だったのだ。正確に言えば、対象の気配や見た目や魔力などを全て隠す。ただそれだけの能力だったんだ。
剣が飛ぶ仕組みは簡単。魔法にその能力を付与して、短剣を魔法土飛ばしていた。普通の魔法にこれを付与しても良いはずなのだが、何が制限があるのだろう。
俺は、キウンに念話を送る。
<あいつの能力が多方わかった。恐らく、物を消す能力だ。気配、見た目、魔力。その全てを消す>
<天使特有の能力ですか。5英傑にしては弱い気もするが、主よ、本当にそれだけか? >
<分からない、でも、あいつの様子からしてこれ以上は見込めないだろう。だから、隙を見てあいつを殺してくれ。俺には、無理だからな>
<主……。了解した、我の判断であいつを殺す>
俺はおそらく、あいつを剣で切れない。魔人と言われるものも切れなかったのだから、恐らく堕天使も無理だろう。だが、あの魔法を使って無理に切る事も無い。
正直、Zランクの魔法で一気に方をつけてもいいのだが、1度Zランクの魔法を使ったのと、この後の後処理を考えても使える回数は多い方がいい。
あいつを倒した後、魔物の発生源を潰すのに恐らくかなりの魔力がいるだろう。
俺は、飛び交う剣を捌きながら、キウンが隙を見つけられるように防戦に徹する。
「あらぁ。貴方、私の力に気づいたのかしら? 全く通じなくなってるわ」
「ああ、薄々と感づいていたよ。だから、もう効かない」
「それはどうかしら! 」
突然、腹部に痛みと衝撃が走る。
突然の予期せぬ出来事に、またもや膝をついて血を吐いた。
「ふふっ、膝をついたわね」
「どういう、ことだ……」
キウンを纏っていたから、外部からの攻撃は絶対に通らないだろう。スーリヤやネメスと同格のキウンが源の防具だ、堕天使如きが貫通させられるわけがない。
そんな事を思考しながら、腹に突き刺さった短剣をゆっくりと抜き、治癒魔法をかける。
「大地を司る地母神よ、世界の恵みを我に――大地の癒し」
傷は塞がり、血は戻る。普通の回復魔法と違うのは、魔力が必要な割に治癒力は低いが、血も元に戻すという事だ。この体で血を流しすぎた俺にとっては、とても心強い魔法。
だが、少し魔力をつかいすぎた……。
「今のは、なんだ……」
「ふっふ、貴方は気づいたみたいだから教えてあげる。私の消す能力で空間魔法のワープを消して、貴方の鎧の内側にワープさせたのよ。まあ、あまり大きなものは出来ないけれどね」
笑いながら言う彼女。
俺は、色々と腑に落ちた。ただ気配や魔力を消すだけの魔法で、それも大きなものは出来ない。つまり、大規模な魔法や派手な魔法には使えないと言うこと。ならば地味な魔法を消すよりも、短剣を飛ばした方が強いという訳だ。
それに、彼女が元々持っていた空間魔法の魔法適正。ワープは初期魔法であり、規模の小さな魔法である。
――やられた。まさか、空間魔法の適性者であるとは思いもしなかった。
「極大魔法に大地の癒しこれだけ魔力を使えばもう空っぽでしょ。体力も少ないはずよ……。ふふっ……これで、終わりよ! 」
先程と同じように、短剣を飛ばしてくる。恐らく、どこかのタイミングでまた鎧の中に短剣をワープさせるだろう。そうなれば、死にはしないがとても厄介だ。
少し反撃して、相手にワープを使わせる暇を与えない程度で回避して隙を伺っていると、どういう訳か頭にステータスが過ぎった。
――スキル:威圧(神)
スキルは、人が授かるものは軽度なものがほとんどで、その全てに副作用は確認されていない。強いものでも、軽度の魔力消費程度だ。だが、強力なスキルを持てば持つほど、人は副作用が発生する。龍種などにはそれは無いが、人である俺にはそれがあるため使用は控えてきたが……。
威圧のスキルは、簡単に言えば相手をひるませる能力だ。恐怖を与え、圧迫させ、戦意を、精神を殺す。
基本的にこのスキルは魔物しか保持しておらず人が持っている事は無いのだが、俺は神の力を真似した為保持している。
これは、魔物で言うところの魔素――魔力の元を直接ぶつけて与えるものであり、魔物が体内に当然に持っている物質であるため副作用はなく発動できる。
だが、俺が発動するにはまず魔素を作らなければならない。それを行うのが創生だ。
神体であれば魔素を操ることは容易であるし、体内には無限に蓄えてあるが、俺が無限なのは魔力だけ。
そして、創生の副作用は脳の処理が過多になる故の頭痛。
でもまあ、魔素程度の魔力の源と言える物の作成であれば、さほど副作用も強くは無いだろう。
「スキル発動! 創成」
やはりそうか。あいつの能力をずっとワープだと錯覚していたが、実は消す能力だったのだ。正確に言えば、対象の気配や見た目や魔力などを全て隠す。ただそれだけの能力だったんだ。
剣が飛ぶ仕組みは簡単。魔法にその能力を付与して、短剣を魔法土飛ばしていた。普通の魔法にこれを付与しても良いはずなのだが、何が制限があるのだろう。
俺は、キウンに念話を送る。
<あいつの能力が多方わかった。恐らく、物を消す能力だ。気配、見た目、魔力。その全てを消す>
<天使特有の能力ですか。5英傑にしては弱い気もするが、主よ、本当にそれだけか? >
<分からない、でも、あいつの様子からしてこれ以上は見込めないだろう。だから、隙を見てあいつを殺してくれ。俺には、無理だからな>
<主……。了解した、我の判断であいつを殺す>
俺はおそらく、あいつを剣で切れない。魔人と言われるものも切れなかったのだから、恐らく堕天使も無理だろう。だが、あの魔法を使って無理に切る事も無い。
正直、Zランクの魔法で一気に方をつけてもいいのだが、1度Zランクの魔法を使ったのと、この後の後処理を考えても使える回数は多い方がいい。
あいつを倒した後、魔物の発生源を潰すのに恐らくかなりの魔力がいるだろう。
俺は、飛び交う剣を捌きながら、キウンが隙を見つけられるように防戦に徹する。
「あらぁ。貴方、私の力に気づいたのかしら? 全く通じなくなってるわ」
「ああ、薄々と感づいていたよ。だから、もう効かない」
「それはどうかしら! 」
突然、腹部に痛みと衝撃が走る。
突然の予期せぬ出来事に、またもや膝をついて血を吐いた。
「ふふっ、膝をついたわね」
「どういう、ことだ……」
キウンを纏っていたから、外部からの攻撃は絶対に通らないだろう。スーリヤやネメスと同格のキウンが源の防具だ、堕天使如きが貫通させられるわけがない。
そんな事を思考しながら、腹に突き刺さった短剣をゆっくりと抜き、治癒魔法をかける。
「大地を司る地母神よ、世界の恵みを我に――大地の癒し」
傷は塞がり、血は戻る。普通の回復魔法と違うのは、魔力が必要な割に治癒力は低いが、血も元に戻すという事だ。この体で血を流しすぎた俺にとっては、とても心強い魔法。
だが、少し魔力をつかいすぎた……。
「今のは、なんだ……」
「ふっふ、貴方は気づいたみたいだから教えてあげる。私の消す能力で空間魔法のワープを消して、貴方の鎧の内側にワープさせたのよ。まあ、あまり大きなものは出来ないけれどね」
笑いながら言う彼女。
俺は、色々と腑に落ちた。ただ気配や魔力を消すだけの魔法で、それも大きなものは出来ない。つまり、大規模な魔法や派手な魔法には使えないと言うこと。ならば地味な魔法を消すよりも、短剣を飛ばした方が強いという訳だ。
それに、彼女が元々持っていた空間魔法の魔法適正。ワープは初期魔法であり、規模の小さな魔法である。
――やられた。まさか、空間魔法の適性者であるとは思いもしなかった。
「極大魔法に大地の癒しこれだけ魔力を使えばもう空っぽでしょ。体力も少ないはずよ……。ふふっ……これで、終わりよ! 」
先程と同じように、短剣を飛ばしてくる。恐らく、どこかのタイミングでまた鎧の中に短剣をワープさせるだろう。そうなれば、死にはしないがとても厄介だ。
少し反撃して、相手にワープを使わせる暇を与えない程度で回避して隙を伺っていると、どういう訳か頭にステータスが過ぎった。
――スキル:威圧(神)
スキルは、人が授かるものは軽度なものがほとんどで、その全てに副作用は確認されていない。強いものでも、軽度の魔力消費程度だ。だが、強力なスキルを持てば持つほど、人は副作用が発生する。龍種などにはそれは無いが、人である俺にはそれがあるため使用は控えてきたが……。
威圧のスキルは、簡単に言えば相手をひるませる能力だ。恐怖を与え、圧迫させ、戦意を、精神を殺す。
基本的にこのスキルは魔物しか保持しておらず人が持っている事は無いのだが、俺は神の力を真似した為保持している。
これは、魔物で言うところの魔素――魔力の元を直接ぶつけて与えるものであり、魔物が体内に当然に持っている物質であるため副作用はなく発動できる。
だが、俺が発動するにはまず魔素を作らなければならない。それを行うのが創生だ。
神体であれば魔素を操ることは容易であるし、体内には無限に蓄えてあるが、俺が無限なのは魔力だけ。
そして、創生の副作用は脳の処理が過多になる故の頭痛。
でもまあ、魔素程度の魔力の源と言える物の作成であれば、さほど副作用も強くは無いだろう。
「スキル発動! 創成」
22
あなたにおすすめの小説
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
底辺から始まった俺の異世界冒険物語!
ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。
しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。
おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。
漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。
この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜
難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」
高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。
だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや——
「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」
「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」
剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める!
魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」
魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」
神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」
次々と編み出される新技術に、世界は驚愕!
やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め——
「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」
最強の頭脳戦が今、幕を開ける——!
これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語!
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる